ファンタジー小説集

もち雪

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カテゴリー『恋愛』

虹の杉

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 僕はある製薬会社で務めていた。
 ある日、隣の席の内山さんが僕に呼び止めた。
 内山さん大人しめのスーツを着て、肩にかからない程度の髪の長さの女性で……言ってはなんだが少し地味な感じだが、先輩の僕より仕事をテキパキこなす子だったので僕はなんとく彼女を敬遠していた。

「山城さん部長が呼んでますよ」
 彼女はそう言ったので、僕はしぶしぶ部長の席まで行った。

 部長のとこまで行くと、部長はいつもの様に少しきつめのスーツを着て、梅雨の時期なのに額には汗が浮かんでいる。

「山城君、今年の花粉は辛かったかね?」

「まぁ、ほどほどですかね」

 この覚えのある感じ……。
 やはり予想は的中し、僕は花粉についての研究を、1からしなければならなくなった。
「これもみんなから、花粉のアレルギーの苦しみを取り去る為の一つの過程として、考えてくれると嬉しいのだが……」
 部長の話は、言葉としてはもっともらしいが、内容に関しては全ての言葉が曖昧で僕を困惑させた


 部長は以前も僕に曖昧な質問をし、その結果にはあまり旨味のない成果を出させるために2年間も、僕に出世街道を逆走させた実績がある。
 その事についてある酒の席で問いただしたところ、顔をスリスリさすりながら……。

「う......ん君なら出来そうだと思ったんだよね……」
 そう言うのだから、僕は怒りのぶつけ場所がなくなり、一人でもくもくと食事を食べて帰った。

 休み明けの月曜日に部長は、僕を見るなり『ごめんね、埋め合わせはするから……。』と言い、僕が話すより先に……『そうなんだ、君を見たら言わなくてはいけない気がしたんだ』と言い訳をしていた。

 だから今回も部長の言う通り花粉についての成果を出すべく、何年かの月日を費やすだろう……。
 救いなのか、気落ちすべき事なのか……今回の研究は、内山さんと一緒に行う事になったのだ。
 うちの数少ない人員から内山さんまで使うと言うのは、今回の成果は大きいのか? 半信半疑で行っていたら成果はあっさりと出た。

 虹色の杉が出来たのだ。サンプルに用意していた花の部分の枝に、試薬をかけたら次の日虹色になったのだった。

 杉の木にかけると昔の花咲爺さんの灰の様に虹色になる薬。
 研究も初期の段階だったので自然界でも問題ないもので出来てしまった……。
 製品化は広範囲にまくことは実験段階で難しかった。

「とりあえず杉のクリスマスツリーを作りましょう」
 と内山さんの一言でツリー作りが決定した。

「ツリーなのだから、長時間豆電球をつけていないと駄目なのでは?」

「じゃー飾りも一緒に買って様子をみていましょう」

 そうやって自社で、クリスマスツリーを販売する頃には内山さんをデートに誘う勇気が持てるほど僕たちは打ち解けていた。

 そして彼女をデートに誘いokを貰ったところで、すれ違った部長は言うのだった。
「おめでとう、『虹の杉の木』の事がなくても、君たちは何となくそうなる気はしたんだよね……。」

 おわり
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