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第三幕 乙女の祈り
第二十九話 枯れた大地
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庭での騒動の後、セルティアから小言を頂戴した魔導士二人は大人しく椅子に収まっていた。テラスから臨める景色がエルのおかげで見られるほどになったことで幾分かセルティアの気持ちも落ち着き、改めて淹れなおしたハーブティーを口に含む。
本当は今すぐ庭の手入れをしたいところなのだが、この二人を追い出すことが先決と考え一先ず我慢することにする。強制的に追い出してもよかったのだが、また押しかけられては厄介なので、話だけは聞く態勢に入った。
「それで? どんな用があってわざわざこんなところまで来てくれたのかしら?」
エルとセルティアにはもちろんだが、双子は少し怯えながらも赤と青の魔導士にもお茶が注がれたカップを渡した。二人はそれに礼を述べようとしたのだが、怯えた双子はそのままエルの背後へ隠れてしまい苦虫を噛み潰したような顔をする。
それを弁護することなく、セルティアが先を促せば渋々クライが口を開いた。
「一つ、仕事を頼まれてくれないか」
「お断り」
間髪入れずにセルティアが返答するとクライの眉間に皺がよる。
「氷崩が直接来るなんてロクなことじゃないでしょ。それによっぽどの事じゃないとわたしが動かないこと、知っているはずだわ」
「少しぐらい話を聞け。よっぽどの事だから来たのだと察せないのか」
険を含んで言い放てば、セルティアは口をへの字に曲げる。もちろん察せないわけではないのだ。先ほどの一件もあり、それでも嫌だという思いが勝ってしまい咄嗟に口を次いで出てしまった。黙り込んだ魔女を見てクライは話を続ける。
「ここより更に西の大地に異変が起きているらしい」
「西っていうと農業都市のある方ね」
王都の西側には『プランタ』と呼ばれる農業都市がある。その名の通り農業が盛んな都市で、人口は王都より遥かに少ないが、面積で言えばそれほど変わらない。様々な食物を栽培しており、都市の六割が農地という大国アリアレスにおいての食糧庫でもある。
セルティアも何度か赴いたことがあるが、南地区以上に穏やかな街並みと土地柄に好感を持っている。
「そのプランタ近くに『花の大地』があることは知っているな?」
「……花と風の精が愛する地ね」
聞きなれない地名にエルと双子が訝しがっていると、セルティアは簡単に説明を施す。それは知らないのも無理はない。地図にも載っていない嘘のような場所なのだから。その内容は噂の域を出ることはない。
「花の精霊と風の精霊がこよなく愛する大地と言われているわ。見たこともない花が一面に咲き誇っているらしいの。それは幻想世界のようだって……」
「ティアは見たことないんだ?」
「わたしだけじゃなく、ほとんどの人が見たことなんてないわ。その地に入れるのは花の精に格別に愛された者だけ」
(花の精に愛された……それって)
セルティアの言葉にひっかかりを覚えたエルは考え込むように口を噤む。口にはしないが、二つ名を持つ魔女と魔導士はそれが誰か心当たりがあった。それはエルが思い浮かぶ人物と同じであろうことも想像に難くない。
「……まさかその花の大地に異変が起きていて、真相を調べろ、とでも言うのかしら?」
「その通りだ」
「どんな異変かは?」
「……大地が枯れた、と」
にわかに信じがたい話しである。立ち入ることのできない大地を誰が確認したというのか。噂だけで簡単に動けるほどセルティアもだが、氷崩の魔導士は特に優しくない。根拠がなければこんな話題をだすはずがないのだ。
「根拠は?」
だからセルティア担当直入に訊ねた。すぐに返ってくると思われたのだが、なぜかクライは押し黙ってしまう。それに苛立ちを見せたのは紅蓮の魔導士であるイグールだ。
