Night Sky

九十九光

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僕らの革命前夜ー7

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「じゃあとりあえずドリンク、ジンジャーエール」

「俺も!」

「俺はウーロン茶」

「じゃあ私は、タピオカミルクティーというのを」

「俺、メロンソーダ」

「アイスコーヒー」

「カムカムスカッシュってなんだ? よく分かんねえけど、それで」

「オレンジジュース、お願い」

「コーヒーゼリー入りカフェオレ」

「健康りんご酢ソーダを頼む」

「カルピスソーダで」

 一斉に入る注文。第一部隊でも一つ抜けて頭の回転が悪い小麦には捌ききれなかった。

「とりあえずコーラ12人分と」

「おい、コラ、デブ、てめえ!」

「秋晴さん。俺、炭酸飲めないんだけど」

「あと、ロシアンルーレットたこ焼きを2皿っと」

 さらっと注文したロシアンルーレットたこ焼きに、糸美が反応する。

「なんですか、それ? ロシアンルーレットは分かりますが、それをたこ焼きでやるって……」

「一皿に6個のたこ焼きが乗ってて、そのうちの1個が大量のからし入りなの」

「おい、それを2皿ということは……」

 文活の脳裏に嫌な予感がよぎる。

「察しがいいねー。からし入りを引き当てた2人にはデュエットで歌ってもらいまーす!」

 全員に戦慄が走る。それだけは絶対嫌だと言い張る王子をよそに、小麦はタッチパネルで注文した。

 こうして12人の部屋にコーラ12人分とロシアンルーレットたこ焼き2皿がやって来た。

「じゃあみんな、これだと思ったたこ焼きにつまようじ刺して」

 今日の小麦はいつも以上に積極的だな。

 そんなことを考えながら、一同はたこ焼きを1個ずつようじに刺す。そして12人同時にたこ焼きを頬張った。

「ん"ん"……! ゲホッ! エッホッ!」

 分かりやすいリアクションをしたのは光だった。口を押さえてストローを無視してコーラを飲む。

「かわいそうに……。これでデュエット確定か……」

 セーフを引いた人陰が呟く。その隣に座る雨は何か様子がおかしい。

「どうした、雨? 背筋伸ばしてキリッとした顔で」

「べっ……! 別に何も……!」

 風雅の言葉にも明らかにおかしな返答をする雨。誰がどう見ても、からし入りを引き当てたとしか思えなかった。
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