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第160話 胸モロ出し網タイツバニーメイド
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金貨二万枚を目にしたキモヲタは、それ以来、復興局の外へ出られなくなってしまいました。
彼の行動範囲は、金貨が収められている秘儀の部屋から半径数十メートル。復興局の入り口扉までなのでした。
今日も午前中の治癒が終わって、お昼の食事に行こうと誘ってきたキーラに対して、キモヲタは激しく首を左右に振ります。
「例のブツからあまり離れてしまうと、誰かに盗まれてしまうかもしれないではござらんか! 我輩が残ってキチンと見張っているでござるよ!」
そういうキモヲタの眼は瞳孔が開いてランランと輝いています。目の下にはクマができていました。
金貨二万枚をしても手に入れることができないような、凄いチートスキルを持っているにも関わらず、いまのキモヲタは完全に金貨に目がくらんでいるのでした。
「もう! わかったよ! 出店で何か買ってきてあげる!」
シスター・エヴァと一緒にくっついていけば、セレブが出している料理店も無料かつ好待遇で対応してくれます。なのでキーラは、昼食はシスターと外で食べるのが絶対に譲れない楽しみになっていました。
「せっかく美味しい料理をたくさん食べられるのに、キモヲタはまったくもう!」
ブツブツ言いながら食事に出かけるキーラを見送った後、キモヲタはそそくさと「真実の口」の箱部屋へと戻っていくのでした。
「ここからなら我輩の【索敵マップ】で侵入者を確実に検知することができるでござる。怪しい輩は即【お尻痒くな~る】で動きを止めて、そのお尻にモップを突き立てやるでござるよ」
キーラたちが戻ってくるまでの間、キモヲタは金貨の使い道について色々と考えを巡らしていました。
「これで我輩、もう一生働かずに遊び暮らすことができるでござるよ。デュフフ。郊外に大きな屋敷を買って、メイドを沢山雇ってメイド48を作るでござるよ。48、48でござるか。まずは朝起きたとき、ベッドに眠っている我輩に馬乗りに跨って起こしてくれる1番メイドと、優しく甘いボイスを耳元で囁きながら起こしてくれる2番メイド。お着換えをさせてくれる3番メイド。エースの4番はヘアセットと鼻毛カット専属メイドでござろうな。エースは巨乳メイドにして、カット中に目の前でプルプルするのを楽しむのでござるよ。フォカヌポー。第5メイドは、アロマエステマッサージ専属メイドにして、我輩の全身を……おっ……おっ、大人のマッサージも行けるのではござらんか!? 今の我輩なら、メイド全員をバニーメイドにして……いやいや、もっとイケルでござる。メイド全員を胸モロ出し網タイツバニーメイドに……。いやいやいやまだいける! 金貨二万枚であれば、もっと先に行けるはず! そうでござる全員紐ビキニメイドでもイケ」
「ヒモビキニメイド? なんなのそれ?」
「はわぁあぁあああ!? キ、キーラタン!?」
妄想から意識が戻ってきたキモヲタは、自分の邪な心がキーラに見られてしまったのではないかと焦りました。
しかしキーラといえば、キモヲタの邪な心と変な言動など、普段から見慣れているので、特に何も思うことはなかったのです。
「はいはいキーラだよ。はい! これお昼ご飯のキッシュとワイン。今日、シスターと行ったセレブ料理店の店長が持たせてくれたんだよ」
キーラから渡された食事をテーブルに並べ、キモヲタがキッシュをむしゃむしゃと頬張っていると、
「あっ、そうだった。ユリアスが来てるよ。いま上でシスターと会って話してる。食事が終わったら、上に来て欲しいって」
「ユリアス殿が? なんだか久しぶりな気がするでござるな。何か我輩たちに用があるのでござろうか」
「単に顔が見たいってだけかも」
「ふむ……」
~ 再会 ~
キモヲタが食事を終えて、シスターの執務室に入ると、そこにはシスター・エヴァと談笑するユリアスの姿がありました。
