12 / 16
11話 ネコ魔王と被害者の会の設立?
しおりを挟む
王の間で私はトラジ様を抱っこしてナデナデして尻尾を嬉しそうに振るのを見て癒されていた。
その様子を眺めるニャー様が半眼でトラジ様と目線を合わせるとトラジ様が弱々しくニャァ……と鳴くのを聞いた私が首を傾げるとニャー様が私に話しかけてくる。
「レティス、トラジを離してやるにゃ」
「えっ? どうしてですか? トラジ様もこんなに尻尾を振って喜んでます」
私の言葉にトラジ様とリンクするように疲れたような鳴き声を洩らすニャー様。
「尻尾振って喜ぶのはイヌにゃ。ネコは不機嫌な時にゃ」
「そ、そんなてっきり喜んでくださってるとばかりに……」
驚愕な表情を浮かべる私は名残惜しさを隠さずにトラジ様に全開で頬ずりをしてから手を離すと脱兎の如くの勢いでトラジ様が王の間から飛び出して行かれた。
逃げるトラジ様を見つめるニャー様は「やれやれにゃ」と呆れるように言った後、私を見上げてくる。
「勘違いしてるのだろうとは思ってたにゃ。それと喜んでたのはトラジでなくレティスにゃ」
肉球を突き付けてくるニャー様を恐れるように私は仰け反る。
「け、決してそんな私情に流された想いは……ただただトラジ様への奉仕の精神……」
目を背けながらも声音を強めて言う私を疑わしそうに見つめるニャー様がマントの裏に手を突っ込んでティッシュを取り出す。
「そろそろ鼻ティッシュの交換時にゃ?」
「あ、有難うございます、ニャー様」
ニャー様に真っ赤になったティッシュを抜いて貰い、ネジネジされたティッシュを詰め込んで貰う。
スッキリしたと顔を上げるとニャー様が真っ赤になったティッシュを私の眼前で振ってみせる。
「物的証拠にゃ?」
私は目を見開いてニャー様を見つめる。
は、計られた!?
▼
「まあ別にレティスだけを責める気があった話じゃないにゃ。最近、部下達から意志疎通が出来ないせいで生まれる勘違いで困ってるという話が上がってるにゃ」
四肢を付いて凹み続ける私の肩にポンと肉球を当てるニャー様。
ちょっと追い詰め過ぎたと思ったニャー様が先程からポンポンと叩いてくれている。
実の所、たいして落ち込んでる訳ではなかったがニャー様に心配されるのが嬉しくて落ち込んだ振りを続けていた。
肉球も気持ちいいし?
息が荒くなりそうを必死にひた隠しにして私は耐える。
「もうそろそろ立ち直るにゃ……レティス、お前、実は落ち込んでないにゃ?」
「いえ! 目茶苦茶に落ち込んでます!」
もう少し、この幸せを享受させてぇ!
神だろうが悪魔だろうがと願っているとニャー様が私の俯いている先の地面に肉球を示す。
「じゃ、どうして鼻ティッシュで吸収しきれなくなった鼻血が垂れてるにゃ?」
息を抑える事に必死になっていた私は目の前の状況変化すら気にしてなく言われて初めて小さな水溜り、もとい、血溜りが出来てる事に気付いた。
「こ、これはそう! 血ではなく青春の汗です!」
「レティス、色々アウトにゃ……」
ニャー様は可愛らしいお口で深い溜息を零した。
しばらく必死の言い訳をしても無駄という結果に落ち着いて鼻ティッシュの交換が済んで私はニャー様とやっと話す体勢になった。
「先程も言った部下から苦情が上がってるにゃ。話せるニャーであれば問題はないが……意志疎通を促進する手段を考えるにゃ!」
「了解しました。このレティス、粉骨砕身の想いで邁進する所存でございます!」
敬礼した私は立ち上がると王の間を走って出て行く。
いきなり動き出した私の背で慌てた様子で肉球を上げたニャー様の姿があった事に気付く事はなかった。
「別にそこまで頑張る必要はないにゃ……もう聞いてないにゃ」
色々、諦めた様子で最近、回数が増えている溜息をニャー様は吐いた。
▼
レティスが動き出した頃、魔王城の入口で魔王軍一の苦労人ペーター少年が面倒な来訪者に頭を抱えていた。
「ちょっとだけでいいから入れてって言ってるだけでしょ!」
「だから、何度も言いますけど貴方は敵国の姫君なんですよ? 自分の立場を理解してます?」
ペーターの前には金髪のショートヘアのペーターと同じ年頃の可愛らしい少女、レティスの妹のターニャが腰に両手を当てて怒ってますと表現するようにおでこがぶつかる距離までにじり寄っていた。
