Night Sky

九十九光

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セカイはまだ始まってすらいないぜー3

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「土竜雨(モグラ アメ)だ。年下だからって甘やかす気はないからね」

 厳しいことを言う雨だったが、遊大はそこまで厳しそうな印象は受けなかった。

「俺、遠夏太陽(トオナツ タイヨウ)。よろしくな、新入り」

 太陽は気さくそうな、それでいて接しやすそうな感じだった。

「丼息信也(ドンソク シンヤ)だ! どんな奴かはまだよく分かんねえけど、よろしくな!」

 信也はハキハキとした喋りが特徴的だった。

「……。実砂。実砂颯天(ミサ ハヤテ)」

 颯天はそっけない感じがしており、遊大のことが気に入らないといった感じだった。

「よし、自己紹介も済んだし、さっそく訓練でも」

 仁が声をかけた次の瞬間だった。

『第一訓練部隊一同に告ぐ。第一訓練部隊一同に告ぐ。羽田空港国際線ターミナルにて弱ユニゾンの武装集団がテロ行為を開始。直ちに現場に急行すべし。繰り返す……』

 その館内放送に動揺したのは遊大だけだった。他の13人は、よくあることだと言いたげに、エントランス奥の更衣室に入って準備を開始する。

「これって……、訓練ですよね?」

 遊大が仁に確認する。

「相手が弱ユニゾン持ちだったり、そもそもユニゾンを持ってない場合なんかは、訓練部隊が行くこともあるんだ。実戦は最大の訓練だよ」

 こうして遊大は、突然の実戦に駆り出されることとなった。更衣室で全員揃いの黒を基調とした迷彩に着替え、移動用のバスに乗り込む。服の襟には菊の花を象った銀色のピンバッジがつけられていた。

 30分ほどで着いた現場では、警察や一等兵士が、野次馬や報道陣を抑えていた。遊大を含めた14人はそれを尻目に、空港の裏手からターミナルに入る。

 29人のテロリストは2階の待機所で人質を縛り上げ、一様に銃やナイフで武装し、革命隊のメンバーの引き渡しを叫んでいる。吹き抜けになっている下層階では、突入した警察が投降を要求しており、話は平行線だった。
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