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The Greatest Show On Earthー2
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「何さ! 灰色君が空けるようになってから君たちの世話をしたのは私なのに! 本来の担任が顔を出したら私はこんな扱いかよ! てか夜空君は灰色君より私とのほうが付き合い長いくらいだよね! 何ちょっと嬉しそうにしてんのさ!」
「いや……。阿玉先生は……。」
「これといって何も教えてくれなかった……。」
「私にいたっては殺されかけた。」
遊大、人陰、小麦が順番に感想を述べる。それを聞いて花子は余計にいじけてしまった。
「それより、支部のみんなに配るってやつ、なんなんです? 食い物っすか?」
信也が興味津々という感じで、仁が持ってきた荷物を指差す。
「いやー、ここ最近の仕事でいろんな人と話をすることが多くてね。それをみんなに伝えたくて、これを持ってきたのさ」
そう言って仁が持ってきた鞄から取り出したのは、1冊のハードカバー本だった。
「なんだ、食べ物じゃないのか」
小麦ががっかりしながら本を受け取る。一同が本の表紙を覗き込むと、黒と赤のデザインの表紙に白い字で、『歴史は消えない』というタイトルが印字されていた。
「見たことも聞いたこともないタイトルの本ですね」
「BOOK・OFFでも支部の書庫でも見たことがない」
糸美と人陰が率直な感想を述べると、仁がこの本について説明し始めた。
「昭和の頃に絶版になった本だから、現代の古本屋ではちょっとお目にかかれないだろうね。内容もオカルト物だから、軍事施設の書庫には置けないだろうしね。でも学べることは多いよ。共同スペースの新聞とか雑誌とか置いてあるスペースにでもどうぞ」
そう言って仁は第一部隊の面々に背を向ける。
「じゃあ、僕はこの本を他の部隊や教官たちにも配ってくるから。また会う日まで」
こうして仁はそそくさと第二部隊の寮へと向かっていった。
「らしくねえな」
颯天が一言で切り捨てた。
「らしくないって、どういうことです?」
遊大が質問すると、颯天はこう続けた。
「灰色はやることはそつなくこなすタイプだが、それ以上のことはしない。メンタルケアくらいはしてくれるが、一人一人に親身になってアドバイスなんて真似はしない。そんな本の差し入れなんて、今までなら絶対にしなかった」
「いや……。阿玉先生は……。」
「これといって何も教えてくれなかった……。」
「私にいたっては殺されかけた。」
遊大、人陰、小麦が順番に感想を述べる。それを聞いて花子は余計にいじけてしまった。
「それより、支部のみんなに配るってやつ、なんなんです? 食い物っすか?」
信也が興味津々という感じで、仁が持ってきた荷物を指差す。
「いやー、ここ最近の仕事でいろんな人と話をすることが多くてね。それをみんなに伝えたくて、これを持ってきたのさ」
そう言って仁が持ってきた鞄から取り出したのは、1冊のハードカバー本だった。
「なんだ、食べ物じゃないのか」
小麦ががっかりしながら本を受け取る。一同が本の表紙を覗き込むと、黒と赤のデザインの表紙に白い字で、『歴史は消えない』というタイトルが印字されていた。
「見たことも聞いたこともないタイトルの本ですね」
「BOOK・OFFでも支部の書庫でも見たことがない」
糸美と人陰が率直な感想を述べると、仁がこの本について説明し始めた。
「昭和の頃に絶版になった本だから、現代の古本屋ではちょっとお目にかかれないだろうね。内容もオカルト物だから、軍事施設の書庫には置けないだろうしね。でも学べることは多いよ。共同スペースの新聞とか雑誌とか置いてあるスペースにでもどうぞ」
そう言って仁は第一部隊の面々に背を向ける。
「じゃあ、僕はこの本を他の部隊や教官たちにも配ってくるから。また会う日まで」
こうして仁はそそくさと第二部隊の寮へと向かっていった。
「らしくねえな」
颯天が一言で切り捨てた。
「らしくないって、どういうことです?」
遊大が質問すると、颯天はこう続けた。
「灰色はやることはそつなくこなすタイプだが、それ以上のことはしない。メンタルケアくらいはしてくれるが、一人一人に親身になってアドバイスなんて真似はしない。そんな本の差し入れなんて、今までなら絶対にしなかった」
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