最初は同じ年頃の可愛い少女が一歩踏み出せばキスが出来る距離に詰め寄られて照れを見せていたペーターであったが現在は慣れてしまってウンザリした表情を浮かべていた。
どことなく姉妹と良く分かる顔立ちであるせいか、普段からレティスに振り回されて耐性を獲得していたらしいペーターは照れより不幸だと悲しみ始めていた。
これからもこの姉妹には振り回されそうな予感しかしない為であった。
慣れた理由の1つにこのやり取りを既に1時間はしていたという理由もあったする。
もうっ! と憤慨した様子のターニャがペーターから離れると嘆息する。
「肝っ玉が小さい男ね? 非武装ならいいでしょ!?」
そう言うとペーターが止める間もなくワンピースの胸元に手を突っ込んで片っ端から取り出して脇に置いていく。
これでもかと出していくのをペーターは目を点にして見守る先のターニャの両脇に小さい山が出来ていた。
「……どうやって仕舞ってるの?」
「ちょっと黙っててくれる? まだあるから」
まだあるの? と驚くペーターを無視したターニャがワンピースのスカートを振るとドサドサと音を鳴らして落ちて行く武器の数々に口があんぐりと開く。
スカートを振っても出なくと一仕事したとばかりに額を拭うターニャ。
「これで全部よ。これで安心でしょ?」
「うん。でも違う意味で不安にもなったけどね」
本来なら止めないといけない立場である事はペーターも分かっているが諦める事にした。
多分、このやりとりを延々に続けて夜になる予感がヒシヒシしたうえに次の日も継続すると感じた為であった。
「まあ、魔王軍にたいした被害は出ないだろうけど……」
「いいなら、さっさとお姉ちゃんのところに案内して!」
はいはい、と肩を落とすペーターは背中を押されるようにして魔王城にターニャを連れていく。
深い溜息を零すペーターは先程、言いかけた言葉を新しい溜息と共に洩らす。
「きっと僕には被害はあるんだろうな……」
どこで人生を間違ったのだろうと悩む少年、ペーターであったがそれがレティスに認識されてからだという事実からソッと目を逸らした。
その様子を眺めるニャー様が半眼でトラジ様と目線を合わせるとトラジ様が弱々しくニャァ……と鳴くのを聞いた私が首を傾げるとニャー様が私に話しかけてくる。
「レティス、トラジを離してやるにゃ」
「えっ? どうしてですか? トラジ様もこんなに尻尾を振って喜んでます」
私の言葉にトラジ様とリンクするように疲れたような鳴き声を洩らすニャー様。
「尻尾振って喜ぶのはイヌにゃ。ネコは不機嫌な時にゃ」
「そ、そんなてっきり喜んでくださってるとばかりに……」
驚愕な表情を浮かべる私は名残惜しさを隠さずにトラジ様に全開で頬ずりをしてから手を離すと脱兎の如くの勢いでトラジ様が王の間から飛び出して行かれた。
逃げるトラジ様を見つめるニャー様は「やれやれにゃ」と呆れるように言った後、私を見上げてくる。
「勘違いしてるのだろうとは思ってたにゃ。それと喜んでたのはトラジでなくレティスにゃ」
肉球を突き付けてくるニャー様を恐れるように私は仰け反る。
「け、決してそんな私情に流された想いは……ただただトラジ様への奉仕の精神……」
目を背けながらも声音を強めて言う私を疑わしそうに見つめるニャー様がマントの裏に手を突っ込んでティッシュを取り出す。
「そろそろ鼻ティッシュの交換時にゃ?」
「あ、有難うございます、ニャー様」
ニャー様に真っ赤になったティッシュを抜いて貰い、ネジネジされたティッシュを詰め込んで貰う。
スッキリしたと顔を上げるとニャー様が真っ赤になったティッシュを私の眼前で振ってみせる。
「物的証拠にゃ?」
私は目を見開いてニャー様を見つめる。
は、計られた!?
▼
「まあ別にレティスだけを責める気があった話じゃないにゃ。最近、部下達から意志疎通が出来ないせいで生まれる勘違いで困ってるという話が上がってるにゃ」
四肢を付いて凹み続ける私の肩にポンと肉球を当てるニャー様。
ちょっと追い詰め過ぎたと思ったニャー様が先程からポンポンと叩いてくれている。
実の所、たいして落ち込んでる訳ではなかったがニャー様に心配されるのが嬉しくて落ち込んだ振りを続けていた。
肉球も気持ちいいし?
