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第113話 セリアの魔女退治……やり方がえぐいでござる!?
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キモヲタの【お尻痒くな~る】の効果が切れたときには、さすがの魔女も体力を使い果たしたのか、大人しくユリアスに縄で縛り上げられていました。
その姿は青い炎を宿す瞳を除けば、もはや人間の女性としか見えません。
セリアはキモヲタとエレナに、この魔女が人々の願いを聞き入れる代償に何かを奪い取る力を持っていることを説明します。
「私が良いと言うまでは口を聞くのも頷くのもだめよ。わかったら、まばたきして」
キモヲタとエレナ、そして他の三人も、セリアに向ってまばたきをしました。
「それとキモヲタ、私の傷を治療してもらえる?」
キモヲタの【足ツボ治癒】で傷を癒したセリアは、縄で縛られているボルギナンドとその仲間の前に立ちました。
お尻の痒みが収まった彼らは、セリアに向って必死に訴えます。
「俺たちをどうするつもりなんだ!」
「殺さないでくれ!」
「死ぬのはいやだ死ぬのはいやだ死ぬのはいやだ」
「……」
ボルギナンドも口を動かしていましたが、そこから声が出てくることはありませんでした。
「少しでも長生きしたければ、私の質問に正直に答えなさい」
セリアの言葉に男たちが頷きます。
「貴方たちは、ボルギナンドの仲間ね?」
三人の男が一斉に頷きました。彼らは今さら何を聞くのかと不思議そうな顔をしています。というのもこのアベルハースト城までの道中で、お互いに自己紹介を済ませていたからです。
セリアは魔女に聞かせるために話していたのでした。
「ボルギナンドと貴方たちは、この廃城で沢山の女を犯し、そして何人も殺した、そうよね?」
三人の男が、セリアの燃える瞳から目を逸らしました。
「サイラス!」
セリアの大声に、三人の中にいる銀髪の男が反応しました。
「な、なんだ?」
「知ってるわよ、サイラス。あなたが、フィオナ・ランバートを殺したことを」
「なっ!?」
驚愕で目を見開くサイラスに、魔女が青い炎が宿る目を向けました。
「サイラス! あの魔女をよく見なさい。地獄から蘇ったあの魔女が誰だかわかる? 分かるわよね?」
最初は訝し気に魔女を見ていたサイラスでしたが、すぐにその表情が恐怖に満ちたものに変わります。
「フィオナ・ランバート!? 生きてるはずがない! なんでここにいる!?」
サイラスの質問にセリアは答えませんでした。その代わり――
「魔女よ、この男、サイラスの【生きる】をあげる!」
「その男の【生きる】をもらう」
縛られたままであるにも関わらず、魔女がカッと目を見開いてサイラスを見つめます。
その瞬間、サイラスは死にました。
苦悶の声を上げることもなく、ただ糸が切れた人形のように地面に倒れ伏し、そして二度と動かなくなりました。
それを見た二人の男が、恐怖で身体を震わせます。
セリアは魔女に向って言いました。
「あなたを殺したニックとサイラスは死んだわ。貴方は十分に復讐を果たした。これで満足しなさい」
セリアの言葉を聞いた魔女は、少しのあいだ沈黙していました。
魔女は瞳の青い炎を揺らめかせ、ふたたび口を開きます。
「まだ足りない……その男たちの【生きる】をよこせ」
「はぁ……。ユリアス、エルミアナ、まばたきで返事してね。外にいる馬を連れて来てくれる? 死んだ連中の馬だけでいいわ」
ユリアスとエルミアナはまばたきをすると、そのまま外へ出て行きました。
「そろそろ満足してくれないと……やっぱり殺すしかないのかしら?」
しばらくすると二人が四頭の馬を連れて、広間に戻ってきました。
「馬には悪いけど……その四頭の馬の【生きる】をあげる」
「その馬たちの【生きる】をもらう」
四頭の馬が、その場に崩れ落ちました。
生命がまるで、ゲームでカードを交換するような手軽さで奪われていきます。その場にいる全員が、眼前で繰り広げられる恐ろしい光景に息を呑みました。
「まだ足りない……」
魔女の瞳の青い炎はより輝きを強くしています。それに反して、何かを要求する声の圧力が小さくなっていることをセリアは感じていました。
「ふぅ……分かったわ。ならその≪二人の男≫の【声】をあげる」
「その二人の男の【声】をもらう」
二人の男が、声を失いました。
それを最後に魔女は沈黙しました。
セリアが魔女の瞳をまっすぐに見据えます。そして自分の刀を魔女に差し出して言いました。
「この刀をあげる」
「……」
魔女は何も答えませんでした。
セリアは魔女に歩み寄ると、その目の前に刀を魔女に差し出して言いました。
「フィオナ・ランバート、この刀をあげる」
「……いらない」
「フィオナ・ランバート、この刀をあげる。受け取りなさい!」
「そんなものいりません!」
拒絶されたセリアは刀を自分の腰に戻すと、ユリアスたちに向き直りました。
「終わったわ。みんな、喋っても大丈夫よ。この娘はもう化け物じゃない」
セリアの言葉を聞いて、全員の口から長い長い安堵のため息が漏れるのでした。