「こいつ、何も言わねえんだよ。んなことで、俺につきあえとか言いやがる。冗談じゃねー!」
「……お前の場合はちゃんと指令が出ているだろ」
憤慨するイグールをよそにクライは冷たく突き放す。指令が出ているということは魔術連盟も一つ噛んでいるということだ。連盟に所属する者は指令が出れば従うしかない。なら、とセルティアは思う。
「別にわたしがいないくてもいいじゃない。事の真相はどうであれ、紅蓮と氷崩の二人でなんとかしなさいよ」
仮にも二つ名を与えられた実力のある魔導士である。この二人が共に動いて解決できないことなど、そうないだろう。だが名案ではあるが上手くいかない理由も二人の表情を見ればなんとなくわかる。仕事となれば割り切れる二人だが、そもそも相性が悪いことに変わりはない。
お互いに嫌な顔をし合う二人を見て、セルティアはため息をついた。
「とにかく、それだけじゃ承諾しかねるわ」
(こんな話、絶対に面倒なことになるわ)
自ら面倒事に首をつこっみたいとは思わない。そちらでどうにかして欲しいと切に願う。無理に話を聞いて関わることは得策ではないので、今のうちに退出願おう。
「話は終わりでいいかしら?」
帰れと言外に含められると、クライは苛立たし気に目を伏せる。
そもそもセルティアには指令が届いていない。と、いうことは魔術連盟は彼女を関わらせる気がないということ。そして夢幻の魔女は自ら魔術連盟に関わることはしない。そんなことクライは百も承知している。しかしあまり悠長に構えているわけにもいかない理由があるのだが、それを話していいものか悩む。
クライはふいにエルの方へ視線を投げた。
「……だが、そこのエル・グディウムには近いうち指令がいくはずだ」
「……は?」
突然話を振られたエルはすっとんきょんな声を溢す。なぜここで自分が関わってくるのかさっぱりわからない、と顔にありありと表す。だがそれはセルティアも同じで、説明を求めるように目で訴えかけた。
「連盟からでも騎士団からでもなく、個人的に任を出すと言っていた」
「言っていたって誰が……」
基本的に魔術連盟が騎士個人に指令を出すことはない。騎士隊に応援要請がされることはあっても指令を下されることはなく、その逆も然りだ。なら全ての騎士隊を纏める王国騎士団からかと言えば、そういうわけでもないらしい。エルは仮にも南地区の騎士隊長である。騎士団経由でなく、個人的に指令を出せる人物など極僅かに限られている。
そこまで考えて、唐突にエルは悟った。
(まさか――?!)
「心当たりはあるだろう。そして貴様はそれを断れない」
クライに宣告されると、突然疲れ切った表情を見せるエルに、セルティアとイグールは顔を見合わせる。話が少し見えないのだ。
だがエルの中ではきっと色々と事情を把握してしまったに違いない。その表情からそれがとてつもない面倒事だと推測できる。
「夢幻よ、もし話を引き受けないのならこちらから手を回してもいいし、前回の借りを返してもらってもいいが」
「……嫌な性格ね」
「こちらはあまり時間がないんだ」
用意周到なクライのことだから、既に手を回していると踏んでもいいだろう。それ以前に前回の借りのことを持ち出されては、簡単に突っぱねることもできないのだ。
「夢幻、おまえ氷崩なんかに借りつくってんのか? やめとけよー」
「煩いわね」
馬鹿な男に呑気に言われてしまうと苛立ちを隠せず睨み付ける。
前回の借りとは他でもない、魔剣騒動のことだ。魔剣の回収にクライを指名し、連盟への報告を頼んだ。ただそれだけのことだが、忙しい彼をこちらの理由で時間を割いてもらった。クライは文句の一つも口にせず、全て承知した上で段取りをしてくれたのを知っている。
(あれが最善だった。それは仕方ない。仕方ないから……)
セルティアは自分の判断は間違っていないと今でも言える。様々な理由でクライが一番適任だったのだ。だから次何かクライに頼まれれば協力の一つぐらいするつもりでいるのも事実。実際に今までにも何度かそういうやり取りをしている。