息が荒くなりそうを必死にひた隠しにして私は耐える。
「もうそろそろ立ち直るにゃ……レティス、お前、実は落ち込んでないにゃ?」
「いえ! 目茶苦茶に落ち込んでます!」
もう少し、この幸せを享受させてぇ!
神だろうが悪魔だろうがと願っているとニャー様が私の俯いている先の地面に肉球を示す。
「じゃ、どうして鼻ティッシュで吸収しきれなくなった鼻血が垂れてるにゃ?」
息を抑える事に必死になっていた私は目の前の状況変化すら気にしてなく言われて初めて小さな水溜り、もとい、血溜りが出来てる事に気付いた。
「こ、これはそう! 血ではなく青春の汗です!」
「レティス、色々アウトにゃ……」
ニャー様は可愛らしいお口で深い溜息を零した。
しばらく必死の言い訳をしても無駄という結果に落ち着いて鼻ティッシュの交換が済んで私はニャー様とやっと話す体勢になった。
「先程も言った部下から苦情が上がってるにゃ。話せるニャーであれば問題はないが……意志疎通を促進する手段を考えるにゃ!」
「了解しました。このレティス、粉骨砕身の想いで邁進する所存でございます!」
敬礼した私は立ち上がると王の間を走って出て行く。
いきなり動き出した私の背で慌てた様子で肉球を上げたニャー様の姿があった事に気付く事はなかった。
「別にそこまで頑張る必要はないにゃ……もう聞いてないにゃ」
色々、諦めた様子で最近、回数が増えている溜息をニャー様は吐いた。
▼
レティスが動き出した頃、魔王城の入口で魔王軍一の苦労人ペーター少年が面倒な来訪者に頭を抱えていた。
「ちょっとだけでいいから入れてって言ってるだけでしょ!」
「だから、何度も言いますけど貴方は敵国の姫君なんですよ? 自分の立場を理解してます?」
ペーターの前には金髪のショートヘアのペーターと同じ年頃の可愛らしい少女、レティスの妹のターニャが腰に両手を当てて怒ってますと表現するようにおでこがぶつかる距離までにじり寄っていた。
最初は同じ年頃の可愛い少女が一歩踏み出せばキスが出来る距離に詰め寄られて照れを見せていたペーターであったが現在は慣れてしまってウンザリした表情を浮かべていた。
どことなく姉妹と良く分かる顔立ちであるせいか、普段からレティスに振り回されて耐性を獲得していたらしいペーターは照れより不幸だと悲しみ始めていた。
これからもこの姉妹には振り回されそうな予感しかしない為であった。
慣れた理由の1つにこのやり取りを既に1時間はしていたという理由もあったする。
もうっ! と憤慨した様子のターニャがペーターから離れると嘆息する。
「肝っ玉が小さい男ね? 非武装ならいいでしょ!?」
そう言うとペーターが止める間もなくワンピースの胸元に手を突っ込んで片っ端から取り出して脇に置いていく。
これでもかと出していくのをペーターは目を点にして見守る先のターニャの両脇に小さい山が出来ていた。
「……どうやって仕舞ってるの?」
「ちょっと黙っててくれる? まだあるから」
まだあるの? と驚くペーターを無視したターニャがワンピースのスカートを振るとドサドサと音を鳴らして落ちて行く武器の数々に口があんぐりと開く。
スカートを振っても出なくと一仕事したとばかりに額を拭うターニャ。
「これで全部よ。これで安心でしょ?」
「うん。でも違う意味で不安にもなったけどね」
本来なら止めないといけない立場である事はペーターも分かっているが諦める事にした。
多分、このやりとりを延々に続けて夜になる予感がヒシヒシしたうえに次の日も継続すると感じた為であった。
「まあ、魔王軍にたいした被害は出ないだろうけど……」
「いいなら、さっさとお姉ちゃんのところに案内して!」
はいはい、と肩を落とすペーターは背中を押されるようにして魔王城にターニャを連れていく。
深い溜息を零すペーターは先程、言いかけた言葉を新しい溜息と共に洩らす。
「きっと僕には被害はあるんだろうな……」
どこで人生を間違ったのだろうと悩む少年、ペーターであったがそれがレティスに認識されてからだという事実からソッと目を逸らした。
0
あなたにおすすめの小説
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
【完結】番としか子供が産まれない世界で
さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。
何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。
そんなニーナが番に出会うまで
4話完結
出会えたところで話は終わってます。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました
斉藤めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。
白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。
その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。
それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。
やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり――
白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。
身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。
追放された悪役令嬢はシングルマザー
ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。
断罪回避に奮闘するも失敗。
国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。
この子は私の子よ!守ってみせるわ。
1人、子を育てる決心をする。
そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。
さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥
ーーーー
完結確約 9話完結です。
短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる