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第三十六章 一番重い男
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部屋が広い。何も変わってない。家具も配置も匂いも。
それなのに、絢聖がいないだけで全部違うように感じる。
ソファに座る。音がやけに大きい。クッションの沈み方まで、前と違う気がしてくる。
-ーあいつはもう、戻ってこない。
スマホに通知は来ていない。来るはずもない。
-ーちゃんと自分で選んだ顔してた。
最後に見た絢聖の顔。泣いても、逃げてもいなかった。
あれは、反則だろ。あんな顔されたら、引き止める言葉なんか出てこない。手で顔を覆う。
俺は守ることばかり、考えてた。傷つけない、不安にさせない、依存させないように。正しくいるために。
でも、あいつは正しさじゃ生きてなかった。揺れながら、誰かに影響与えながら、それを燃料にして、立つ男だった。
俺は、それをどう受け止めるべきか分からなかった。関わり方を知らないまま、やめろって顔だけしてた。
息を吐く。負けたわけじゃない。でも、選ばれなかった理由は分かる。
俺は、あいつの揺れを止めることしか考えてなかった。
絢聖は、揺れたまま生きる覚悟を決めた。それを支える男を選んだ。その選択を、俺は否定できない。
秋頼はズルい。でも、逃げなかった。揺れごと引き受ける覚悟をちゃんと見せてた。
俺は、理性を捨てられない。捨てたら俺じゃなくなる。だから、絢聖の人生に踏み込みきる覚悟を持てなかった。
受け取りきれない、愛をもらって返せないことがきつかった。それが、重かった。
それでも、結局最後は、嫉妬も、熱情も、全てを燃やし尽くした。愛しきった。絢聖は、それを、させる、したいと思うだけの男だった。
壁に背中を預ける。
俺は本気で絢聖を愛してた。それでも、あいつを依存させなかったこと、今でも後悔してない。でも、それしか出来なかったのも事実だ。
天井を見る。次に誰かを好きになっても、自分は理性を捨てきれないだろう。でも、次は素直に生きたい。
受け止めたいけど、今は重いとか。覚悟を持ちたいけど、待って欲しいとか。怖いけど、踏み込みたいとか。もっと、言葉で伝えていきたい。温度ある愛を選びたい。今度はそんな恋がしたい。
スマホを手に取る。連絡先を開く。閉じる。
今も好きだ…好きで好きで仕方ない。だから、連絡しない。
これ以上、傷つけない。それが俺の最後の愛し方だった。
深く息を吸う。吐く。絢聖、お前はきちんと自分で生き方選んだ。それだけで、俺はもう何も言えない。
次の恋は、触れる距離で愛したい。素直に生きたい。だから、違う場所に立ちながら、俺は絢聖と同じく前に進む。それが出来たとき、絢聖はかつての恋人から、人生の一部に変わる。
「馬鹿…俺の重さ、少しは理解しろよ」
その声は届かない。けれど、言葉にしたことで救われたものはあった。
それなのに、絢聖がいないだけで全部違うように感じる。
ソファに座る。音がやけに大きい。クッションの沈み方まで、前と違う気がしてくる。
-ーあいつはもう、戻ってこない。
スマホに通知は来ていない。来るはずもない。
-ーちゃんと自分で選んだ顔してた。
最後に見た絢聖の顔。泣いても、逃げてもいなかった。
あれは、反則だろ。あんな顔されたら、引き止める言葉なんか出てこない。手で顔を覆う。
俺は守ることばかり、考えてた。傷つけない、不安にさせない、依存させないように。正しくいるために。
でも、あいつは正しさじゃ生きてなかった。揺れながら、誰かに影響与えながら、それを燃料にして、立つ男だった。
俺は、それをどう受け止めるべきか分からなかった。関わり方を知らないまま、やめろって顔だけしてた。
息を吐く。負けたわけじゃない。でも、選ばれなかった理由は分かる。
俺は、あいつの揺れを止めることしか考えてなかった。
絢聖は、揺れたまま生きる覚悟を決めた。それを支える男を選んだ。その選択を、俺は否定できない。
秋頼はズルい。でも、逃げなかった。揺れごと引き受ける覚悟をちゃんと見せてた。
俺は、理性を捨てられない。捨てたら俺じゃなくなる。だから、絢聖の人生に踏み込みきる覚悟を持てなかった。
受け取りきれない、愛をもらって返せないことがきつかった。それが、重かった。
それでも、結局最後は、嫉妬も、熱情も、全てを燃やし尽くした。愛しきった。絢聖は、それを、させる、したいと思うだけの男だった。
壁に背中を預ける。
俺は本気で絢聖を愛してた。それでも、あいつを依存させなかったこと、今でも後悔してない。でも、それしか出来なかったのも事実だ。
天井を見る。次に誰かを好きになっても、自分は理性を捨てきれないだろう。でも、次は素直に生きたい。
受け止めたいけど、今は重いとか。覚悟を持ちたいけど、待って欲しいとか。怖いけど、踏み込みたいとか。もっと、言葉で伝えていきたい。温度ある愛を選びたい。今度はそんな恋がしたい。
スマホを手に取る。連絡先を開く。閉じる。
今も好きだ…好きで好きで仕方ない。だから、連絡しない。
これ以上、傷つけない。それが俺の最後の愛し方だった。
深く息を吸う。吐く。絢聖、お前はきちんと自分で生き方選んだ。それだけで、俺はもう何も言えない。
次の恋は、触れる距離で愛したい。素直に生きたい。だから、違う場所に立ちながら、俺は絢聖と同じく前に進む。それが出来たとき、絢聖はかつての恋人から、人生の一部に変わる。
「馬鹿…俺の重さ、少しは理解しろよ」
その声は届かない。けれど、言葉にしたことで救われたものはあった。
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