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4日目
4日目 2
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ちょうどその頃、愁は職員室に行き昨日までの報告を茉莉にしていた。
「愁、これ整頓しといたから」
茉莉は、愁に書類を渡した。
「茉莉先生、ありがとうございます」
書類を受け取り、内容を確認した。
「いや~、まぁ俺も去年の会長は言うこと聞かなかったし、野放しにしちゃってたから責任感じてたしね」
「顔が笑ってますよ」
愁は、茉莉の顔がにやけているのを指摘した。
「あ、悪い。顔に出てた?」
茉莉は顔に手を当てた。
「いや~、もう恋人が可愛くて困るよね」
書類を全て確認した。
さすが元生徒会長だ。
解りやすく書類に、まとめてある。
「はぁ、仲が良いのは良いことですね」
詳しく聞く事もないので、軽く返事をした。
「…」
愁は時計を見た。
咲との約束の時間に、10分程遅れてしまった。
生徒会室には颯人がいるから大丈夫だろうが、早く会いたいと思ってしまう。
「時間なので、失礼します」
「愁、咲のこと頑張れよ!」
「…」
それに関しては何も言わずに、ペコと頭を下げて職員室を出た。
少し廊下を歩いていくと、息を切らしている天に会った。
部活動の部長達を撒いたらしく、天は1人だった。
天は愁の姿を見ると途端に、顔を歪ませた。
「チッ」
舌打ちされた。
愁はそういうことは気にしないので、声をかけた。
「高城君、入学式の時はお疲れ様」
「はぁ」
冷たくあしらう。
しかし、愁は続けた。
「咲とは、幼馴染みだって聞いたけど?」
(呼び捨てかよ!)
天はイラッとした。
「俺から1つだけ言います。…咲を巻き込むのを止めて下さい、先輩」
低いドスの聞いた声で言った。
しかし、愁は怯む事もなく天を見たままだ。
「…それは、咲が俺に面と向かって言ったなら、聞くよ」
「断れないから、俺が言うんです」
「咲が断れないって言ったの?」
「いいえ、でも咲の事はわかります」
強く言った。
「咲は誰に対しても優しくて、傷つきやすい。先輩は咲を利用している」
愁は首を横にふった。
「…それは違う」
「は?」
天は愁が先輩なのに、思わずタメ口を叩いた。
「利用しようとはしていない。咲には感謝をしているよ」
「何を言って…」
「世界を見せてくれた」
愁は穏やかな顔をしていた。
「自分には十分過ぎるほど、与えてくれた」
「…?」
天は愁が何を言っているのかが、解らなかった。
「咲が面と向かって断ってくれたら俺も諦めて、しつこくしない。寧ろ強制はしないと、咲には言っている」
天はびっくりした。
(強制は、しない?)
諦められるということなのか。
それを聞いて、またイラッとした。
(すぐに諦められるって事かよっ!)
昨日の咲の態度だと、愁の事が好きだとわかった。
(会長もさっきの話だと咲の事が好きだと思ったのに、そんな軽い気持ちで咲に会っていたのか!)
頭は混乱していた。
「諦められるって事ですか!!」
思っていた事を、叫んでいた。
「…」
愁は驚いた顔をしていた。
それもそのはず、天がさっきと違う事を言っているからだ。
「諦める位なら、初めから側に置くな!!」
「…そう、だね」
状況がわからない人が見たら、どっちが先輩かわからない口調になっていた。
「愁、これ整頓しといたから」
茉莉は、愁に書類を渡した。
「茉莉先生、ありがとうございます」
書類を受け取り、内容を確認した。
「いや~、まぁ俺も去年の会長は言うこと聞かなかったし、野放しにしちゃってたから責任感じてたしね」
「顔が笑ってますよ」
愁は、茉莉の顔がにやけているのを指摘した。
「あ、悪い。顔に出てた?」
茉莉は顔に手を当てた。
「いや~、もう恋人が可愛くて困るよね」
書類を全て確認した。
さすが元生徒会長だ。
解りやすく書類に、まとめてある。
「はぁ、仲が良いのは良いことですね」
詳しく聞く事もないので、軽く返事をした。
「…」
愁は時計を見た。
咲との約束の時間に、10分程遅れてしまった。
生徒会室には颯人がいるから大丈夫だろうが、早く会いたいと思ってしまう。
「時間なので、失礼します」
「愁、咲のこと頑張れよ!」
「…」
それに関しては何も言わずに、ペコと頭を下げて職員室を出た。
少し廊下を歩いていくと、息を切らしている天に会った。
部活動の部長達を撒いたらしく、天は1人だった。
天は愁の姿を見ると途端に、顔を歪ませた。
「チッ」
舌打ちされた。
愁はそういうことは気にしないので、声をかけた。
「高城君、入学式の時はお疲れ様」
「はぁ」
冷たくあしらう。
しかし、愁は続けた。
「咲とは、幼馴染みだって聞いたけど?」
(呼び捨てかよ!)
天はイラッとした。
「俺から1つだけ言います。…咲を巻き込むのを止めて下さい、先輩」
低いドスの聞いた声で言った。
しかし、愁は怯む事もなく天を見たままだ。
「…それは、咲が俺に面と向かって言ったなら、聞くよ」
「断れないから、俺が言うんです」
「咲が断れないって言ったの?」
「いいえ、でも咲の事はわかります」
強く言った。
「咲は誰に対しても優しくて、傷つきやすい。先輩は咲を利用している」
愁は首を横にふった。
「…それは違う」
「は?」
天は愁が先輩なのに、思わずタメ口を叩いた。
「利用しようとはしていない。咲には感謝をしているよ」
「何を言って…」
「世界を見せてくれた」
愁は穏やかな顔をしていた。
「自分には十分過ぎるほど、与えてくれた」
「…?」
天は愁が何を言っているのかが、解らなかった。
「咲が面と向かって断ってくれたら俺も諦めて、しつこくしない。寧ろ強制はしないと、咲には言っている」
天はびっくりした。
(強制は、しない?)
諦められるということなのか。
それを聞いて、またイラッとした。
(すぐに諦められるって事かよっ!)
昨日の咲の態度だと、愁の事が好きだとわかった。
(会長もさっきの話だと咲の事が好きだと思ったのに、そんな軽い気持ちで咲に会っていたのか!)
頭は混乱していた。
「諦められるって事ですか!!」
思っていた事を、叫んでいた。
「…」
愁は驚いた顔をしていた。
それもそのはず、天がさっきと違う事を言っているからだ。
「諦める位なら、初めから側に置くな!!」
「…そう、だね」
状況がわからない人が見たら、どっちが先輩かわからない口調になっていた。
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