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心が悴む前にー12
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遊大を抱えて逃げるのが最善手か。そう思ったその時だった。
路上のローランに向かって、真横から一台の車が突っ込んでくる。気づいたローランは空中に逃げ、車は目の前の街灯に激突して停車した。
「非番だったがニュースを見てすっ飛んで来た。遅れてすまんのう、若いの」
車から出てきたのは、白髪にサングラスをかけた老人だった。
その場にいた全員がこの男を知っていた。日本に5人しかいない特級兵士の一人にして、日本最高齢84歳で現役を続ける生きる伝説、井美府太郎(イミフ タロウ)だった。
「……。総督ですか。状況はお分かりですね。……。しかし任務が……。はい。仰せのままに」
ローランが耳の小型通信機越しに総督の指示を受ける。すると彼の背後に紫色の泥のようなものが出現した。
「意識はあるか、夜空遊大」
ローランの言葉に遊大は身をよじらせて反応する。
「総督が今一番恐れている兵士は、5人の特級兵士ではなく、貴様だ。それはシモ・ヘイヘのような兵士ではなく、ジャンヌ・ダルクのような兵士になる恐れがあるからだ。貴様の中には、貴様自身認識できていない力が眠っている。それは国をも動かす力だ。よく考えるんだな。そして力の使い方を間違えないことだな」
「世間話は刑務所の中でするんだな、若僧」
その横では、太郎が金色の巨大な大仏の姿になり、拳をローランに向けていた。
《井美府太郎 ユニゾン名:ノーバディ・メイクス・センス……全長20メートルの大仏になれる。》
そして太郎の拳がローランに襲いかかる。ローランは背後の泥に飛び込んだ。拳は泥を叩いて周囲に撒き散らしたが、ローランの姿はどこにもなかった。
太郎は徐々に元の姿に戻り、完全に戻ったところで颯天に話しかける。
「これはあれかの? 瞬間移動というやつか?」
そんなことはどうでもいい颯天は、気絶した遊大を抱き抱えて救急車をありったけ呼ぶよう指示した。
路上のローランに向かって、真横から一台の車が突っ込んでくる。気づいたローランは空中に逃げ、車は目の前の街灯に激突して停車した。
「非番だったがニュースを見てすっ飛んで来た。遅れてすまんのう、若いの」
車から出てきたのは、白髪にサングラスをかけた老人だった。
その場にいた全員がこの男を知っていた。日本に5人しかいない特級兵士の一人にして、日本最高齢84歳で現役を続ける生きる伝説、井美府太郎(イミフ タロウ)だった。
「……。総督ですか。状況はお分かりですね。……。しかし任務が……。はい。仰せのままに」
ローランが耳の小型通信機越しに総督の指示を受ける。すると彼の背後に紫色の泥のようなものが出現した。
「意識はあるか、夜空遊大」
ローランの言葉に遊大は身をよじらせて反応する。
「総督が今一番恐れている兵士は、5人の特級兵士ではなく、貴様だ。それはシモ・ヘイヘのような兵士ではなく、ジャンヌ・ダルクのような兵士になる恐れがあるからだ。貴様の中には、貴様自身認識できていない力が眠っている。それは国をも動かす力だ。よく考えるんだな。そして力の使い方を間違えないことだな」
「世間話は刑務所の中でするんだな、若僧」
その横では、太郎が金色の巨大な大仏の姿になり、拳をローランに向けていた。
《井美府太郎 ユニゾン名:ノーバディ・メイクス・センス……全長20メートルの大仏になれる。》
そして太郎の拳がローランに襲いかかる。ローランは背後の泥に飛び込んだ。拳は泥を叩いて周囲に撒き散らしたが、ローランの姿はどこにもなかった。
太郎は徐々に元の姿に戻り、完全に戻ったところで颯天に話しかける。
「これはあれかの? 瞬間移動というやつか?」
そんなことはどうでもいい颯天は、気絶した遊大を抱き抱えて救急車をありったけ呼ぶよう指示した。
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