魔王がやって来たので

もち雪

文字の大きさ
174 / 292
攻略!謎の塔

階層攻略 その13ラビの思い

しおりを挟む
 謎の塔を最上階まで攻略しておいて、こんな気持ちで引き返すのは、自分たちの実力不足の時だけだと思っていた。

 しかしまぁ現実は、少しの気まずさは残るがまぁみんな酸いも甘いも嚙み分けてある程度育って来てるから、こんな事もあるよねぇって事を考えながら18階層へと下る階段を降りていく。
 ……降りて行っているように見える。

 緊張しつつ、ラビを眠らせる覚悟で挑む18階。

「「お邪魔しますー」」

 まぁ礼儀として言っておかないとねって事で、答えも聞かず入って行く。

 しかし僕らは案外明るい声に、呼び止められた。

「パイセンとお仲間の皆さん、もうお帰りですか?」

「俺をパイセンと呼ぶな」

 そう言ってぬいぬいはラビを叱りつけた。しかしラビは慣れているようで全然動じない。

「パイセンは、先輩なわけだからだから、あってるじゃないですか」と言う始末であった。

 だからさすがのぬいぬいも「もういい。それよりラビ、この上には倉庫や畑しかないぞ。まぁ俺達とは管理人もかち合いたくないだろうから帰るのは、今からだと簡単だぞどうする? 一緒に行くか?」

 と、助け船を出してしまうのある。


「パイセンたちも、うちのリーダーと同じ判断なのか……。困ったなぁー。じゃあ私も久しぶりに下へ降りて、ミノちゃんの部屋をまた半分部屋を借りようかな?」

「お前は仲間の為に、ここの位置をキープしているんじゃないのか?  ミノタウロスの部屋からだと、上に行くにも下へ降りるのも困難になるだけだろう?」

 そして問題は、ミノタウロスの気持ちだろう。なんで、OKが出る前提ではなしているのがわかんない。

「うんうん、最初はみんなそうなります。しかーしコツを掴めば、ミノちゃん以降の階層が凄く簡単になるんでけどね。それはさておきパイセン達と同じように最上階へ行きつき、管理人不在って結論になってしまってしまいました。まぁ、私は知ってたんですが、内緒にしてたから演技はなかなか苦労しましたね」

「演技……。まぁいい、続けて話せ」

「はいー、でも、管理人はいなくても宝箱あれば嬉しいじゃないですか! だから仲間には上の階層をチェックすると言う条件で、無理やり残ったのです。それから仲間も何度か来てくれるのですが、いろいろさっしてくれて……今に至るって感じですね」

「少なくとも15階層のガラクタは、強かったじゃないですか? 僕は後、少しで死んでましたよ!?」

  僕は結構、一目も憚らずに吠えた。

「あっ、あれですね。あれは凄く強くて……下の階層に逃げ戻って相談したり、揉めてたりしてる間の1時間くらいの内に魔力切れおこして止まりましたよ。超楽勝!」

 が――――ん!? 僕はショックだったが、そんな僕の手をフィーナがこっそり繋いでくれ、なんとかやり過ごす事が出来た。

「で、お前はなんで残ってるんだ?」

「話せば長いのですが、私、ミノちゃんの事好きになっちゃいました! なんてたってミノちゃん優しいし、紳士だし…………もう最高なんです!」

「……………………」

 さすがに、恋愛話にまでぬいぬいは、立ち入れない様で会話が一度止まった。

「最高なら告白でも、なんでもすればいいじゃないですか? なんでこんな所にいるんですか? 仲間に助けてもらう事も出来たでしよう?」

 うちの何でも思ったまま、オブラートの存在を知らない様に話してくれる頼もしいミッシェルが会話をリードする。

「だから、長い話だっ言ってるじゃないですか。 ぬいぬいパイセンなんなんですか? この失礼な人は?!」

「お前はいい勝負だぞ」 「貴方に、言われたくないですね!」

「もういいから……結局、お前はミノタウロスに何をやらかしたんだ?」

「パイセン酷い!? 当たっててもそんな事を言わなくてもいいじゃないですか!?……」

 ここで、ラビは1つ小さなため息をつき、僕らは突っ込まず喋らせといた方が早いな、っと思った頃、彼女は語りだした……。

「ねぇ?  皆さん知ってます?  彼のお父さん凄くきれいな牛だったんですって。でも、ミノちゃんも凄くきれいな顔なんですよー。でも、そう言うと彼は少し悲しそうな顔をするの。……でも、私はきれいなものは、きれいって言いたいタイプなんで……。私が居たらミノちゃんも嫌な思いしちゃうんじゃないかと……思って部屋を移って見たけど……塔を離れる事も出来ずで……。ねぇ、どう思いますか? 皆さん?」

 ――長い、そして結局、他人任せ……。

 彼の生い立ちついては、僕と聞いていた一部のメンバーは知っているが、それについてはミノタウロス自身が言う事である。

 こんな時、頼りになるうちの執事は、ラビの性質を彼女と合うやいなや察知し、ラビとは一度も絡もうとせず時計見てるし……。仕方ない行くか……。

「好きなら行くべきです!」「うんうん!」

 フィーナとウンディーネが、声を上げた。

「ここで、悩んでいてもただ時間が流れるだけです。私もラビさんと同じでした……悩んでいましたが、ここにいるシルエットさんやよしのさん、魔王様に背中を押されてここまで来ました。だから今度は、私に押させてくださいラビさんの背中!」

「ウンディーネは一緒にいられる事を大切にしたい。許されるかぎり……だからラビも頑張ろう!」

「二人とも……」

「俺に言える事は、お前も冒険者ならまず飛び込め。だが撤退の時を見誤るな。負ける冒険はある。しかしそれはお前の、次の為の経験になるからな!」

 ぬいぬいもうまい事を、言って振られた時の覚悟を語った。

「じゃあ行きましょうか!」

「はい!」

 力任せで、彼女をこの場所から連れ出す事は出来た様だ。次はミノタウロスの答えを聞いて、彼女を強制的に連れ出す事についても、考える必要があるかもしれない。

 そして僕ら下層への階段を降りるのであった。

 つづく
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

「お前の戦い方は地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん、その正体は大陸を震撼させた伝説の暗殺者。

夏見ナイ
ファンタジー
「地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん冒険者アラン(40)。彼はこれを機に、血塗られた過去を捨てて辺境の村で静かに暮らすことを決意する。その正体は、10年前に姿を消した伝説の暗殺者“神の影”。 もう戦いはこりごりなのだが、体に染みついた暗殺術が無意識に発動。気配だけでチンピラを黙らせ、小石で魔物を一撃で仕留める姿が「神業」だと勘違いされ、噂が噂を呼ぶ。 純粋な少女には師匠と慕われ、元騎士には神と崇められ、挙句の果てには王女や諸国の密偵まで押しかけてくる始末。本人は畑仕事に精を出したいだけなのに、彼の周りでは勝手に伝説が更新されていく! 最強の元暗殺者による、勘違いスローライフファンタジー、開幕!

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

処理中です...