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プロローグ
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雷鳴響き渡る雨雲に包まれた上空には5つの人らしき姿があった。
立ち位置として1人と4人で睨みあう形で見た形勢からも分かるが明らかに1人のほうが逃げ腰、いや、逃げる事すら思い浮かばないほど絶望の色を宿した表情で顔中に汗を浮かせる。
本来の顔色も悪い者、西洋の紳士服にマントを纏う男は精神的、肉体的に追い込まれて死人と見間違う顔色の悪さで隠せない震えは寒さからではない。
男が見つめる先には水龍に乗る見た目は長い黒髪を無造作に縛る青竜刀を背負うカンフー服の大男が口の端を上げて見つめ返してくる。
その少年に寄りそうように立つ栗色の髪の少女はカチューシャで髪を掻き上げ、半裸に近い格好で胸元を破れたシャツでビキニのようにして見える背中には刻印されたように文字が刻まれている。
咥え煙草をしているが酷く不味そうに紫煙を吐き出す様子から機嫌は最悪らしい少女は銀色の単発式の銃で肩を叩くようにして男を見ていた。
そして、その2人の露払いをするつもりのように立つ逆刃刀を携える剣道着のような格好をする白髪の少年、実際に露を払うように薙ぎ払ってきたのを目当たりしてきた。
今は閉じられて分からないが赤い瞳と纏う青い風が男の心に恐怖として刻まれた。
最後の1人は男は知っている。
いや、知っているどころではない。長い年月戦い続けてきた相手、唯一、男達側の者達と互角に争えた存在であり、敵対していた女ボスである。
ウェーブがかかった長い金髪にバニースーツの耳がない代わりに蝙蝠のような羽根が髪の隙間から覗いている。
「くそう! いつでも潰せると遊んでたばかりに!!」
「そうね、戦力比は絶望的。しかも貴方達には女神のバックアップがあった……そこから生まれた慢心から希望が、この男がやってくるチャンスが、この逆転劇を生んだ」
金髪の女は青竜刀を肩に載せる黒髪の大男の背に熱い視線を向ける。
女の言葉に激昂するように男は雄叫びを上げると掌を突き出して魔力球を生み出す。
4人どころか100人でも余裕と思える大きさまで育てると放つ。
大きさの割に速度があるものが迫るが誰も慌てる様子すら見せないどころか栗色の少女は呆れるように紫煙を吐き出す。
ぶつかる直前で閉じていた目を見開き、白髪の少年が抜刀し、魔力球を一閃で真っ二つにする。
斬られた魔力球が明後日の方向に飛び拡散して消えるのを見送らずに白髪の少年は一振りして鞘に逆刃刀を収める。
「まだ無駄だと分かりませんか?」
静かに白髪の少年に見つめられた男は荒い息でゼヒゼヒと洩らす。
その背後に栗色の髪の少女が銀色の銃を突き付けて言ってくる。
「こういう輩は口で言っても分からないさ。さっさと始末するに限るさ」
栗色の髪の少女の目が明らかに本気で言ってるのが良く分かり、男は空中で後ずさるように下がり始める。
引き金に指をかけられた瞬間、後ろに飛び出そうとする男の視線の先では黒髪の大男が銃を上から押さえるようにして下ろさせる姿があった。
下ろされた事に不満げに見上げる栗色の髪の少女に「まあ、待て」と笑いかけると男に目を向けてくる。
「確かにさっさと始末したらいい類のヤツのようだが……家の可愛い娘達の尻拭いを兼ねてやってきたのが当初の目的だったからチャンスをやろう」
「チャンスだと……?」
頷いてくる黒髪の大男を見つめながら、心で必死に自分が信望する女神に助けを求める。
だが、一向に届いた気配はない。普段ならなんらかの反応というか手応えがあるものが一切感じられない。
「負けを認めて、コイツの国、ロゼッタが治める国の者達に害しないと誓えば、ここで手打ちにしてやる」
「ふざけるな! 我はこの世界の王! 唯一絶対神の女神に指名された我に!」
