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旅立った僕達
書店に居るようこびとと妖精とフィーナの尋問
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寝ている間に仕事を進めてくれる、靴の屋のこびとの話はちょっと有名。
今回のギルドクエストはそんなこびとの話だった。
ここのギルドクエストは3人以上の学生位の女性の限定で、募集されておりなかなか人員に恵まれなかったようで、本来はギルドランクの低いクエストではあるが、引き上げられ僕達のところまで話が来た様である。
目的地は、閉店時間を過ぎた『こびとの書店』。この書店に入ると、右側がお店のレジ、左側にはアンティークのドールハウスが飾られており、『こびとさん達のおうちだからさわらないでね』と木のプレートに書かれていた。
書店の店長は僕達が行くと大変喜び、僕達の顔をみるとうなずいていた。
「ここの書店では、こびとが本の整理などをしてくるので、私が祖父から引き継いだ後も、妻と二人で書店を営む事が出来たのですが……。最近、お礼のクッキー3枚は、減っているのですが、こびと達が働いてくれた形跡がないのです。私達もこびとに聞ければいいのですが、こびと達は普段は決して「私達の前に現れてくれないのです。ただ、むかし私の姉が友達とパジャマパーティーの時にこびとが見たいと言う話しになった時、書店の中でおしゃべりをしていると現れたそうなので、学生位の女性限定でクエストの人員を募集していましたが……、いやー本当に助かりました」
「そうなんですか。内容は、理解しました。お任せください」
今日の人員は、ルナ、ウンデーネ、フィーナで、ウンデーネは人間の女性でないので少し不安だったが、なんとか大丈夫の様だ。
「あのこう言ってなんですが……リーダーさんも、今回のクエスト参加されませんか? うちの弟も興味本位で、女装して参加した事があるのですが、人数が多い方がこびと達が現れる時間が早い様なんです。今回どうしても事情を知りたいので、私も女装して待ってはみたんですが……やはり来ませんでした……。でも、リーダーさんなら大丈夫です! 私が保証します!」
――僕は、思った。お前が保証するなと。絶対無理だろうと……。
「主様はやります!」
――えっ? ウンデーネちゃん!?
「おぉ! ありがとうございます。今すぐ、洋服を用意しますね」
うろたえる僕をしりめに、「ハヤト、さすがにそのままだとばれてしまうので、私の化粧道具で洋服が来る前に下地だけやちゃいますか」
僕の前には、お仕事のエキスパートみたいになってしまった恋人と、僕に背を向けて笑いを堪えながら、背中を凄く上下にうごかせている聖女様。
「なんかわかんないけど、一緒にパーティー楽しみ」
ちょいおばかも可愛いみたいなウンデーネがいた。
☆
夜の書店。
夜の書店で魔法のランタンを持って歩くフィーナとルナ。
「水魔法は使っては駄目、水魔法は使っては駄目」と、言って自分を律する、ウンデーネ。
みんなパジャマを着ている。
僕の恰好は、白くて、レースが使われた、ワンピースみたいになっているパジャマの上着に、ピエロが来ているだぼっとしているんだけど、下で絞っているズボン。でかいクマ、巻き毛くるくるのカツラ。
……どんだけ、こだわり強いん?
「みんな着きましたよ」
僕達みんなで、子ども用の絵本売り場の広場の椅子に座った。
僕の真ん前に座ったルナが、僕の姿を正面から見て、おもわず噴き出す。
「ごめんなさい。フィーナ場所変わって貰っていいかしら」
「いいですよ」フィーナは僕の前に座った。と、思ったら僕の元まできて上着の裾をきれいに直してから座った。
「ハートちゃんのパジャマすごく可愛くないですか? どこで売っているんでしょうね。なんか欲しくなっちゃいました」
「そうですね……クッ。教会では、こんな華美なものはないので、旅の間だけでも一度は着てみてもいいかもしれません」
ルナは、僕の方を見ると思わず笑ってしまうらしく、決して僕の方は見なくなった。
「ルナは、きれいだったり、かわいいものそんなに好きじゃないの?」
ウンデーネは、そんな信じられないと言う様に聞いた。
「そんなわけではないですが……教会では、着る機会ないだけで……」
「じゃー一緒に見に行きませんか? 店長にどこか聞いて」
「わしも行きたい」「あちきも――!」「わたしも――!」
僕の肩やひざやクマの上にこびとが乗っている。でも、声を出すとさすがに、バレるのでただ、なされるままだった。
「「ハートちゃん!?」」「主様!?」
「えっとハートちゃんって言うの? おひさまぽかぽかなのに若葉の感じ、わしハートちゃん大好き!」「あちきも」「わたしの方が好き」
「えっどれどれ?」ビスケットを持ったアゲハ蝶の妖精が、僕のまわりを跳びまわっている。
「「あっ!?」」
僕達、全員声を出して驚いた。こびとは3人と説明書には書いてあったのに、書類に書かれていない妖精がいるのだ。
「この子、男の子じゃない?」
僕の顔のまわりを飛んでいる妖精は、さすがに騙せない様だ。
「違う」「見る目無い」「妖精は、男の子か女の子か見極める目を持って貰いたい」
「こびとさん、ちょっといろいろ聞かせてください。最近お仕事なされてない様ですけど、何かありましたか?」
【フィーナが、尋問を開始した!】
「ビスケット人数分無い」「あちき達悲しかった」「もうお仕事やる気分じゃなかった」 「見ていた私も居たたまれなかったわ……」
「あの……この妖精さんは?」
「友達!」「ナンパした」「一緒に暮したいの」
「お店の人には伝えましたか?」
「なんで?」「知ってて当然でしょ?」「人数増えたからわかるでしょう?」
「伝えないと気づかいないので、ビスケットは増えませんよ」
「知らなかった」「そうだったのか!?」「そんなの欠陥すぎない?」
「それから友達の分のビスケットは、そんなにあげれませんよ。お店がつぶれちゃいます」
「なら、パンで!」「パンの気分には絶対ならない」「そうだったのか……」
「後、お仕事したくない時には、連絡しないとダメだと思います。紙に書くとか。よろしくお願いしますね」
「「わかった」」「壁に文字を彫っちゃだめ?」
「だめです」
「そうなのか……初めて知った……」
「では、店長さんにお伝えしますので、お返事おまちください」
「わかった!」「この子には、毎日居て欲しい」「無口だけど、居るだけでいい」
「絶対にだめです」
「なんで、この子の事だけそんなに拒絶したのか……悲しい」「なら一生分、すうはぁする」
なんか……こびとと妖精まで、僕の匂い嗅いで……帰って行った。
――なんで?
☆
次の日、店長にすべてのあらましを、かいつまんで話したら――。
「そうですか……、まぁ、こびと相手なのでそんなものかもしれません。でも、普通わかりませんよね……」と、途方にくれていた。
「こびとや妖精は、きまぐれだししょうがないと思う」と、ウンデーネに言われ諦めた様だ。
「ありがとうございましたー」と、言う明るい店長の声を聞きながら店をでた。何故か、報酬の他にパジャマ上下も貰ってしまった。
店から出るとウンデーネは、あまり人気のない朝の街を駆けだす。両手を広げ、「みんな遅いよー! 朝ごはんに間に合わないよ」と言う彼女。
「走ると危ないし、朝はおそくなるって言って来たから大丈夫だよ――」と、言ってウンデーネの後を僕。
一呼吸置いて、ルナとフィーナの走る音が聞こえて来たのだった。
つづく
今回のギルドクエストはそんなこびとの話だった。
ここのギルドクエストは3人以上の学生位の女性の限定で、募集されておりなかなか人員に恵まれなかったようで、本来はギルドランクの低いクエストではあるが、引き上げられ僕達のところまで話が来た様である。
目的地は、閉店時間を過ぎた『こびとの書店』。この書店に入ると、右側がお店のレジ、左側にはアンティークのドールハウスが飾られており、『こびとさん達のおうちだからさわらないでね』と木のプレートに書かれていた。
書店の店長は僕達が行くと大変喜び、僕達の顔をみるとうなずいていた。
「ここの書店では、こびとが本の整理などをしてくるので、私が祖父から引き継いだ後も、妻と二人で書店を営む事が出来たのですが……。最近、お礼のクッキー3枚は、減っているのですが、こびと達が働いてくれた形跡がないのです。私達もこびとに聞ければいいのですが、こびと達は普段は決して「私達の前に現れてくれないのです。ただ、むかし私の姉が友達とパジャマパーティーの時にこびとが見たいと言う話しになった時、書店の中でおしゃべりをしていると現れたそうなので、学生位の女性限定でクエストの人員を募集していましたが……、いやー本当に助かりました」
「そうなんですか。内容は、理解しました。お任せください」
今日の人員は、ルナ、ウンデーネ、フィーナで、ウンデーネは人間の女性でないので少し不安だったが、なんとか大丈夫の様だ。
「あのこう言ってなんですが……リーダーさんも、今回のクエスト参加されませんか? うちの弟も興味本位で、女装して参加した事があるのですが、人数が多い方がこびと達が現れる時間が早い様なんです。今回どうしても事情を知りたいので、私も女装して待ってはみたんですが……やはり来ませんでした……。でも、リーダーさんなら大丈夫です! 私が保証します!」
――僕は、思った。お前が保証するなと。絶対無理だろうと……。
「主様はやります!」
――えっ? ウンデーネちゃん!?
