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eスポーツ部誕生

44 喧嘩

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 放課後になり、速人、翔、真紀の3人はPC実習室へ向かっていた。

「誰か体験入部に来てくれるかな?」

 速人が不安げに言った。

「とりあえず、来てくれるのを待つしかないわね」

「どのクラスもあまり手ごたえがなかったし、5組では僕のせいで、喧嘩になりそうになっちゃったし。本当にゴメン」

「速人君は一生懸命やったんだから、そんな事気にしなくてもいいよ」

「そういえば、坂野君だっけ? あの後大丈夫だったのかな?」

「坂野君はしっかりものだから、きっと上手くやったと思うわ」

「そうだといいんだけど。今度会ったらお礼言わなきゃ」

「光速、そういえば、おみゃーさん、バスケや野球の競技者人口をよう知っとったな」

「あれは部員募集のポスターを作るとき、ネットで調べたから」

「なるほど、それで知っとったんか」

 3人が下駄箱の近くまできたとき、何か大きな声が聞こえてきた。下駄箱は角を曲がってすぐなので、ここからはどうなっているか見えなかった。

「お前、どこ見て歩いとるんや。障害者はおとなしく隅を歩いとけや」

「悪い、よそ見してた」

「まったくよ。お前さ、もうサッカー部辞めたらどうや? その足じゃサッカー無理やろ」

 速人達が角を曲がると、下駄箱の前で一人の生徒が倒れていて、もう一人の生徒と揉めているようだった。
 倒れている生徒の横には松葉杖が転がっている。昼休みに会った坂野だった。
 速人はそれを見るやいなや駆け出し坂野の、横まで行くと声をかけた。

「坂野君、大丈夫?」

 坂野を気遣い声をかけた後、坂野の前に立っていた男子生徒に険しい顔をして言った。

「怪我人に何するんだ!」

「はぁ? 怪我人なら怪我は治るかもしれんが、こいつは半年もこのままや。もう怪我人じゃなくお荷物の障害者やろ」

「君、何てこと言うんだ。謝れ!」

「うるせー。関係ないヤツは黙っとけ」

「このー」

 突然、速人は今まで見せた事がない凄い形相で、男子生徒に掴みかかった。
 バシッ
 速人が男子生徒に顔をはたかれた。それでもひるまず胸ぐらを掴んで叫んだ。
 
「謝れ! 坂野君に謝れ!」

「しつこいんだよ」

 バシッ!
 さらに速人は顔をはたかれた。それでも。速人は手を離さなかった。

 速人の行動に驚いていた真紀が、翔に言った。

「ちょっと、まずいよ。先生呼んでくる。それまで止めてて、お願い」

「あ、お、おう」

 真紀が職員室へ向け駆け出した。翔はやむを得ず速人の方に向かっていった。

『やばい、俺、ファッションヤンキーだから、喧嘩なんてまるっきり駄目や。でも何もせんかったら真紀ちゃんになんて思われるやろ。まずい事になった』そう思いながら、翔は額に汗を垂らしつつ速人の元へ向かった。

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