「いい加減に現実を見つめなさい」
金髪の女、ロゼッタは自分達の下方、地面に敷きつめられるように苦痛に呻く兵達、取り分け大袈裟にも派手な格好をする4人組を指差す。
「貴方が誇る軍、1万の軍勢と貴方の自慢の4将軍すらこの3人に10分で壊滅。しかも手加減されて死者は0。どうやって勝てると言うの?」
「くぅ!! まだ、まだだ! 我の女神の力があればきっと逆転出来る。我を救い給え、我の女神の……」
「しつこいさ? 今までも必死に祈ってたのに手応えなかったはずさ?」
栗色の髪の少女に言われた男は表情を凍らせて固まるのを見て嘆息すると白髪の少年に目を向ける。
「言ってやりな、テツ」
「はい、ホーラ姉さん。貴方が信望する女神はもう存在しません。一刀で存在の全てを消滅しました」
「ば、馬鹿な! そんな事が出来る奴が存在……」
まさか、と思いつつもその可能性がある人物に気付く。
確かに3人に男の軍は壊滅状態にされたが実質、ホーラとテツはいなくても戦局は変わらなかっただろうと思わせる存在。
青竜刀を肩に載せる大男の存在に気付いてしまう。
男はゆっくりとホーラとテツが後ろに控えるようにいる黒髪の大男を見つめると情けない顔をする男を笑うように口の端を上げ、テツとホーラを掻き分けるようにしてゆっくりと滑るように前に出てくる。
前に出てくる大男を恐れるように下がる男の目で捉えられなかった動きで眼前に詰め寄られる。
覗き込まれるようにされて蛇に睨まれた蛙のように固まる男は震える声音で問う。
「お、お前は何者なんだ……」
「俺か? 名を雄一。俺の事を色んな呼び方するヤツがいるが敢えて言うなら……」
男の眼前で中指を親指で引っかけるようにしてしならせる大男は「へっ!」と口の端を上げてた隙間から洩らす。
「沢山の可愛い子供達に囲まれたこの世で一番幸せなお父さんだっ!!」
中指をしならせ、「反省しやがれ!」と言い放ち男の額に叩きつける。
男は悲鳴すら上げれずに最強のデコピンで世界の果てを確認するように吹き飛んで行った。
そして、数十年の年月が流れる。
立ち位置として1人と4人で睨みあう形で見た形勢からも分かるが明らかに1人のほうが逃げ腰、いや、逃げる事すら思い浮かばないほど絶望の色を宿した表情で顔中に汗を浮かせる。
本来の顔色も悪い者、西洋の紳士服にマントを纏う男は精神的、肉体的に追い込まれて死人と見間違う顔色の悪さで隠せない震えは寒さからではない。
男が見つめる先には水龍に乗る見た目は長い黒髪を無造作に縛る青竜刀を背負うカンフー服の大男が口の端を上げて見つめ返してくる。
その少年に寄りそうように立つ栗色の髪の少女はカチューシャで髪を掻き上げ、半裸に近い格好で胸元を破れたシャツでビキニのようにして見える背中には刻印されたように文字が刻まれている。
咥え煙草をしているが酷く不味そうに紫煙を吐き出す様子から機嫌は最悪らしい少女は銀色の単発式の銃で肩を叩くようにして男を見ていた。
そして、その2人の露払いをするつもりのように立つ逆刃刀を携える剣道着のような格好をする白髪の少年、実際に露を払うように薙ぎ払ってきたのを目当たりしてきた。
今は閉じられて分からないが赤い瞳と纏う青い風が男の心に恐怖として刻まれた。
最後の1人は男は知っている。
いや、知っているどころではない。長い年月戦い続けてきた相手、唯一、男達側の者達と互角に争えた存在であり、敵対していた女ボスである。
ウェーブがかかった長い金髪にバニースーツの耳がない代わりに蝙蝠のような羽根が髪の隙間から覗いている。
「くそう! いつでも潰せると遊んでたばかりに!!」
「そうね、戦力比は絶望的。しかも貴方達には女神のバックアップがあった……そこから生まれた慢心から希望が、この男がやってくるチャンスが、この逆転劇を生んだ」
金髪の女は青竜刀を肩に載せる黒髪の大男の背に熱い視線を向ける。
女の言葉に激昂するように男は雄叫びを上げると掌を突き出して魔力球を生み出す。