「おぉ! ありがとうございます。今すぐ、洋服を用意しますね」
うろたえる僕をしりめに、「ハヤト、さすがにそのままだとばれてしまうので、私の化粧道具で洋服が来る前に下地だけやちゃいますか」
僕の前には、お仕事のエキスパートみたいになってしまった恋人と、僕に背を向けて笑いを堪えながら、背中を凄く上下にうごかせている聖女様。
「なんかわかんないけど、一緒にパーティー楽しみ」
ちょいおばかも可愛いみたいなウンデーネがいた。
☆
夜の書店。
夜の書店で魔法のランタンを持って歩くフィーナとルナ。
「水魔法は使っては駄目、水魔法は使っては駄目」と、言って自分を律する、ウンデーネ。
みんなパジャマを着ている。
僕の恰好は、白くて、レースが使われた、ワンピースみたいになっているパジャマの上着に、ピエロが来ているだぼっとしているんだけど、下で絞っているズボン。でかいクマ、巻き毛くるくるのカツラ。
……どんだけ、こだわり強いん?
「みんな着きましたよ」
僕達みんなで、子ども用の絵本売り場の広場の椅子に座った。
僕の真ん前に座ったルナが、僕の姿を正面から見て、おもわず噴き出す。
「ごめんなさい。フィーナ場所変わって貰っていいかしら」
「いいですよ」フィーナは僕の前に座った。と、思ったら僕の元まできて上着の裾をきれいに直してから座った。
「ハートちゃんのパジャマすごく可愛くないですか? どこで売っているんでしょうね。なんか欲しくなっちゃいました」
「そうですね……クッ。教会では、こんな華美なものはないので、旅の間だけでも一度は着てみてもいいかもしれません」
ルナは、僕の方を見ると思わず笑ってしまうらしく、決して僕の方は見なくなった。
「ルナは、きれいだったり、かわいいものそんなに好きじゃないの?」
ウンデーネは、そんな信じられないと言う様に聞いた。
「そんなわけではないですが……教会では、着る機会ないだけで……」
「じゃー一緒に見に行きませんか? 店長にどこか聞いて」
「わしも行きたい」「あちきも――!」「わたしも――!」
僕の肩やひざやクマの上にこびとが乗っている。でも、声を出すとさすがに、バレるのでただ、なされるままだった。
「「ハートちゃん!?」」「主様!?」
「えっとハートちゃんって言うの? おひさまぽかぽかなのに若葉の感じ、わしハートちゃん大好き!」「あちきも」「わたしの方が好き」
「えっどれどれ?」ビスケットを持ったアゲハ蝶の妖精が、僕のまわりを跳びまわっている。
「「あっ!?」」
僕達、全員声を出して驚いた。こびとは3人と説明書には書いてあったのに、書類に書かれていない妖精がいるのだ。
「この子、男の子じゃない?」
僕の顔のまわりを飛んでいる妖精は、さすがに騙せない様だ。
「違う」「見る目無い」「妖精は、男の子か女の子か見極める目を持って貰いたい」
「こびとさん、ちょっといろいろ聞かせてください。最近お仕事なされてない様ですけど、何かありましたか?」
【フィーナが、尋問を開始した!】
「ビスケット人数分無い」「あちき達悲しかった」「もうお仕事やる気分じゃなかった」 「見ていた私も居たたまれなかったわ……」
「あの……この妖精さんは?」
「友達!」「ナンパした」「一緒に暮したいの」
「お店の人には伝えましたか?」
「なんで?」「知ってて当然でしょ?」「人数増えたからわかるでしょう?」
「伝えないと気づかいないので、ビスケットは増えませんよ」
「知らなかった」「そうだったのか!?」「そんなの欠陥すぎない?」
「それから友達の分のビスケットは、そんなにあげれませんよ。お店がつぶれちゃいます」
「なら、パンで!」「パンの気分には絶対ならない」「そうだったのか……」
「後、お仕事したくない時には、連絡しないとダメだと思います。紙に書くとか。よろしくお願いしますね」
「「わかった」」「壁に文字を彫っちゃだめ?」
「だめです」
「そうなのか……初めて知った……」
「では、店長さんにお伝えしますので、お返事おまちください」
「わかった!」「この子には、毎日居て欲しい」「無口だけど、居るだけでいい」
「絶対にだめです」
「なんで、この子の事だけそんなに拒絶したのか……悲しい」「なら一生分、すうはぁする」
なんか……こびとと妖精まで、僕の匂い嗅いで……帰って行った。
――なんで?
☆
次の日、店長にすべてのあらましを、かいつまんで話したら――。
「そうですか……、まぁ、こびと相手なのでそんなものかもしれません。でも、普通わかりませんよね……」と、途方にくれていた。
「こびとや妖精は、きまぐれだししょうがないと思う」と、ウンデーネに言われ諦めた様だ。
「ありがとうございましたー」と、言う明るい店長の声を聞きながら店をでた。何故か、報酬の他にパジャマ上下も貰ってしまった。
店から出るとウンデーネは、あまり人気のない朝の街を駆けだす。両手を広げ、「みんな遅いよー! 朝ごはんに間に合わないよ」と言う彼女。
「走ると危ないし、朝はおそくなるって言って来たから大丈夫だよ――」と、言ってウンデーネの後を僕。
一呼吸置いて、ルナとフィーナの走る音が聞こえて来たのだった。
つづく
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