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戴冠の栄光、断罪の果てに
25.アリシアの戴冠
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王宮の広間には、煌めかしいシャンデリアの光が降り注ぎ、荘厳な空気が漂っていた。
豪奢な赤絨毯が玉座までまっすぐに敷かれ、両脇には重鎮の公爵や侯爵、騎士団長、さらには各地の領主までもが整列している。
国王が直々に召集した「臨時御前会議」に呼ばれた者は、王国の中枢を担う者ばかりだった。
その中央に立つのは、淡い金の髪を揺らす少女――アリシア・フローレンス。レオンが隣に立ち、彼女を守るかのように一歩後ろで支えている。
その眼差しは誇らしさと慈しみに満ちており、誰が見ても彼女を何よりも大切に思っていることは明らかだった。
しかし当のアリシアは、己の胸に宿る魔力の大きさに戸惑いを隠せない。
先日の戦闘で目覚めた「星光魔法」は、ただの希少属性ではなく、古代王家に連なる始祖が残した究極の力――王国を守護する“正統なる継承者”の証だったのだ。
◇ ◇ ◇
「静粛に」
国王の一声に広間はぴたりと沈黙した。その瞳は深い緑を湛え、玉座の上からアリシアを見据える。
「先日の混乱において明らかになった事実を、ここに告げる。アリシア嬢は『古代魔法の継承者』である」
ざわめきが広がる。
「まさか……伝承は真実だったのか」
「数百年ぶりの継承者が現れるとは……」
「星光と治癒、古代魔法……これ以上の才を持つ者など他におらぬ」
公爵たちが次々と声を上げる。なかには嫉妬を滲ませる者もいたが、王国を守るという大義の前に否定は許されない。
国王はさらに言葉を重ねる。
「王家と並び立つ存在として、我らはこの力を軽んじてはならぬ。……諸卿、意見を述べよ」
会議は激論となった。
「王国の守護者として公的に称号を与えるべきだ」
「いや、彼女はまだ若い。利用を目論む者も現れるやもしれぬ」
「守るべきは本人の意思だ。強制はすべきではない」
それぞれの思惑が交錯する中、レオンが一歩進み出る。
◇ ◇ ◇
「陛下、諸卿。……彼女はただの“力”ではありません」
鋭い視線と揺るぎない声音で、レオンは広間全体に響き渡るように告げた。
「アリシアは優しさと誇りを持つ令嬢であり、その心こそがこの国を照らすのです。どうか彼女を“道具”ではなく、“戴冠すべき存在”としてお認めください」
その言葉に、アリシアの頬は赤く染まる。会議の場でここまで真っ直ぐに想いを語られるとは思ってもいなかった。だが、彼の真剣な眼差しに、胸の奥が温かく震える。
沈黙を破ったのは、老練な宰相だった。
「……確かに。究極の力ゆえ、強大な魔力、そして真の優しさと誇りを併せ持つ者でなければ発現できぬはず。事実これまで現れなかった故伝説と言われていたのだ。我らがその功績を讃えぬ理由はあるまい」
賛同の声が次々に上がり、やがて国王がうなずいた。
◇ ◇ ◇
「アリシア・フローレンス」
国王が名を呼ぶと、アリシアはおずおずと一歩前に進み、深く頭を下げる。
「汝の才と心を称え、ここに“星光の継承者”として戴冠を許す」
黄金の冠が捧げられ、国王自らが彼女の頭上に置いた瞬間、広間はまばゆい光に包まれた。アリシアの内に宿る魔力が呼応し、星々のきらめきのような光が天井まで舞い上がる。
「おお……!」
「まるで女神の顕現だ……!」
貴族たちは感嘆の声を上げ、騎士たちは剣を掲げて敬礼する。
アリシアは胸の奥からこみ上げる温かな力を感じながら、静かに瞳を閉じた。
これまで冷遇され、存在すら否定されてきた自分が――今、国中から称えられている。
◇ ◇ ◇
戴冠の後、宮廷の夜会が開かれた。
社交界の令嬢たちは一様に目を輝かせ、アリシアを取り囲む。
「アリシア様、本当にお美しい……!」
「羨ましいわ。憧れの存在ですわ」
「どうか少しでもお話をさせてくださいませ」
かつて陰口を叩かれ、舞台の端に追いやられていた少女が、今や誰もが憧れる中心にいる。その変化にアリシア自身も戸惑いながら、微笑みを返す。
そんな彼女を後ろから抱き寄せるようにして、レオンが囁いた。
「……これで、ようやく世界が君の価値を知った。だが、誰よりも先に気づいていたのは俺だ」
アリシアは頬を染め、胸の奥が熱くなる。彼の言葉に偽りはなく、だからこそ心臓が跳ねるほど嬉しい。