4人どころか100人でも余裕と思える大きさまで育てると放つ。
大きさの割に速度があるものが迫るが誰も慌てる様子すら見せないどころか栗色の少女は呆れるように紫煙を吐き出す。
ぶつかる直前で閉じていた目を見開き、白髪の少年が抜刀し、魔力球を一閃で真っ二つにする。
斬られた魔力球が明後日の方向に飛び拡散して消えるのを見送らずに白髪の少年は一振りして鞘に逆刃刀を収める。
「まだ無駄だと分かりませんか?」
静かに白髪の少年に見つめられた男は荒い息でゼヒゼヒと洩らす。
その背後に栗色の髪の少女が銀色の銃を突き付けて言ってくる。
「こういう輩は口で言っても分からないさ。さっさと始末するに限るさ」
栗色の髪の少女の目が明らかに本気で言ってるのが良く分かり、男は空中で後ずさるように下がり始める。
引き金に指をかけられた瞬間、後ろに飛び出そうとする男の視線の先では黒髪の大男が銃を上から押さえるようにして下ろさせる姿があった。
下ろされた事に不満げに見上げる栗色の髪の少女に「まあ、待て」と笑いかけると男に目を向けてくる。
「確かにさっさと始末したらいい類のヤツのようだが……家の可愛い娘達の尻拭いを兼ねてやってきたのが当初の目的だったからチャンスをやろう」
「チャンスだと……?」
頷いてくる黒髪の大男を見つめながら、心で必死に自分が信望する女神に助けを求める。
だが、一向に届いた気配はない。普段ならなんらかの反応というか手応えがあるものが一切感じられない。
「負けを認めて、コイツの国、ロゼッタが治める国の者達に害しないと誓えば、ここで手打ちにしてやる」
「ふざけるな! 我はこの世界の王! 唯一絶対神の女神に指名された我に!」
「いい加減に現実を見つめなさい」
金髪の女、ロゼッタは自分達の下方、地面に敷きつめられるように苦痛に呻く兵達、取り分け大袈裟にも派手な格好をする4人組を指差す。
「貴方が誇る軍、1万の軍勢と貴方の自慢の4将軍すらこの3人に10分で壊滅。しかも手加減されて死者は0。どうやって勝てると言うの?」
「くぅ!! まだ、まだだ! 我の女神の力があればきっと逆転出来る。我を救い給え、我の女神の……」
「しつこいさ? 今までも必死に祈ってたのに手応えなかったはずさ?」
栗色の髪の少女に言われた男は表情を凍らせて固まるのを見て嘆息すると白髪の少年に目を向ける。
「言ってやりな、テツ」
「はい、ホーラ姉さん。貴方が信望する女神はもう存在しません。一刀で存在の全てを消滅しました」
「ば、馬鹿な! そんな事が出来る奴が存在……」
まさか、と思いつつもその可能性がある人物に気付く。
確かに3人に男の軍は壊滅状態にされたが実質、ホーラとテツはいなくても戦局は変わらなかっただろうと思わせる存在。
青竜刀を肩に載せる大男の存在に気付いてしまう。
男はゆっくりとホーラとテツが後ろに控えるようにいる黒髪の大男を見つめると情けない顔をする男を笑うように口の端を上げ、テツとホーラを掻き分けるようにしてゆっくりと滑るように前に出てくる。
前に出てくる大男を恐れるように下がる男の目で捉えられなかった動きで眼前に詰め寄られる。
覗き込まれるようにされて蛇に睨まれた蛙のように固まる男は震える声音で問う。
「お、お前は何者なんだ……」
「俺か? 名を雄一。俺の事を色んな呼び方するヤツがいるが敢えて言うなら……」
男の眼前で中指を親指で引っかけるようにしてしならせる大男は「へっ!」と口の端を上げてた隙間から洩らす。
「沢山の可愛い子供達に囲まれたこの世で一番幸せなお父さんだっ!!」
中指をしならせ、「反省しやがれ!」と言い放ち男の額に叩きつける。
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そして、数十年の年月が流れる。
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