噂話に振り回されるのは好きではないが、今回は仕方がない。そう、仕方がないのだ。借りを借りたままにするのはセルティアの主義ではない。
「わかったわ……仕方がないから協力するわ」
不本意ながら、夢幻の魔女は噂話に付き合うことにした。
本当は今すぐ庭の手入れをしたいところなのだが、この二人を追い出すことが先決と考え一先ず我慢することにする。強制的に追い出してもよかったのだが、また押しかけられては厄介なので、話だけは聞く態勢に入った。
「それで? どんな用があってわざわざこんなところまで来てくれたのかしら?」
エルとセルティアにはもちろんだが、双子は少し怯えながらも赤と青の魔導士にもお茶が注がれたカップを渡した。二人はそれに礼を述べようとしたのだが、怯えた双子はそのままエルの背後へ隠れてしまい苦虫を噛み潰したような顔をする。
それを弁護することなく、セルティアが先を促せば渋々クライが口を開いた。
「一つ、仕事を頼まれてくれないか」
「お断り」
間髪入れずにセルティアが返答するとクライの眉間に皺がよる。
「氷崩が直接来るなんてロクなことじゃないでしょ。それによっぽどの事じゃないとわたしが動かないこと、知っているはずだわ」
「少しぐらい話を聞け。よっぽどの事だから来たのだと察せないのか」
険を含んで言い放てば、セルティアは口をへの字に曲げる。もちろん察せないわけではないのだ。先ほどの一件もあり、それでも嫌だという思いが勝ってしまい咄嗟に口を次いで出てしまった。黙り込んだ魔女を見てクライは話を続ける。
「ここより更に西の大地に異変が起きているらしい」
「西っていうと農業都市のある方ね」
王都の西側には『プランタ』と呼ばれる農業都市がある。その名の通り農業が盛んな都市で、人口は王都より遥かに少ないが、面積で言えばそれほど変わらない。様々な食物を栽培しており、都市の六割が農地という大国アリアレスにおいての食糧庫でもある。
セルティアも何度か赴いたことがあるが、南地区以上に穏やかな街並みと土地柄に好感を持っている。
「そのプランタ近くに『花の大地』があることは知っているな?」
「……花と風の精が愛する地ね」
聞きなれない地名にエルと双子が訝しがっていると、セルティアは簡単に説明を施す。それは知らないのも無理はない。地図にも載っていない嘘のような場所なのだから。その内容は噂の域を出ることはない。
「花の精霊と風の精霊がこよなく愛する大地と言われているわ。見たこともない花が一面に咲き誇っているらしいの。それは幻想世界のようだって……」
「ティアは見たことないんだ?」
「わたしだけじゃなく、ほとんどの人が見たことなんてないわ。その地に入れるのは花の精に格別に愛された者だけ」
(花の精に愛された……それって)
セルティアの言葉にひっかかりを覚えたエルは考え込むように口を噤む。口にはしないが、二つ名を持つ魔女と魔導士はそれが誰か心当たりがあった。それはエルが思い浮かぶ人物と同じであろうことも想像に難くない。
「……まさかその花の大地に異変が起きていて、真相を調べろ、とでも言うのかしら?」
「その通りだ」
「どんな異変かは?」
「……大地が枯れた、と」
にわかに信じがたい話しである。立ち入ることのできない大地を誰が確認したというのか。噂だけで簡単に動けるほどセルティアもだが、氷崩の魔導士は特に優しくない。根拠がなければこんな話題をだすはずがないのだ。
「根拠は?」
だからセルティア担当直入に訊ねた。すぐに返ってくると思われたのだが、なぜかクライは押し黙ってしまう。それに苛立ちを見せたのは紅蓮の魔導士であるイグールだ。
「こいつ、何も言わねえんだよ。んなことで、俺につきあえとか言いやがる。冗談じゃねー!」
「……お前の場合はちゃんと指令が出ているだろ」
憤慨するイグールをよそにクライは冷たく突き放す。指令が出ているということは魔術連盟も一つ噛んでいるということだ。連盟に所属する者は指令が出れば従うしかない。なら、とセルティアは思う。