こうしてアリシアは、国中に称えられる「星光の継承者」として戴冠を果たした。
その姿は人々の心を照らし、王国に新たな時代の幕開けを告げる光となるのだった。
豪奢な赤絨毯が玉座までまっすぐに敷かれ、両脇には重鎮の公爵や侯爵、騎士団長、さらには各地の領主までもが整列している。
国王が直々に召集した「臨時御前会議」に呼ばれた者は、王国の中枢を担う者ばかりだった。
その中央に立つのは、淡い金の髪を揺らす少女――アリシア・フローレンス。レオンが隣に立ち、彼女を守るかのように一歩後ろで支えている。
その眼差しは誇らしさと慈しみに満ちており、誰が見ても彼女を何よりも大切に思っていることは明らかだった。
しかし当のアリシアは、己の胸に宿る魔力の大きさに戸惑いを隠せない。
先日の戦闘で目覚めた「星光魔法」は、ただの希少属性ではなく、古代王家に連なる始祖が残した究極の力――王国を守護する“正統なる継承者”の証だったのだ。
◇ ◇ ◇
「静粛に」
国王の一声に広間はぴたりと沈黙した。その瞳は深い緑を湛え、玉座の上からアリシアを見据える。
「先日の混乱において明らかになった事実を、ここに告げる。アリシア嬢は『古代魔法の継承者』である」
ざわめきが広がる。
「まさか……伝承は真実だったのか」
「数百年ぶりの継承者が現れるとは……」
「星光と治癒、古代魔法……これ以上の才を持つ者など他におらぬ」
公爵たちが次々と声を上げる。なかには嫉妬を滲ませる者もいたが、王国を守るという大義の前に否定は許されない。
国王はさらに言葉を重ねる。
「王家と並び立つ存在として、我らはこの力を軽んじてはならぬ。……諸卿、意見を述べよ」
会議は激論となった。
「王国の守護者として公的に称号を与えるべきだ」
「いや、彼女はまだ若い。利用を目論む者も現れるやもしれぬ」
「守るべきは本人の意思だ。強制はすべきではない」
それぞれの思惑が交錯する中、レオンが一歩進み出る。
◇ ◇ ◇
「陛下、諸卿。……彼女はただの“力”ではありません」
鋭い視線と揺るぎない声音で、レオンは広間全体に響き渡るように告げた。
「アリシアは優しさと誇りを持つ令嬢であり、その心こそがこの国を照らすのです。どうか彼女を“道具”ではなく、“戴冠すべき存在”としてお認めください」
その言葉に、アリシアの頬は赤く染まる。会議の場でここまで真っ直ぐに想いを語られるとは思ってもいなかった。だが、彼の真剣な眼差しに、胸の奥が温かく震える。
沈黙を破ったのは、老練な宰相だった。
「……確かに。究極の力ゆえ、強大な魔力、そして真の優しさと誇りを併せ持つ者でなければ発現できぬはず。事実これまで現れなかった故伝説と言われていたのだ。我らがその功績を讃えぬ理由はあるまい」
賛同の声が次々に上がり、やがて国王がうなずいた。
◇ ◇ ◇
「アリシア・フローレンス」
国王が名を呼ぶと、アリシアはおずおずと一歩前に進み、深く頭を下げる。
「汝の才と心を称え、ここに“星光の継承者”として戴冠を許す」
黄金の冠が捧げられ、国王自らが彼女の頭上に置いた瞬間、広間はまばゆい光に包まれた。アリシアの内に宿る魔力が呼応し、星々のきらめきのような光が天井まで舞い上がる。
「おお……!」
「まるで女神の顕現だ……!」
貴族たちは感嘆の声を上げ、騎士たちは剣を掲げて敬礼する。
アリシアは胸の奥からこみ上げる温かな力を感じながら、静かに瞳を閉じた。
これまで冷遇され、存在すら否定されてきた自分が――今、国中から称えられている。
◇ ◇ ◇
戴冠の後、宮廷の夜会が開かれた。
社交界の令嬢たちは一様に目を輝かせ、アリシアを取り囲む。
「アリシア様、本当にお美しい……!」
「羨ましいわ。憧れの存在ですわ」
「どうか少しでもお話をさせてくださいませ」
かつて陰口を叩かれ、舞台の端に追いやられていた少女が、今や誰もが憧れる中心にいる。その変化にアリシア自身も戸惑いながら、微笑みを返す。
そんな彼女を後ろから抱き寄せるようにして、レオンが囁いた。
「……これで、ようやく世界が君の価値を知った。だが、誰よりも先に気づいていたのは俺だ」
アリシアは頬を染め、胸の奥が熱くなる。彼の言葉に偽りはなく、だからこそ心臓が跳ねるほど嬉しい。
こうしてアリシアは、国中に称えられる「星光の継承者」として戴冠を果たした。
その姿は人々の心を照らし、王国に新たな時代の幕開けを告げる光となるのだった。
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