そして安心できる状況になって、ようやくキモヲタたちは気づくのでした。
フィオナの瞳に宿る青い焔が、セリアのそれと同じであるという事実に――。
その姿は青い炎を宿す瞳を除けば、もはや人間の女性としか見えません。
セリアはキモヲタとエレナに、この魔女が人々の願いを聞き入れる代償に何かを奪い取る力を持っていることを説明します。
「私が良いと言うまでは口を聞くのも頷くのもだめよ。わかったら、まばたきして」
キモヲタとエレナ、そして他の三人も、セリアに向ってまばたきをしました。
「それとキモヲタ、私の傷を治療してもらえる?」
キモヲタの【足ツボ治癒】で傷を癒したセリアは、縄で縛られているボルギナンドとその仲間の前に立ちました。
お尻の痒みが収まった彼らは、セリアに向って必死に訴えます。
「俺たちをどうするつもりなんだ!」
「殺さないでくれ!」
「死ぬのはいやだ死ぬのはいやだ死ぬのはいやだ」
「……」
ボルギナンドも口を動かしていましたが、そこから声が出てくることはありませんでした。
「少しでも長生きしたければ、私の質問に正直に答えなさい」
セリアの言葉に男たちが頷きます。
「貴方たちは、ボルギナンドの仲間ね?」
三人の男が一斉に頷きました。彼らは今さら何を聞くのかと不思議そうな顔をしています。というのもこのアベルハースト城までの道中で、お互いに自己紹介を済ませていたからです。
セリアは魔女に聞かせるために話していたのでした。
「ボルギナンドと貴方たちは、この廃城で沢山の女を犯し、そして何人も殺した、そうよね?」
三人の男が、セリアの燃える瞳から目を逸らしました。
「サイラス!」
セリアの大声に、三人の中にいる銀髪の男が反応しました。
「な、なんだ?」
「知ってるわよ、サイラス。あなたが、フィオナ・ランバートを殺したことを」
「なっ!?」
驚愕で目を見開くサイラスに、魔女が青い炎が宿る目を向けました。
「サイラス! あの魔女をよく見なさい。地獄から蘇ったあの魔女が誰だかわかる? 分かるわよね?」
最初は訝し気に魔女を見ていたサイラスでしたが、すぐにその表情が恐怖に満ちたものに変わります。
「フィオナ・ランバート!? 生きてるはずがない! なんでここにいる!?」
サイラスの質問にセリアは答えませんでした。その代わり――
「魔女よ、この男、サイラスの【生きる】をあげる!」
「その男の【生きる】をもらう」
縛られたままであるにも関わらず、魔女がカッと目を見開いてサイラスを見つめます。
その瞬間、サイラスは死にました。
苦悶の声を上げることもなく、ただ糸が切れた人形のように地面に倒れ伏し、そして二度と動かなくなりました。
それを見た二人の男が、恐怖で身体を震わせます。
セリアは魔女に向って言いました。
「あなたを殺したニックとサイラスは死んだわ。貴方は十分に復讐を果たした。これで満足しなさい」
セリアの言葉を聞いた魔女は、少しのあいだ沈黙していました。
魔女は瞳の青い炎を揺らめかせ、ふたたび口を開きます。
「まだ足りない……その男たちの【生きる】をよこせ」
「はぁ……。ユリアス、エルミアナ、まばたきで返事してね。外にいる馬を連れて来てくれる? 死んだ連中の馬だけでいいわ」
ユリアスとエルミアナはまばたきをすると、そのまま外へ出て行きました。
「そろそろ満足してくれないと……やっぱり殺すしかないのかしら?」
しばらくすると二人が四頭の馬を連れて、広間に戻ってきました。
「馬には悪いけど……その四頭の馬の【生きる】をあげる」
「その馬たちの【生きる】をもらう」
四頭の馬が、その場に崩れ落ちました。
生命がまるで、ゲームでカードを交換するような手軽さで奪われていきます。その場にいる全員が、眼前で繰り広げられる恐ろしい光景に息を呑みました。
「まだ足りない……」
魔女の瞳の青い炎はより輝きを強くしています。それに反して、何かを要求する声の圧力が小さくなっていることをセリアは感じていました。
「ふぅ……分かったわ。ならその≪二人の男≫の【声】をあげる」
「その二人の男の【声】をもらう」
二人の男が、声を失いました。
それを最後に魔女は沈黙しました。
セリアが魔女の瞳をまっすぐに見据えます。そして自分の刀を魔女に差し出して言いました。
「この刀をあげる」
「……」
魔女は何も答えませんでした。
セリアは魔女に歩み寄ると、その目の前に刀を魔女に差し出して言いました。
「フィオナ・ランバート、この刀をあげる」
「……いらない」
「フィオナ・ランバート、この刀をあげる。受け取りなさい!」
「そんなものいりません!」
拒絶されたセリアは刀を自分の腰に戻すと、ユリアスたちに向き直りました。
「終わったわ。みんな、喋っても大丈夫よ。この娘はもう化け物じゃない」
セリアの言葉を聞いて、全員の口から長い長い安堵のため息が漏れるのでした。
そして安心できる状況になって、ようやくキモヲタたちは気づくのでした。
フィオナの瞳に宿る青い焔が、セリアのそれと同じであるという事実に――。
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