文字の大きさ
大
中
小
1 / 44
プロローグ 地球人は地球人に殺らせることにしました
「ほんっっと迷惑しとるんじゃ地球からの転生者どもには!! なんなのあいつら、別の世界に迷惑かけちゃいけませんて小さいころに習わんかったの!?」
オークの女王オ・ルナは、城の居室の床をドンドン叩いて怒りをあらわにしていた。
深夜の王宮に、女王の叫び声と床ドンの音が響き渡る。
うるせえな、と俺は耳をふさいだ。
「おいルナ、落着け。深夜に迷惑だろ。召使いのみなさんも心配してるぞ」
女王の居室に集ったレッサーオークのメイドたちは、面白いようにおろおろしており、NPCみたいに部屋を歩き回っている。うっとおしいな……。
しかし女王ルナは心配する部下にかまわず、どんどんヒートアップしていく。
ルナはエルフによく似た美貌をゆがめ、「地球人まじ許さん……ぜってー殺す……まじ殺す……」と呪いの言葉を吐き続けている。
相当地球人にむかついているようで、どんな言葉も耳に入らない状態のようだ。
まあ、怒るのも無理はない。
つい先ほど、シーラ山ふもとのオークの砦が陥落したのだ。
地球からきた転生者の手によって。
地球人はおもしろ半分にこういうことをするのだ。
転生するとき女神からもらったチートな力をいたずらに振り回す。
この世界のデミ・ヒューマンを『魔物』呼ばわりし、いじめて回る。
今回は幸い死傷者は出なかったのだが、損害はかなり大きいだろう。
深夜にぐっすり寝てたところを叩き起こされ、砦陥落の報を受けた女王ルナは、猛り狂って居室のものを手当たり次第に破壊した。
そして獣のような咆哮をとどろかせた。
別室で寝ていた俺やメイドたちはその声に驚き、ここにつどったというわけだ。
**
「ちっきしょー……腹立つんじゃー……地球人まじむかつくんじゃー……オークならなにしてもいいってわけじゃないっちゅーに……」
朝方になってもまだ、ルナはぐずり続けていた。豪奢《ごうしゃ》なベッドの上で膝をかかえ、ぶつぶつと恨み言をつぶやいている。
「わかるわかる、すげーわかるー」
ベッドの脇に座る俺は、適当にあいづちをうって話を合わせる。
女が怒ってる時はとりあえず共感してやればいい、って昔誰かに教わった。
ちなみに、レッサーオークのメイドたちは、そこらの床で寝落ちしている。
主人の部屋で寝るとかほんとつかえねえなこいつら。
俺は「わかる、その怒りわかるー」と繰り返しながら、ルナの胸元に目をやっる。
ルナの寝巻の真っ白なネグリジェは胸元が空いており、たわわな双丘がけっこうぎりぎりのところまでのぞいている。
もう少し身をかがめてくれれば、先端が見えるのだが……――と。
「決めた!!」
ルナは突然ベットの上に立ち上がった。決意を固めるように、こぶしを固めるルナ。
「わらわ……この世界にきた地球からの転生者、全員ぶち殺すことに決めた!」
「全員? へえ。じゃあ俺も殺すのか?」
自己紹介が遅れたが、俺の名前はカトー・トモキ。
地球からの転生者だ。
地球で死んだ俺は、女神さまにとあるユニークスキルをもらい、チート状態でこの世界に転生してきた。
俺の種族はヒューマン――つまり普通の人間だが、わけあって現在はオークの女王オ・ルナの居城に客人として滞在している。
地球からの転生者は普通、オークにとっては天敵なのだが、俺とルナはいろいろ苦楽を共にしたので仲がいい。
「カトーよ、そなたは地球人とはいえ我が友じゃ! お前だけは殺さんよ。ああ、わらわとそなたは対等じゃ」
どうやらルナは、親友である俺だけは殺意の対象から除外してくれるらしい。
よかった。これでもうしばらく、このエロいオークの女王様と仲良くしていられる。
「ところでカトーよ、友のそなたに一つお願いなんじゃが……」
ルナは両手の人差し指を合わせて、もじもじと体をよじる。
「わらわのかわりに地球人ぶっころしてくれんか……? 地球人みんなつえーからのう。わらわじゃ勝てんのよ。同じ地球人のそなたじゃないと……」
友の願いとはいえ、なんで同じ地球出身者を俺が殺さなきゃいけないんだ、ふざけるな!
俺はカッとなって思わず怒鳴りそうになり――いや待てよ。
ここで、こいつに言うことを聞いてやれば――あれが、手に入り安くなるのでは?
