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カテゴリー『家族』
幽霊のネックレス
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うち喫茶店は、マスターの手作りケーキが美味しいと評判だ。
そしてマスターの黒いズボンとベスト、そして黒いネクタイそして、少しレトロな女性用の制服もマスターのこだわりの1つだ。
毎週来ている常連の彼女は、今日もカウンターに座り本日のケーキセットのパプキンケーキを幸せそうに食べている。
しかしいつもはすぐ帰ってしまうのに、今日の彼女はアイスティーのストローをくるくる回しながらこんな話をした。
「このお店の目の前に見えるビルあるじゃないですか――、あの中のオフィスビルの一室にどうも幽霊がでらしいのです。その幽霊は、女の子が、遊びで作るネックレスのビーズを気まぐれに一個くれるんですって、怖い様な、怖くない様な変な話ですよね。でも、その話には続きがあって……幽霊にビーズを貰っても困るでしょう?」
「まぁそうですよね」
「私だったらすぐ……捨てるに、あ……そうするとなにかありそう……、捨てられない。凄く困ります」
マスターと私は、そう答えた。
「ね――。でも、その話を聞いた変わった人が、そのビーズを集めたんですって」
「へぇ――何か願いでも叶えたいんですかね?」
「マスターは、アニメの見過ぎですよ――」そう私が言う。
「それが何にも無いのですよ。最後の一個を貰ったって人も彼に渡したらしいけど……何にも起こらないから、まだあるのか探してうちのオフィスに何度も訪ねて来るんですって。変な話ですよね。」
彼女が、そう話しているその時、カウンターから見える窓に人影が見えた。彼は、こちらに手を振る。私はそれを見て心臓が掴まれる思いがした。
「あの方が、さっきの話の変わった人ですか?」
マスターは、心臓に毛でも生えているのか、気にせずのんきに彼女に聞いてしまう。
「あっいえ……私の彼なんです」
そういうと彼女は、慌てて会計をして出て行った。そして現れた彼と腕を組みながら街の中に消えていく。彼女が突然あんな幽霊の話をしたのは、ただ単に彼を待っている暇をつぶしたいだけだったとわかり、気が抜けたような。人騒がせだわとか複雑な思いだ。その時、いつもはのほほんとしているマスターが、何か考え込んでいる様で……。下世話な話だが、今後の対応の為にこう聞く。
「マスター、彼女の事……お好きだったのですか?」
「山城さん……、いえ、違います」
いつもの気の抜けたマスターの返事だ。面倒な事にならなくて良かったと思う反面やはり気になる。マスターは私の不躾な視線など気にせず、カウンターにある領収書の予備の場所から、宝石の様にきれいにカットされた青いガラス玉を、持ち出してきた。
「これ……さっきの話に出て来たビーズかもしれないんですよね……」
「これが……ビーズと言うより宝石ぽい感じがしますけど?」
「俺が先月の始めに、あのオフィスビルに昼過ぎの仕込みの時間に遅いランチを出前したじゃないですか――。その時、俺の目の前でネックレスが切れて困っていた、女の子が居て、拾うの手伝ったらこれをくれたんです。だから、差し入れ用の個別包装のビスケットをあげたのだけど……」
「アレルギーとかありますから、見ず知らずの女の子に勝手に、食べ物を渡してただめじゃないですか!?」
「いや、女の子と言っても、大きな意味で女の子と言う意味だから、大学出たてで着慣れないスーツを着ていたから、アレルギーがあれば食べない事も出来るはず」
そこまでマスターは言うと、玄関の鐘がなる。ビーズを見つめて難しい顔をしたマスターは、そっともとの引き出しの中へとしまう。新たに入って来たお客様を出迎えをするのだった。
☆★☆★☆
それから数日が過ぎ、喫茶店の扉を開け、見慣れない客が入って来た。彼はコーヒーを頼むと、豊臣と名のり、マスターにビーズの事を聞く。
「ビーズの話は以前、他のお客様から聞きましたが、そのビーズを持っていても、俺にくれた物ならばあげる事は出来ないと思いますよ。貸すにしても、その子のとの関係がわからない内は無理でしょう。俺は、死んでまで嫌いな人に会いたくないから」
マスターは、そう言うと豊臣さんは、少しむっとした顔をしたが、彼は観念したように話始める。
「これ、俺とが妹が入院していた病院で最後に撮った写真です。ここに噂のネックレスが写真に写っています」
そこには、病院で豊臣さんと仲良くパジャマで写る、女の子の姿があった。
「あっ……マスターの持っているガラスと同じ色のものありますね」
「やはり、ここにあるんですか!?」
「山城さん……、そう言う事なら素直に渡しますが……。山城さんが何でも口に出す癖、改めてくださいね」
