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行き場の無い問いが蟠るー2
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意固地な奴だと感じる小麦。最後に颯天はこう残して通話を切った。
「お前らはみんなサシで倒したんだろ! 俺だけそれができなくて、あとで遊大にボコボコにされたら、俺は真っ先にあきらめちまうかもしれねえ!」
こうして通話は切られた。小麦が『意固地!』とコメントするが、いくら待っても颯天だけ既読にならない。
こうして地上での連絡を終えた颯天は、再びローランをにらみつける。
「もうあきらめろ。お前じゃ何をしても俺には勝てない。仮にすべてを終わらせて世界をもとに戻せたとして、なんになる」
息の上がっている颯天を前に、ローランが語り出した。
「旧世界はディストピアだった。地位のある者はそれを利用し、嘘で得をし、常に争いが起きていた。天寿を全うできた者はいったい何人いただろうか。おそらく全体の1割もいなかっただろう。残りの9割は悲惨な最期を迎えたわけだ。この世界ではそんなことは起こらない。皆が望むものを手に入れられ、皆が幸せな死を迎えられる。誰も苦しまない。誰も悲しまない。理想郷なんだよ、ここは。旧世界の残骸に問う。お前が生まれ育った世界に何か希望はあったか?」
颯天の思考が止まる。旧世界がとんでもない隠し事をし、それが原因で世界を破滅させた戦争が起こった場面を目の前で見てしまっていたからだった。
「自分の胸に手を当てて考えてみるんだな。あの世界は戻るほどの価値があるものなのか」
颯天の右手がみぞおちに触れる。その時颯天は、自分の体に起こった異変に気がついた。
「遊大……」
颯天はニヤリと笑った。
「俺の希望は、ボロ雑巾みてえになりながら人を笑顔にしようとか言うあのバカだけだ」
そう言うと颯天は上半身裸、素足になり、変化した己の体をローランに見せつける。
颯天の体には、みぞおちから横並びに3門、背中に縦並びに3門、両足の裏に1門ずつ、新たな砲口ができあがっていた。
「ハウ・トゥ・ワールド・ドミネーション! 死にたいと謳う歌(デス・ウィッシュ・ソング)!」
「お前らはみんなサシで倒したんだろ! 俺だけそれができなくて、あとで遊大にボコボコにされたら、俺は真っ先にあきらめちまうかもしれねえ!」
こうして通話は切られた。小麦が『意固地!』とコメントするが、いくら待っても颯天だけ既読にならない。
こうして地上での連絡を終えた颯天は、再びローランをにらみつける。
「もうあきらめろ。お前じゃ何をしても俺には勝てない。仮にすべてを終わらせて世界をもとに戻せたとして、なんになる」
息の上がっている颯天を前に、ローランが語り出した。
「旧世界はディストピアだった。地位のある者はそれを利用し、嘘で得をし、常に争いが起きていた。天寿を全うできた者はいったい何人いただろうか。おそらく全体の1割もいなかっただろう。残りの9割は悲惨な最期を迎えたわけだ。この世界ではそんなことは起こらない。皆が望むものを手に入れられ、皆が幸せな死を迎えられる。誰も苦しまない。誰も悲しまない。理想郷なんだよ、ここは。旧世界の残骸に問う。お前が生まれ育った世界に何か希望はあったか?」
颯天の思考が止まる。旧世界がとんでもない隠し事をし、それが原因で世界を破滅させた戦争が起こった場面を目の前で見てしまっていたからだった。
「自分の胸に手を当てて考えてみるんだな。あの世界は戻るほどの価値があるものなのか」
颯天の右手がみぞおちに触れる。その時颯天は、自分の体に起こった異変に気がついた。
「遊大……」
颯天はニヤリと笑った。
「俺の希望は、ボロ雑巾みてえになりながら人を笑顔にしようとか言うあのバカだけだ」
そう言うと颯天は上半身裸、素足になり、変化した己の体をローランに見せつける。
颯天の体には、みぞおちから横並びに3門、背中に縦並びに3門、両足の裏に1門ずつ、新たな砲口ができあがっていた。
「ハウ・トゥ・ワールド・ドミネーション! 死にたいと謳う歌(デス・ウィッシュ・ソング)!」
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