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第十七章 朝
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鍵の音が、思ったより大きく響く。
「……ただいま」
声は低く、控えめ。リビングの灯りはついている。悠は起きていた。
ソファに座ったまま、スマホを見ている。寝ていない。きっと、待っていた。
「おかえり」
声は静か。怒ってもいない。責めてもいない。それが、胸に刺さる。
「……ごめん。遅くなって」
言い訳は用意していた。でも、出てこない。理由を言えば、嘘になる。
悠は、立ち上がらない。近づかない。ただ、視線だけが絢聖を追う。距離を詰めないという選択。
「……大丈夫?だいぶ酔ってたって父さんから聞いたけど?」
すでに言い訳は用意されていた。秋頼に、悠に嘘を吐けないだろうことを見抜かれていた。
「……」
無言で頷く。
「なら、よかった」
悠は一瞬だけ視線を逸らす。その一瞬で、絢聖は知る。
――あ、気づいてる。
「……シャワー、先に使う?」
いつもの言葉。日常に戻そうとしている。
「うん。ありがとう」
そう言って、絢聖は廊下を歩く。背中に視線だけを感じ続ける。何も言えない悠の優しさが伝わってくる。
浴室のドアが閉まる。
その音が、拒絶に聞こえる。
今の、絢聖は…きっと嘘を吐けない。
問いただせば全てが失われる。穏やかさを選ぶ。それが、悠の生き方だった。
「……ただいま」
声は低く、控えめ。リビングの灯りはついている。悠は起きていた。
ソファに座ったまま、スマホを見ている。寝ていない。きっと、待っていた。
「おかえり」
声は静か。怒ってもいない。責めてもいない。それが、胸に刺さる。
「……ごめん。遅くなって」
言い訳は用意していた。でも、出てこない。理由を言えば、嘘になる。
悠は、立ち上がらない。近づかない。ただ、視線だけが絢聖を追う。距離を詰めないという選択。
「……大丈夫?だいぶ酔ってたって父さんから聞いたけど?」
すでに言い訳は用意されていた。秋頼に、悠に嘘を吐けないだろうことを見抜かれていた。
「……」
無言で頷く。
「なら、よかった」
悠は一瞬だけ視線を逸らす。その一瞬で、絢聖は知る。
――あ、気づいてる。
「……シャワー、先に使う?」
いつもの言葉。日常に戻そうとしている。
「うん。ありがとう」
そう言って、絢聖は廊下を歩く。背中に視線だけを感じ続ける。何も言えない悠の優しさが伝わってくる。
浴室のドアが閉まる。
その音が、拒絶に聞こえる。
今の、絢聖は…きっと嘘を吐けない。
問いただせば全てが失われる。穏やかさを選ぶ。それが、悠の生き方だった。
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