そう年齢も離れていないマスターに、普通に二十歳過ぎて注意されるなんて穴があったら入りたい気持ちになった。それでも好奇心には抗えず、引き出しからガラス玉を出すマスターを最前列で眺める。豊臣さんは、ポケットから大事そうにネックレスを入れる箱を取り出すと、ネックレスを取り出した。
彼は、不器用に何度も糸を通すのを失敗する。それを見つめる私を、見つめ何か牽制してくるマスター。
(大丈夫ですよ。わたしも閉店間際にならなければ、私がやりましょうか? 何て言いません)
そんなそれぞれの思惑が、渦巻く喫茶店の中で、ネックレスは完成された。
その時扉の鐘が鳴る。
「「いらっしゃいませ」」
なんとか最後までいらっしゃいませと言ったが、お客様の彼女はおかしかった。違和感がないのだが、彼女の顔はわからないのだ。
「本日のお勧めのケーキセットをください」
「はい、かしこまりました」
さすがマスター! 普通に接客している。ただ……。
ただ、彼女の隣に座って居る、豊臣さんが泣いている事だけで私もわかった。彼女が豊臣さんの死んでしまった妹さんだと言う事が……。
私達が、見守る中パプキンケーキセットを食べた彼女は帰って行った。お金を払わないで……。
「やはり、妹です。帰り際に確かに、『ありがとう……ごめんね』って声を聞きました……」
もらい泣きしそうな私。
「よかったですね……そして言いづらいのですが、ケーキセットとそのコーヒー代で、1000円になります」
しっかり幽霊からも代金を貰おうとする、マスター。
そうして豊臣さんは、マスターと電話交換をして帰って行った。
ネックレスの幽霊のお話は終わり。
☆★☆☆★☆
次の週の金曜日、マスターが電話をしていると……金曜日の常連の彼女が彼氏さん、とうきうきでうちの喫茶店へやって来た。
「ウェートレスさん聞いてください。そう言えば例のネックレス解決したらしいですよ――どうもその人、幽霊のお兄さんだったらしく、うちの部署も菓子折りをいただいちゃいました」
そう彼女は、私達に結果報告をしてくれた。
「よかったですね」と言う私の横でマスターは、やはりまだ電話しているようだ。
「あっすみません豊臣さん。妹さん、またいらっしゃったんですが、またお金を払わないで帰ってしまって――」
「はい、はい、そうしていただけるとこちらも助かります」
その後、うちの常連にならざるおえなかった、おにいさんの豊臣さんは、思い起こせば妹さんは、ここのケーキが食べたいと言っていた事を思い出し教えてくれた。ネックレスの事件については、終わったが……まだまだ、違う問題が断続中である。
おわり
【三題噺:オフィスビルの一室、ネックレス、遊ぶ】
そしてマスターの黒いズボンとベスト、そして黒いネクタイそして、少しレトロな女性用の制服もマスターのこだわりの1つだ。
毎週来ている常連の彼女は、今日もカウンターに座り本日のケーキセットのパプキンケーキを幸せそうに食べている。
しかしいつもはすぐ帰ってしまうのに、今日の彼女はアイスティーのストローをくるくる回しながらこんな話をした。
「このお店の目の前に見えるビルあるじゃないですか――、あの中のオフィスビルの一室にどうも幽霊がでらしいのです。その幽霊は、女の子が、遊びで作るネックレスのビーズを気まぐれに一個くれるんですって、怖い様な、怖くない様な変な話ですよね。でも、その話には続きがあって……幽霊にビーズを貰っても困るでしょう?」
「まぁそうですよね」
「私だったらすぐ……捨てるに、あ……そうするとなにかありそう……、捨てられない。凄く困ります」
マスターと私は、そう答えた。
「ね――。でも、その話を聞いた変わった人が、そのビーズを集めたんですって」
「へぇ――何か願いでも叶えたいんですかね?」
「マスターは、アニメの見過ぎですよ――」そう私が言う。
「それが何にも無いのですよ。最後の一個を貰ったって人も彼に渡したらしいけど……何にも起こらないから、まだあるのか探してうちのオフィスに何度も訪ねて来るんですって。変な話ですよね。」
彼女が、そう話しているその時、カウンターから見える窓に人影が見えた。彼は、こちらに手を振る。私はそれを見て心臓が掴まれる思いがした。
「あの方が、さっきの話の変わった人ですか?」
マスターは、心臓に毛でも生えているのか、気にせずのんきに彼女に聞いてしまう。
「あっいえ……私の彼なんです」
そういうと彼女は、慌てて会計をして出て行った。そして現れた彼と腕を組みながら街の中に消えていく。彼女が突然あんな幽霊の話をしたのは、ただ単に彼を待っている暇をつぶしたいだけだったとわかり、気が抜けたような。人騒がせだわとか複雑な思いだ。その時、いつもはのほほんとしているマスターが、何か考え込んでいる様で……。下世話な話だが、今後の対応の為にこう聞く。
「マスター、彼女の事……お好きだったのですか?」
「山城さん……、いえ、違います」
