追放された冒険者を案内する『追放処理班』のギルド職員、裏で『ざまぁ代行屋』と呼ばれていた件。〜お望みのざまぁプランはこちらですか?〜

TGI:yuzu

文字の大きさ
29 / 40
case3 異国日本からの転移者

アンネとの再会。

しおりを挟む
 
「ご主人様っ」

 ばっと俺に駆け寄って来る少女。
 日に日に健康状態は回復し、肌のツヤも手入れの努力が伺える。

「やあ、久しぶり。アンネ」

 冒険者ギルドは特に騒ぐ様子はない。
 近所のペットが、一度遊んだ相手を見てはしゃぐようなものだ。

 一週間に一度、俺に会いにやってくる奥山は後ろで軽く会釈した。
 俺も約束を果たしてくれてありがとう、と礼を返す。

「アンネね、いっぱい話したい事あるんだっ」

 奥山は横の酒場で時間を潰すとてをひらひらさせた。
 残り二人の奴隷達は奥山にぴったりと追随していく。

 二人になれるよう、気を効かせてくれたのだ。

「よし。じゃあ、落ち着ける場所でまたゆっくり話そうか」

 メンタルケア、なんて大それた言い方だろうか。
 だが前に一度、奥山は俺に言っていた。

『君の存在が現在の彼女の支えになっている。認めたくないけどね』

 俺なりの責任を果たす為に、俺は目の前の少女と向き合うのだ。

 □■□ 

 名前 アンネ
 性別 女
 体力 22510/22510 魔力85000/87500
恩恵スキル』『歌唱』

「アンネは凄いな。元のステータスが幾らだったか分からない位成長している。よく頑張ったな、偉い偉い」
「えへ……えへへっ」

 アンネはまだ子供だ。
 俺がこうして頭を撫でるだけで分かり易く笑みを零す。

 この強さだと、世界でも五十番以内には入っていそうだ。
 魔法に限って言えば、俺よりも既に強いかもしれない。

「ご主人様とはうまくやれているのか」

「だから違う、しのぶはしのぶ。ご主人様はあなたっ」

「いい加減認めろよ……奥山は既に金貨五枚以上の稼ぎは出している。この前だって、アンネが止めなければ俺がその分の金を貰っていた所なんだぞ」

「ご主人様も……そんな事言うの?」

「アンネ……」

 そろそろ聞くべき頃合いだろうか。
 どうして俺にそこまで固執するのか、俺でなくてはいけない理由。
 何か意味があるんじゃないか。

「なあ、アンネ」

「アンネが元々隣国にいた魔法師って事はもう知ってるよね」

 アンネから切り出した。
 隣国から流れて来た奴隷だという事実は早々に突き止めていた。

「アンネは最初、全てを忘れていた。奴隷に落ちた時……生きるのに必死で、使命を忘れて。ただ生き延びたいと強く思ったの」

 アンネは俯きながら訥々と過去を離し始めた。
 一か月経って俺が初めて聞く話だった。

「思い出し始めたのは、しのぶと冒険を始めてから。ううん、始める前、あなたの顔を見たときから思い出し始めていた。アンネの記憶、アンネの使命を」

「君の使命……なんなんだ一体」

。それが、アンネの使命だった」


 アンネは椅子に座らせる。
 長い話になるなと、ある程度の予想は出来た。
 幸い今の部屋は代行業を営む時の個室だ、誰も入ってはこない。

 俺は頷いて続きを話させた。

「黒竜王はアンネ達の国ラナンキュラスを滅ぼそうとした。永きに渡る眠りから覚め、国民を恐怖に陥れた。黒竜王は、万物を溶かし尽くすブレスで街を葬り去り、体表から毒の瘴気が人々を襲う。アンネ達が倒そうと決心するまでに街は五つ滅んだ」


『姫様、アンネが必ず守ります』

『アンネ、ダメよ。行っちゃダメぇ!!』

「最強の魔法師と呼ばれた時代もあった。何しろアンネの唄は文字通り人の格を底上げする。奇跡の唄声に国民達は、国を守る兵士は活気を取り戻した。もう少しで倒せるはずだった……っ」

 ギリリ、血が滲む程アンネは強く拳を握りしめた。
 唇からぽたりと鮮血が滴る。余程の悔しさに美しい顔を歪ませていた。

「……ライゼンベルクの兵士が攻めて来たのは丁度その頃だった」

「まさか……!」

『ベリアルさん、知らないんですか? 最近隣国との国境付近で小競り合いがあったらしく、近々戦争になるかもしれないと』

『国王様との密会は、暗殺の件の相談でしょう。そして、その全ては戦争で隣国に攻め込む際の大義名分を作る為。『『聖女』はお前達のせいで殺された。だから、お前達には報復を受けて貰う』とかなんとか言って』

 全てが繋がっていく。
 隠された謎が明らかにされていく。


「つまり俺達は……俺達の国ライゼンベルクの兵士は、黒竜王討伐で疲弊した所を、背中から奇襲したっていうのか!?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

Sランクパーティーを追放された鑑定士の俺、実は『神の眼』を持ってました〜最神神獣と最強になったので、今さら戻ってこいと言われてももう遅い〜

夏見ナイ
ファンタジー
Sランクパーティーで地味な【鑑定】スキルを使い、仲間を支えてきたカイン。しかしある日、リーダーの勇者から「お前はもういらない」と理不尽に追放されてしまう。 絶望の淵で流れ着いた辺境の街。そこで偶然発見した古代ダンジョンが、彼の運命を変える。絶体絶命の危機に陥ったその時、彼のスキルは万物を見通す【神の眼】へと覚醒。さらに、ダンジョンの奥で伝説のもふもふ神獣「フェン」と出会い、最強の相棒を得る。 一方、カインを失った元パーティーは鑑定ミスを連発し、崩壊の一途を辿っていた。「今さら戻ってこい」と懇願されても、もう遅い。 無能と蔑まれた鑑定士の、痛快な成り上がり冒険譚が今、始まる!