「別にわたしがいないくてもいいじゃない。事の真相はどうであれ、紅蓮と氷崩の二人でなんとかしなさいよ」
仮にも二つ名を与えられた実力のある魔導士である。この二人が共に動いて解決できないことなど、そうないだろう。だが名案ではあるが上手くいかない理由も二人の表情を見ればなんとなくわかる。仕事となれば割り切れる二人だが、そもそも相性が悪いことに変わりはない。
お互いに嫌な顔をし合う二人を見て、セルティアはため息をついた。
「とにかく、それだけじゃ承諾しかねるわ」
(こんな話、絶対に面倒なことになるわ)
自ら面倒事に首をつこっみたいとは思わない。そちらでどうにかして欲しいと切に願う。無理に話を聞いて関わることは得策ではないので、今のうちに退出願おう。
「話は終わりでいいかしら?」
帰れと言外に含められると、クライは苛立たし気に目を伏せる。
そもそもセルティアには指令が届いていない。と、いうことは魔術連盟は彼女を関わらせる気がないということ。そして夢幻の魔女は自ら魔術連盟に関わることはしない。そんなことクライは百も承知している。しかしあまり悠長に構えているわけにもいかない理由があるのだが、それを話していいものか悩む。
クライはふいにエルの方へ視線を投げた。
「……だが、そこのエル・グディウムには近いうち指令がいくはずだ」
「……は?」
突然話を振られたエルはすっとんきょんな声を溢す。なぜここで自分が関わってくるのかさっぱりわからない、と顔にありありと表す。だがそれはセルティアも同じで、説明を求めるように目で訴えかけた。
「連盟からでも騎士団からでもなく、個人的に任を出すと言っていた」
「言っていたって誰が……」
基本的に魔術連盟が騎士個人に指令を出すことはない。騎士隊に応援要請がされることはあっても指令を下されることはなく、その逆も然りだ。なら全ての騎士隊を纏める王国騎士団からかと言えば、そういうわけでもないらしい。エルは仮にも南地区の騎士隊長である。騎士団経由でなく、個人的に指令を出せる人物など極僅かに限られている。
そこまで考えて、唐突にエルは悟った。
(まさか――?!)
「心当たりはあるだろう。そして貴様はそれを断れない」
クライに宣告されると、突然疲れ切った表情を見せるエルに、セルティアとイグールは顔を見合わせる。話が少し見えないのだ。
だがエルの中ではきっと色々と事情を把握してしまったに違いない。その表情からそれがとてつもない面倒事だと推測できる。
「夢幻よ、もし話を引き受けないのならこちらから手を回してもいいし、前回の借りを返してもらってもいいが」
「……嫌な性格ね」
「こちらはあまり時間がないんだ」
用意周到なクライのことだから、既に手を回していると踏んでもいいだろう。それ以前に前回の借りのことを持ち出されては、簡単に突っぱねることもできないのだ。
「夢幻、おまえ氷崩なんかに借りつくってんのか? やめとけよー」
「煩いわね」
馬鹿な男に呑気に言われてしまうと苛立ちを隠せず睨み付ける。
前回の借りとは他でもない、魔剣騒動のことだ。魔剣の回収にクライを指名し、連盟への報告を頼んだ。ただそれだけのことだが、忙しい彼をこちらの理由で時間を割いてもらった。クライは文句の一つも口にせず、全て承知した上で段取りをしてくれたのを知っている。
(あれが最善だった。それは仕方ない。仕方ないから……)
セルティアは自分の判断は間違っていないと今でも言える。様々な理由でクライが一番適任だったのだ。だから次何かクライに頼まれれば協力の一つぐらいするつもりでいるのも事実。実際に今までにも何度かそういうやり取りをしている。
噂話に振り回されるのは好きではないが、今回は仕方がない。そう、仕方がないのだ。借りを借りたままにするのはセルティアの主義ではない。
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