Night Sky

九十九光

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グレーなショウの時間だー11

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 2つのデバフ効果のユニゾンを食らい、その場に倒れ込んだ花子。戦士たちは一気呵成と言わんばかりに彼女に襲いかかる。

「アルティメット真拳奥義! 鳴玄奏々!」

 花子は全力で叫んだ。その声は周囲1キロ圏内に轟き、襲いかかる戦士たちの鼓膜を破壊した。

 敵勢力をほぼ壊滅させ、残党の戦意も奪った花子。身動きは取れなかった。

「地頭のバカさ加減と、理性を抑える力の弱さ、反動が返ってくるってデメリットがなければ、特級兵士になれたレベルだな」

 花子の目の前に、泥状のワープゲートが出現する。そこから出てきた男に、花子は嫌悪の顔を見せた。

「灰色……! 仁……!」

「もう灰色君とは呼んでくれないみたいだな」

 改良されて、装置に座標を入力すれば視点に関係なく移動できるようになったワープゲート。そこから出てきた仁が、害虫を見るような目で花子を見下ろす。

「一手遅かったな……。そっちの勢力は壊滅……。院内はパニック状態で、放置しておけば空中分解する……。私の寿命もあと数分……。お前がここでやることなんかねえよ……」

 花子のそのセリフを聞いて、仁はほくそ笑む。

「じゃあ死にきれない気持ちを打ち込んでやるよ」

 仁が話を続ける。

「訓練生部隊が何人生き残っているのかは知らないが、23区内はどこもかしこも壊滅状態だ。そうなれば何をするか。とりあえず乗り捨てられた車とかを使って移動し、僕に悟られないようにショートメールを使うとかして集合地点を決めて、一ヶ所に集まるだろう。だがこっちはハッキング特化ユニゾンのナモがいる。付け焼き刃の隠密行動なんて筒抜けなんだよ」

「……! まさか……!」

「今まで尊敬していた先生に殺される時、アイツらはどんな顔をするんだろう……! 今から楽しみだ……!」

 そう言い残して、仁はワープゲートの中に消えた。



 その頃中央区銀座。空中を飛ぶ飛行船から流れる映像を見て、小麦は呆然としていた。

 中露半島、空白の10年、ユニゾン誕生の秘密。そんなことはどうでもよかった。灰色先生が裏切った。その事実だけが深く彼女の体を貫いていた。
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