Night Sky

九十九光

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hero busts onto the scene!ー10

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「お前たちの目指す未来に、笑顔になれない人はいるのか……」

 まだ強がれる力があるのかとシャルルは目を丸くした。

「僕が目指す未来は、世界中のみんなが分け隔てなく笑顔で幸せになれる未来だ。けどお前らの話や手口を聞く限り、組織の人間、それも上層部の人間だけが笑顔で幸せならそれでいいみたいに感じた。平気でしたっぱを使い捨て、訳の分からない本の力で自分の賛同者という被害者を増やすお前らに、僕は何があっても屈しないし賛同しない!」

 遊大の啖呵に対しシャルルは、「肝の据わった小学生だ」と返し、指を鳴らす。それを合図に、十二勇士がゆっくりと遊大に迫る。

 このままだとまた拘束されるか、最悪殺される。どこからどうやって脱出する。

 遊大の思考は一気に回る。

 そのタイミングだった。

 窓のほうから部屋をきれいに半分に切断するように、巨大な剣が振り下ろされた。



「……! なんの騒ぎだ!」

 ローランが剣のほうを見る。その先には右手に剣を、左手に天秤を持ち、目隠しをしている巨大な女神が立っていた。その右の肩には、ゲバラのTシャツを着ていた正義が乗っている。

「叶わぬ祈りに救いの両手を! 特級兵士ジャスティス参上!」

《生命正義 ユニゾン名:ユースティティア・オブ・ライフ……天秤と剣を手にし、目隠しをした女神を呼び出して戦わせる。》

 女神の左肩に乗っていた私服姿の穂花が、ライターの炎を大きくしてシャルルたちに急接近し、炎の壁を形成して囲む。

「火? そんなもの」

 水になれるオリヴィエがユニゾンを行使しようとする。それと同時に通気口から小さな何かが出てきて人間大のサイズになった。迷彩姿の商学ナナツだった。

 ナナツはさらに小さくしていた電波妨害装置と120ミリ迫撃砲RT、通称ヘヴィハンマーを実寸大に戻し、「抵抗するな! 迫撃砲を撃つぞ!」と警告する。

《商学ナナツ ユニゾン名:コドモ・ノ・シクミ……自身と無生物の大きさを小さくできる。》
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