ユリアスはキモヲタを見とめると、パッと顔を輝かせて立ち上がり、キモヲタに近づいてきました。
「キモヲタ様! お元気そう……でもないようですが!? 目にクマが出来てますよ。いったいどうされたのですか!? キモヲタ様でしたら足ツボち……ふぐっ!?」
キーラがユリアスの口を手でふさぎました。
「シィィィッ! ユリアス! キモヲタの【足ツボ治癒】のことは内緒にすることになってるの! ここだと誰に聞かれるかわからないから、そのことは口にしないで!」
耳元近くで小声で囁くキーラの言葉に、理由はよく分からないものの、それが必要なことであることを理解したユリアスは、静かに首を動かしました。
「分かりました。キモヲタ殿のスキルのことは内緒ということですね。事情については、また今度ゆっくりと聞かせてください。とりあえず今日はキモヲタ様に今回のクエストの報酬をお持ちしましたので、受け取ってください」
「クエストの報酬? 何のクエストでござるか? ユリアス殿からクエスト依頼を受けたことはな……くはないでござったな。賢者の石の捜索の件でござるか」
ユリアスはニッコリと微笑んでキモヲタに金貨袋を差し出しながら、
「一昨日、他の賢者の石探索チームが大使館に到着しました。これから情報交換して今後どうするのかを話し合うことになったのですが、とりあえず今時点でクエストは完了ということになりました。これが報酬の金貨30枚になります。どうぞお受け取りください」
ユリアスから渡されたのはずっしりと重い金貨袋だったのですが、キモヲタの心はピクリとも動きませんでした。何故なら、今のキモヲタは「金貨二万枚の男」だったからです。
「わざわざ報酬を届けてくださったでござるな。ありがとうでござる」
もっと喜んでもらえると思っていたユリアスは、何だか肩透かしを食らったような気がしました。
一方、キモヲタから金貨袋を預かったキーラは、満面の笑顔をキモヲタとユリアスに向けています。
「金貨が30枚も! やったねキモヲタ!!」
こういう反応が欲しかったのだと、心の中でつぶやくユリアスなのでした。
彼の行動範囲は、金貨が収められている秘儀の部屋から半径数十メートル。復興局の入り口扉までなのでした。
今日も午前中の治癒が終わって、お昼の食事に行こうと誘ってきたキーラに対して、キモヲタは激しく首を左右に振ります。
「例のブツからあまり離れてしまうと、誰かに盗まれてしまうかもしれないではござらんか! 我輩が残ってキチンと見張っているでござるよ!」
そういうキモヲタの眼は瞳孔が開いてランランと輝いています。目の下にはクマができていました。
金貨二万枚をしても手に入れることができないような、凄いチートスキルを持っているにも関わらず、いまのキモヲタは完全に金貨に目がくらんでいるのでした。
「もう! わかったよ! 出店で何か買ってきてあげる!」
シスター・エヴァと一緒にくっついていけば、セレブが出している料理店も無料かつ好待遇で対応してくれます。なのでキーラは、昼食はシスターと外で食べるのが絶対に譲れない楽しみになっていました。
「せっかく美味しい料理をたくさん食べられるのに、キモヲタはまったくもう!」
ブツブツ言いながら食事に出かけるキーラを見送った後、キモヲタはそそくさと「真実の口」の箱部屋へと戻っていくのでした。
「ここからなら我輩の【索敵マップ】で侵入者を確実に検知することができるでござる。怪しい輩は即【お尻痒くな~る】で動きを止めて、そのお尻にモップを突き立てやるでござるよ」
キーラたちが戻ってくるまでの間、キモヲタは金貨の使い道について色々と考えを巡らしていました。