Sランクパーティを追放されたヒーラーの俺、禁忌スキル【完全蘇生】に覚醒する。俺を捨てたパーティがボスに全滅させられ泣きついてきたが、もう遅い

夏見ナイ
ファンタジー
Sランクパーティ【熾天の剣】で《ヒール》しか使えないアレンは、「無能」と蔑まれ追放された。絶望の淵で彼が覚醒したのは、死者さえ完全に蘇らせる禁忌のユニークスキル【完全蘇生】だった。 故郷の辺境で、心に傷を負ったエルフの少女や元女騎士といった“真の仲間”と出会ったアレンは、新パーティ【黎明の翼】を結成。回復魔法の常識を覆す戦術で「死なないパーティ」として名を馳せていく。 一方、アレンを失った元パーティは急速に凋落し、高難易度ダンジョンで全滅。泣きながら戻ってきてくれと懇願する彼らに、アレンは冷たく言い放つ。 「もう遅い」と。 これは、無能と蔑まれたヒーラーが最強の英雄となる、痛快な逆転ファンタジー!

《レベル∞》の万物創造スキルで追放された俺、辺境を開拓してたら気づけば神々の箱庭になっていた

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティーの雑用係だったカイは、魔王討伐後「無能」の烙印を押され追放される。全てを失い、死を覚悟して流れ着いた「忘れられた辺境」。そこで彼のハズレスキルは真の姿《万物創造》へと覚醒した。 無から有を生み、世界の理すら書き換える神の如き力。カイはまず、生きるために快適な家を、豊かな畑を、そして清らかな川を創造する。荒れ果てた土地は、みるみるうちに楽園へと姿を変えていった。 やがて、彼の元には行き場を失った獣人の少女やエルフの賢者、ドワーフの鍛冶師など、心優しき仲間たちが集い始める。これは、追放された一人の青年が、大切な仲間たちと共に理想郷を築き、やがてその地が「神々の箱庭」と呼ばれるまでの物語。

デバフ専門の支援術師は勇者パーティを追放されたので、呪いのアイテム専門店を開きます

夏見ナイ
ファンタジー
支援術師ノアは、敵を弱体化させる【呪物錬成】スキルで勇者パーティを支えていた。しかし、その力は地味で不吉だと疎まれ、ダンジョン攻略失敗の濡れ衣を着せられ追放されてしまう。 全てを失い、辺境の街に流れ着いたノア。生きるために作った「呪いの鍋」が、なぜか異常な性能を発揮し、街で評判となっていく。彼のスキルは、呪いという枷と引き換えに、物の潜在能力を限界突破させる超レアなものだったのだ。本人はその価値に全く気づいていないが……。 才能に悩む女剣士や没落貴族の令嬢など、彼の人柄と規格外のアイテムに惹かれた仲間が次第に集まり、小さな専門店はいつしか街の希望となる。一方、ノアを追放した勇者パーティは彼の不在で没落していく。これは、優しすぎる無自覚最強な主人公が、辺境から世界を救う物語。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

外れスキル【アイテム錬成】でSランクパーティを追放された俺、実は神の素材で最強装備を創り放題だったので、辺境で気ままな工房を開きます

夏見ナイ
ファンタジー
Sランクパーティで「外れスキル」と蔑まれ、雑用係としてこき使われていた錬金術師のアルト。ある日、リーダーの身勝手な失敗の責任を全て押し付けられ、無一文でパーティから追放されてしまう。 絶望の中、流れ着いた辺境の町で、彼は偶然にも伝説の素材【神の涙】を発見。これまで役立たずと言われたスキル【アイテム錬成】が、実は神の素材を扱える唯一無二のチート能力だと知る。 辺境で小さな工房を開いたアルトの元には、彼の作る規格外のアイテムを求めて、なぜか聖女や竜王(美少女の姿)まで訪れるようになり、賑やかで幸せな日々が始まる。 一方、アルトを失った元パーティは没落の一途を辿り、今更になって彼に復帰を懇願してくるが――。「もう、遅いんです」 これは、不遇だった青年が本当の居場所を見つける、ほのぼの工房ライフ&ときどき追放ざまぁファンタジー!

無能と追放された俺、死にかけて覚醒した古代秘術を極めて最強になる

仲山悠仁
ファンタジー
魔力がすべての世界で、“無能”と烙印を押された少年アレックスは、 成人儀式の日に家族と村から追放されてしまう。 守る者も帰る場所もなく、魔物が徘徊する森へ一人放り出された彼は、 そこで――同じように孤独を抱えた少女と出会う。 フレア。 彼女もまた、居場所を失い、ひとりで生きてきた者だった。 二人の出会いは偶然か、それとも運命か。 無能と呼ばれた少年が秘めていた“本当の力”、 そして世界を蝕む“黒い霧”の謎が、静かに動き始める。 孤独だった二人が、共に歩き出す始まりの物語。

処理中です...