カゴの中のツバサ

九十九光

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#13ー2

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 名指しで呼ばれたアイダは教室の前方の出入り口へ向かった。そしてそこにある引き戸を開ける前に、生徒の席のほうを振り返り、微動だにしないツバサを確認する。
「ちょっと待ってろ。」
 アイダはツバサにそう声をかけてから応接室へ向かった。
 子供たちが頻繁に出入りする教室や職員室と違い、応接室は木の部分がビターチョコレートのように深い色をしており、大人が落ち着いて話ができる空間になっていた。ツバサの母親はその中で、膝に両手を置き、険しい顔をして座っていた。上下とも色あせた服を着ており、枝毛の目立つ手入れ不足な髪が生え、鏡餅のようなシルエットをした、迫力のある女性だった。
「ご無沙汰しております。ツバサ君の担任の」
「ツバサはどこですか。」
 アイダの自己紹介を遮り、一重瞼の目で睨みつけながら彼女は質問した。相当感情が高ぶっていることがうかがえる。
 アイダは内心ビクビクしながら、ツバサの母親をツバサがいる教室へと案内した。教室の引き戸を開けると、ツバサはちゃんとさっきと同じ席に座っていた。
 しかし今度はアイダが安堵する時間もなかった。ズカズカと教室へ入ったツバサの母親は、すでに見えるところに痣ができていたツバサの胸ぐらをつかみ、叩きつけるように力任せに床へ倒した。
「なんであんなことしたの、あんたは!」
 後ろから声をかけるアイダの制止も聞かずに、彼女は枝毛の目立つ黒髪を振り乱しながら、おそらく昨晩も自宅で行ったであろう家庭内暴力をこの場で反復して見せた。
「私があんたにいくらお金使ってるか分かってんの⁉ 学校通わせるだけで毎月九十万よ! 九十万! そこに塾だの教材だの毎日の食事だののお金合わせたらいくらになると思ってんの⁉ その全部! 私が毎日毎日いくつも仕事掛け持ちして! 必死にやりくりしてやっとひねり出してるお金なのよ! それをあんたはドブに捨てるようなことをして! 母親をなんだと思ってんのよ⁉」
 ツバサが着ている上の白いカッターシャツを埃で汚しながら、ツバサの母親は容赦なく彼を蹴りつける。アイダは止めに入らなかった。ここまで激昂している彼女をどうしていいのか分からず、少し遠くから見ているしかなかった。
 その数十分後、一通りツバサに言いたいことを言い切った母親は、息を荒げながら席につ
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