「いいぞ」
俺が即答すると、ルナは喜色満面、ぴょんと飛び跳ねた。
「まじか!? 言ってみるもんじゃのう! 最っっ高!! カトー最高!! ヒュー!かっくいー! そなた今一番輝いてるよ!」
「ただし」と俺は続けた。「条件がある」
「じょ、条件……?」
「ああ。俺は同胞の地球からの転生者を、お前のために殺ってやる。その対価として――ルナ、お前の体を好きにさせてくれ」
俺は、ずっとルナが欲しかった。
だって超エロいんだもんこいつ。
感想 0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
最初から最強ぼっちの俺は英雄になります
総長ヒューガいつも通りに一人ぼっちでゲームをしていた、そして疲れて寝ていたら、人々の驚きの声が聞こえた、目を開けてみるとそこにはゲームの世界だった、これから待ち受ける敵にも勝たないといけない、予想外の敵にも勝たないといけないぼっちはゲーム内の英雄になれるのか!
幻影魔法で毎回仲間を庇い死に掛けるフリをしていたら、ヒロイン達がヤンデレ化した。バレたら殺されるので、今日も俺は震えながら幻影魔法を使う
お餅ミトコンドリア 現代日本から赤ん坊として異世界転生したシスコン少年ライは、五歳の時に一念発起、七年間我流で剣技を鍛えた上で冒険者登録し、年上の美少女たちの冒険者パーティに入れて欲しいと下心満載で頼む。
が、冷たく断られた。
彼女たちは、美少女(&美女)ばかりという珍しいパーティで、今までも散々軽薄な男たちから言い寄られていたため、心底うんざりしていたのだ。
ライは諦めずに懇願し続け、ようやく加入を許されたが、冒険者になりたての彼は、それまでの剣技の訓練の成果を全く発揮出来ず、美少女たちから見限られてしまいそうになる。
焦った彼は、奥の手を使うことにした。
それは、剣士の彼が何故か持っていた固有スキル、幻影魔法だった。
それから三年。
最近は、幻影魔法を用いて、毎回仲間を庇って瀕死の重傷を負う〝フリ〟をするようになった。
そのおかげで、モンスターを欺き、その隙に仲間たちが攻撃して倒すという流れが出来て、やっとライは彼女たちに貢献出来るようになった。
しかし、ある日。
どうやら限界が訪れたようで。
「……ライ君、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい本当にごめんなさい……」
「……ああああ! もしあんたが死んじまったら、あたいは……あたいはああああああああ! ……そうだ……あんたが死なないようにすれば良いんだ……そうすれば、ずっと一緒にいられる……ライ。あたいの肉を食べておくれ。ハイエルフの肉にも、人魚みたいに不老不死の効果があるんじゃないかい?」
「ファラのせいで、ライライは酷い目に遭っちゃったの……本当にごめんなさい……本当に……本当に……本当に……。……お詫びと言ってはなんだけど、ファラの血をあげるの。ファラは精霊の血を受け継いでるから。これできっとライライの身体の痛みも消えるの。あと、先日ファラに発現した固有スキル〝超知覚〟で、ライライの内臓の状態を常に知覚してあげるの! 脳も、心臓も、肺も、胃も、膀胱も、小腸も、大腸も、全部の健康をファラが管理してあげるの!」
……あれ? おかしいな……
何か、みんな……ヤンデレ化してない?
……もしかして、これ……
『全部幻(うそ)でした』ってバレたら……殺されるんじゃね?
(※現在、第6回次世代ファンタジーカップに参加しています。
もし宜しければお気に入りに追加して応援して頂けましたら嬉しいです。何卒宜しくお願いいたします)
男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺
マオセン突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。
その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。
彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。
そして....彼の身体は大丈夫なのか!?
異世界から元の世界に派遣された僕は他の勇者たちとは別にのんびり暮らします【DNAの改修者ー外伝】
kujibiki異世界で第二の人生の大往生を迎えた僕は再びあの場所へ飛ばされていた。
※これは『DNAの改修者』のアフターストーリーとなります。
『DNAの改修者』を読まなくても大丈夫だとは思いますが、気になる方はご覧ください。
※表紙は生成AIで作ってみたイメージです。(シャルルが難しい…)
趣味で人助けをしていたギルマス、気付いたら愛の重い最強メンバーに囲まれていた
歩く魚働きたくない元社畜、異世界で見つけた最適解は――「助成金で生きる」ことだった。
剣と魔法の世界に転生したシンは、冒険者として下積みを積み、ついに夢を叶える。
それは、国家公認の助成金付き制度――ギルド経営によって、働かずに暮らすこと。
そして、その傍で自らの歪んだ性癖を満たすため、誰に頼まれたわけでもない人助けを続けていたがーー
「ご命令と解釈しました、シン様」
「……あなたの命、私に預けてくれるんでしょ?」
次第にギルドには、主人公に執着するメンバーたちが集まり始め、気がつけばギルドは、愛の重い最強集団になっていた。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!