「これで我輩、もう一生働かずに遊び暮らすことができるでござるよ。デュフフ。郊外に大きな屋敷を買って、メイドを沢山雇ってメイド48を作るでござるよ。48、48でござるか。まずは朝起きたとき、ベッドに眠っている我輩に馬乗りに跨って起こしてくれる1番メイドと、優しく甘いボイスを耳元で囁きながら起こしてくれる2番メイド。お着換えをさせてくれる3番メイド。エースの4番はヘアセットと鼻毛カット専属メイドでござろうな。エースは巨乳メイドにして、カット中に目の前でプルプルするのを楽しむのでござるよ。フォカヌポー。第5メイドは、アロマエステマッサージ専属メイドにして、我輩の全身を……おっ……おっ、大人のマッサージも行けるのではござらんか!? 今の我輩なら、メイド全員をバニーメイドにして……いやいや、もっとイケルでござる。メイド全員を胸モロ出し網タイツバニーメイドに……。いやいやいやまだいける! 金貨二万枚であれば、もっと先に行けるはず! そうでござる全員紐ビキニメイドでもイケ」
「ヒモビキニメイド? なんなのそれ?」
「はわぁあぁあああ!? キ、キーラタン!?」
妄想から意識が戻ってきたキモヲタは、自分の邪な心がキーラに見られてしまったのではないかと焦りました。
しかしキーラといえば、キモヲタの邪な心と変な言動など、普段から見慣れているので、特に何も思うことはなかったのです。
「はいはいキーラだよ。はい! これお昼ご飯のキッシュとワイン。今日、シスターと行ったセレブ料理店の店長が持たせてくれたんだよ」
キーラから渡された食事をテーブルに並べ、キモヲタがキッシュをむしゃむしゃと頬張っていると、
「あっ、そうだった。ユリアスが来てるよ。いま上でシスターと会って話してる。食事が終わったら、上に来て欲しいって」
「ユリアス殿が? なんだか久しぶりな気がするでござるな。何か我輩たちに用があるのでござろうか」
「単に顔が見たいってだけかも」
「ふむ……」
~ 再会 ~
キモヲタが食事を終えて、シスターの執務室に入ると、そこにはシスター・エヴァと談笑するユリアスの姿がありました。
ユリアスはキモヲタを見とめると、パッと顔を輝かせて立ち上がり、キモヲタに近づいてきました。
「キモヲタ様! お元気そう……でもないようですが!? 目にクマが出来てますよ。いったいどうされたのですか!? キモヲタ様でしたら足ツボち……ふぐっ!?」
キーラがユリアスの口を手でふさぎました。
「シィィィッ! ユリアス! キモヲタの【足ツボ治癒】のことは内緒にすることになってるの! ここだと誰に聞かれるかわからないから、そのことは口にしないで!」
耳元近くで小声で囁くキーラの言葉に、理由はよく分からないものの、それが必要なことであることを理解したユリアスは、静かに首を動かしました。
「分かりました。キモヲタ殿のスキルのことは内緒ということですね。事情については、また今度ゆっくりと聞かせてください。とりあえず今日はキモヲタ様に今回のクエストの報酬をお持ちしましたので、受け取ってください」
「クエストの報酬? 何のクエストでござるか? ユリアス殿からクエスト依頼を受けたことはな……くはないでござったな。賢者の石の捜索の件でござるか」
ユリアスはニッコリと微笑んでキモヲタに金貨袋を差し出しながら、
「一昨日、他の賢者の石探索チームが大使館に到着しました。これから情報交換して今後どうするのかを話し合うことになったのですが、とりあえず今時点でクエストは完了ということになりました。これが報酬の金貨30枚になります。どうぞお受け取りください」
ユリアスから渡されたのはずっしりと重い金貨袋だったのですが、キモヲタの心はピクリとも動きませんでした。何故なら、今のキモヲタは「金貨二万枚の男」だったからです。
「わざわざ報酬を届けてくださったでござるな。ありがとうでござる」
もっと喜んでもらえると思っていたユリアスは、何だか肩透かしを食らったような気がしました。
一方、キモヲタから金貨袋を預かったキーラは、満面の笑顔をキモヲタとユリアスに向けています。
「金貨が30枚も! やったねキモヲタ!!」
こういう反応が欲しかったのだと、心の中でつぶやくユリアスなのでした。
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