『ネコ魔王と完堕ちした姫騎士』

バイブルさん

文字の大きさ
6 / 16

5話 ネコ魔王とお風呂

しおりを挟む
 私とニャー様はお昼からお風呂にやってきていた。

 普段からニャー様にお昼に入浴する習慣があるどころか、入っているところを見た事がなかった私は以前に入る事を勧めた事がある。

 その時、ニャー様はこう仰っていた。

「ネコ族は基本的に風呂、水を被るのを嫌にゃ。ニャーは風呂に入ってる時はいいにゃが……毛並み的に乾き難いのが気持ち悪いにゃ」

 何よりネコ族は風呂に入らないでも臭く成り難く、毛のないネコ族は時折入る必要があるという不思議現象らしい。

 確かにニャー様は臭くない、むしろ良い香りで興奮、いやいや、安心する匂いがする。

 しかし、今日は海に落ちてしまわれて塩水のせいでべたつき仕方がなくお風呂にやってきていた。

 同じように海に落ちた私もご一緒している訳だ。

 というか、私が飛び付いたから一緒に海に落ちたという言い方もあるかもしれない。

「お召物を脱がれるのをお手伝いします」
「いいにゃ、それよりレティス、自分の着てるのを……にゃにゃ!? いつの間に脱いだにゃ!」

 ニャー様が驚いて見つめる先には私が脱いだビキニアーマー一式と下着などを綺麗に畳んで置いているのを目を丸くして見た後、私を呆れたような半目で見つめてこられる。

 ふっふふ、これでも王族でありながら身の周りの事は侍女に任せずに自分でやっていた成果です。

「これでも騎士だったのでテキパキする習慣が身に着いてます」

 どうだ、とばかりに胸を張る私をまだ呆れを解除してないニャー様が下から上へと視線を動かす。

 これでも騎士の男達の間では是非、拝んでみたい体とコソコソ話されてた私の無駄な肉が付いてないプロポーション。

 屈んでニャー様のマントを取ろうと屈む私の胸を肉球で突いて言ってくる。

「どうして、この無駄肉があるのに、咄嗟に逃げたニャーを追って飛び付けたにゃ?」
「こ、これでも人相手でこの数年、誰にも負けておりませんので……ああん、優しくお願いします……」

 はぁはぁ、と荒い息を吐く私を嫌そうに見つめながら肉球を離すニャー様を見て私は先程とは違う温度の息、残念に思う溜息を零す。

 優しく、と言ってるのは止めて欲しいと言う事ではないのに……女性の止めても一概に止めろという示唆じゃない事もありますが、ネコ族であられるニャー様には難しいでしょうか……

 これから時間をかけて知って貰いましょう!

 手をワキワキさせる私から、やや視線を逸らしたニャー様が言ってこられる。

「レティスは色白過ぎるにゃ? 病気にゃ?」
「いえ、私は日焼けしない性質で肌を焼こうとすると赤くなるだけなので……」

 そんな私を見て、フーンと言うニャー様はニャンハット、目と耳に水が入らないように設計されたネコ族のシャンプーハットを小脇に持たれる。

 どうもネコ族の目から見ると色白なのは体が悪そうに見えるらしい。今までは人々に透き通るような青い瞳に輝く金髪の白磁を思わせる白い肌をした戦乙女と言われてきたがニャー様達にはそうは思われない。

 無駄肉を付けた病気気味で鼻血と涎を垂らす人間のメスという評価だ。

 1つずつ誤解を解いていくしかないと私は意気込みながらニャー様の背中を押して風呂場へと行こうとするがニャー様が振り返る。

「レティス、風呂に浸かる前にまずは顔を洗うにゃ? その涎はともかく鼻血が湯船に落ちたら赤くなるにゃ」
「……はい、分かりました」

 1つずつ誤解を解いて行こう。


 体を一通り洗い終えた私達は湯船に使っていた。

「にゃあぁ……上がった後の事を考えなければ風呂はやっぱりいいにゃぁ」

 蕩けそうな顔をされるニャー様に萌えない選択肢がない私はギュッと抱きしめて胸の谷間に挟み込む。

 挟まれた事で湿度が上がって不快指数が上がったらしいニャー様がじたばだされるのを楽しみながら体を洗って差し上げた時の事を思い出す。

 胴体を洗う、首よりしたを洗う時は平然とされてたいたが、頭の番になった時のニャー様を思い出すと笑みが浮かぶ。

 私に差し出すニャンハットを突き付けながら言ってこられた。

「ニャンハットを過信するのは厳禁にゃ! 万が一があるにゃ、注意するにゃ!……ニャーは耳に水が入ったり、目に石鹸が入ったら泣くかもしれないにゃ!」

 そう言ってる段階で既に泣かれてたニャー様がいた。

 当然のように萌えた。

 思い出し笑いをする私にニャー様が声を荒げられる。

「にゃ! レティス、鼻血で湯船が赤くなり始めてるにゃ!」

 ニャー様に言われて鼻血を噴き出している事に気付いて抱き締めてた手を離すと飛んで逃げるように離れられてしまう。

 洗い場にいかれて洗い直されるニャー様を申し訳なさそうに見ていた私が近づいていく。

「お、お洗いします!」
「いいにゃ。レティスに洗わせたら何度も入り直しにゃ」

 呆れるように溜息を洩らすニャー様に申し訳なさそうに目を伏せるがブラシを尻尾で掴んで背中を洗う姿を見て私は鼻から赤い噴水を出しながら仰向けに倒れる。

「尻尾でぇ! 可愛過ぎるぅ!」

 幸せ一杯な私の耳にニャー様の嘆きの溜息が聞こえた気がしたがきっと気のせいと割り切り、私は幸せの余韻を楽しんだ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。

石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。 自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。 そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。 好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。 この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

【完結】番としか子供が産まれない世界で

さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。 何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。 そんなニーナが番に出会うまで 4話完結 出会えたところで話は終わってます。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました

斉藤めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。 白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。 その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。 それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。 やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり―― 白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。 身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。

追放された悪役令嬢はシングルマザー

ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。 断罪回避に奮闘するも失敗。 国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。 この子は私の子よ!守ってみせるわ。 1人、子を育てる決心をする。 そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。 さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥ ーーーー 完結確約 9話完結です。 短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。

完結 若い愛人がいる?それは良かったです。

音爽(ネソウ)
恋愛
妻が余命宣告を受けた、愛人を抱える夫は小躍りするのだが……

処理中です...