Night Sky

九十九光

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醜い劣等感が 汚い嫉妬が 僕にー12

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 ラストバトルは何も言い返せなかった。自分の存在はどうでもいいが、自分の一存で人陰を巻き込むような真似はできなかった。

「見て見てー!」

 その横を遊大が飛ぶ。彼が見下ろす先には、1枚のトタン板が立っていた。

「くらえ! 夜空ちゃんドロップキーック!」

 遊大はトタン板に向かって急降下する。周囲に轟音が響き、真っ二つになった板が吹き飛ぶ。

「ああー! 足を! 足をくじいてしまったー!」

 その場で足を押さえて転がり回る遊大。すぐに光が駆けつけて、「大変だ。これは重症だ」と感想を述べる。

「人陰。悪いが、遊大を医務室に運ぶのを手伝ってくれ」

 突然名指しされた人陰は、一瞬戸惑って返事が遅れるが、「ああ、分かった」と了承した。

 光と人陰は遊大の両肩を支えて、教官棟の医務室に向かう。

 坂美は考えた。医務室に行くのはかえって好都合だと。あそこなら人の目は最小限で済み、監視カメラもない。自分も肩が少し痛むとか言って残り、遊大か医務室の教官に乗り移ればいい。

 遊大を支えながら坂美は思考を張り巡らす。これ以上不便な体にいてたまるかという思いも、その考えを加速させた。

 その時だった。

 遊大が2人の支えを振りほどき、自分の足で3歩歩いた。

「ゆ、遊大君? 足をくじいたんじゃ」

「演技に決まってるでしょ。西後さんを洗脳している誰かさん」

 遊大は人陰のほうに向き直り、彼をにらみつける。

「あれだけ探りを入れたが、一向に諦めないからな。強行策に出させてもらった」

 光も遊大の横に立ち、人陰をにらみつける。

「……! 俺が洗脳されてるって? それは気のせいじゃ」

「こないだの調整日にどこ出かけた。嘘を言っても周辺の監視カメラを調べればすぐにバレるぜ。なんにせよお前、詰めが甘いぜ。一度革命隊の侵入を許した施設だから自分でもいけると思ったか?」

 人陰は何も言い返せず、ただ黙って2人の目を交互に見ることしかできなかった。

「あなたの口から言えないなら、ラストバトルを出してください。何があったのか、あれに聞きます。」
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