いつもの気の抜けたマスターの返事だ。面倒な事にならなくて良かったと思う反面やはり気になる。マスターは私の不躾な視線など気にせず、カウンターにある領収書の予備の場所から、宝石の様にきれいにカットされた青いガラス玉を、持ち出してきた。
「これ……さっきの話に出て来たビーズかもしれないんですよね……」
「これが……ビーズと言うより宝石ぽい感じがしますけど?」
「俺が先月の始めに、あのオフィスビルに昼過ぎの仕込みの時間に遅いランチを出前したじゃないですか――。その時、俺の目の前でネックレスが切れて困っていた、女の子が居て、拾うの手伝ったらこれをくれたんです。だから、差し入れ用の個別包装のビスケットをあげたのだけど……」
「アレルギーとかありますから、見ず知らずの女の子に勝手に、食べ物を渡してただめじゃないですか!?」
「いや、女の子と言っても、大きな意味で女の子と言う意味だから、大学出たてで着慣れないスーツを着ていたから、アレルギーがあれば食べない事も出来るはず」
そこまでマスターは言うと、玄関の鐘がなる。ビーズを見つめて難しい顔をしたマスターは、そっともとの引き出しの中へとしまう。新たに入って来たお客様を出迎えをするのだった。
☆★☆★☆
それから数日が過ぎ、喫茶店の扉を開け、見慣れない客が入って来た。彼はコーヒーを頼むと、豊臣と名のり、マスターにビーズの事を聞く。
「ビーズの話は以前、他のお客様から聞きましたが、そのビーズを持っていても、俺にくれた物ならばあげる事は出来ないと思いますよ。貸すにしても、その子のとの関係がわからない内は無理でしょう。俺は、死んでまで嫌いな人に会いたくないから」
マスターは、そう言うと豊臣さんは、少しむっとした顔をしたが、彼は観念したように話始める。
「これ、俺とが妹が入院していた病院で最後に撮った写真です。ここに噂のネックレスが写真に写っています」
そこには、病院で豊臣さんと仲良くパジャマで写る、女の子の姿があった。
「あっ……マスターの持っているガラスと同じ色のものありますね」
「やはり、ここにあるんですか!?」
「山城さん……、そう言う事なら素直に渡しますが……。山城さんが何でも口に出す癖、改めてくださいね」
そう年齢も離れていないマスターに、普通に二十歳過ぎて注意されるなんて穴があったら入りたい気持ちになった。それでも好奇心には抗えず、引き出しからガラス玉を出すマスターを最前列で眺める。豊臣さんは、ポケットから大事そうにネックレスを入れる箱を取り出すと、ネックレスを取り出した。
彼は、不器用に何度も糸を通すのを失敗する。それを見つめる私を、見つめ何か牽制してくるマスター。
(大丈夫ですよ。わたしも閉店間際にならなければ、私がやりましょうか? 何て言いません)
そんなそれぞれの思惑が、渦巻く喫茶店の中で、ネックレスは完成された。
その時扉の鐘が鳴る。
「「いらっしゃいませ」」
なんとか最後までいらっしゃいませと言ったが、お客様の彼女はおかしかった。違和感がないのだが、彼女の顔はわからないのだ。
「本日のお勧めのケーキセットをください」
「はい、かしこまりました」
さすがマスター! 普通に接客している。ただ……。
ただ、彼女の隣に座って居る、豊臣さんが泣いている事だけで私もわかった。彼女が豊臣さんの死んでしまった妹さんだと言う事が……。
私達が、見守る中パプキンケーキセットを食べた彼女は帰って行った。お金を払わないで……。
「やはり、妹です。帰り際に確かに、『ありがとう……ごめんね』って声を聞きました……」
もらい泣きしそうな私。
「よかったですね……そして言いづらいのですが、ケーキセットとそのコーヒー代で、1000円になります」
しっかり幽霊からも代金を貰おうとする、マスター。
そうして豊臣さんは、マスターと電話交換をして帰って行った。
ネックレスの幽霊のお話は終わり。
☆★☆☆★☆
次の週の金曜日、マスターが電話をしていると……金曜日の常連の彼女が彼氏さん、とうきうきでうちの喫茶店へやって来た。
「ウェートレスさん聞いてください。そう言えば例のネックレス解決したらしいですよ――どうもその人、幽霊のお兄さんだったらしく、うちの部署も菓子折りをいただいちゃいました」
そう彼女は、私達に結果報告をしてくれた。
「よかったですね」と言う私の横でマスターは、やはりまだ電話しているようだ。
「あっすみません豊臣さん。妹さん、またいらっしゃったんですが、またお金を払わないで帰ってしまって――」
「はい、はい、そうしていただけるとこちらも助かります」
その後、うちの常連にならざるおえなかった、おにいさんの豊臣さんは、思い起こせば妹さんは、ここのケーキが食べたいと言っていた事を思い出し教えてくれた。ネックレスの事件については、終わったが……まだまだ、違う問題が断続中である。
おわり
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