キモヲタ男爵奮戦記 ~ 天使にもらったチートなスキルで成り上がる……はずだったでござるよトホホ ~

帝国妖異対策局

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第196話 キーラたんの残り香を堪能するでござる!

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 エレナの働きかけもあって、結局、シモンはキモヲタの下で働くことになりました。
 
 仕事の内容は、クエストを受注した際の前衛を務める他、キーラとソフィアの護衛役ということになりました。

 北西区は新設された復興庁やソープランド建設によって、人々の雇用や衣食住が安定しつつあり、以前よりは治安は良くなってきています。

 北西区の多くの住人は、キーラとソフィアがキモヲタ男爵の保護下にあることを知っています。しかし、他所から来た者たちはそうではありません。

 復興が活気づいてきたことで他所からの人の出入りが多くなっていることもあり、キーラやソフィアのような少女が一人で出歩くのは、まだまだ危険なことに変わりなかったのです。

 キーラは犬耳族ということで、普通の人間よりは身体能力が高く、冒険者としての経験も積んでいるため、ある程度は自分で危険に対処することは可能です。

 しかし、普通の人間で荒事に慣れていないソフィアは、そうではありません。

 というわけで、シモンは二人のお世話を兼ねた護衛役を任されたのでした。

「シモンさん、よろしくね!」
「よ、よろしくお願いします」

 二人の美少女からお願いされて、相好を崩すシモン(27歳)。

 兵士を辞して隊舎からも出ざるを得なくなり、宿を探そうかと考えていたものの、先のことを考えると次の仕事が見つかるまでは、野宿しようかなと考えていたシモン。
 
 もしかして早く定職につかないと、大事な女性の父親から『婚約破棄』を言い渡されるのではないかと、気が気でなかったシモン。

 というか、兵士を辞めたことをその女性や両親にどう説明すればいいのか!? と気がついてからは、ずっと足がガクガクブルブルしていたシモン。

 その給料は、エレナがキモヲタから仕入れたアダルトグッズの販売量を増やすことで賄われることになったのでした。

 そして、兵士のときよりも倍の給金が貰えることになったシモン。

「キーラお嬢! ソフィアお嬢! お二人のことは俺の命に代えても必ずお守り申し上げます!」

「ありがと! あとはシモンさんの部屋をどうするかだね……うーん……じゃ、キモヲタの部屋で一緒に寝ればいいよ!」

「えっ!? それはさすがに申し訳ねぇ……」

「気にしないで! キモヲタ邸ができるまでだから! 来週には完成するってエレノーラさん言ってたし!」

「お、お、お嬢ぉおおおおおお!」
 
 号泣するシモン。

 と、そこで慌てて口を出すキモヲタ。

「ちょ、ちょ、ちょちょ、キーラタン!? 我輩、野郎などと一緒に寝るのはごめんこうむりたいのでござるが!?」

「えーっ!? でも確かに太ったキモヲタと一緒のベッドだと、シモンさんが窮屈かぁ……」

「一緒のベッドで寝る前提!?」

 キモヲタが「マジあり得ない」という強い意志をうるんだ瞳に宿して、キーラの顔の前に迫ります。

「わ、わかったよ。ならキモヲタはボクの部屋を使って! それでいいでしょ?」

「キーラたんと一緒のベッド!? わっは~いでざるぅ!」

 一瞬にして元気を取り戻し、その場でトリプルアクセルを決めるキモヲタ。狭いベッドでキーラと超密着して眠る場面を妄想して、心は天国へと昇っていくのでした。

「ボクはソフィアの部屋で寝るから」

 そして一瞬で現実へと引き戻されるのでした。



~ ナイトタイムショッピング  ~

 キーラの部屋に移ったキモヲタ。

 ベッドの上で枕に顔をうずめてキーラの残り香を肺一杯で堪能し終わった後、おもむろにネットショッピング画面を開きます。

 最初にキモヲタは発注履歴を確認しました。

――――
発注履歴
――――
注文番号:000174
・ぐりぐりぐり太くん 数量:10
・マカ成分配合カレー「黒光り(ゴロゴロビーフ入り)10パック」 数量:100
・ご飯パック(4個入り) 数量:250
・白のティーバック 数量:1

注文番号:000175
・ヘラクレス 数量:10
・三日月屋 ハッカ入り羊羹 数量:1
・黒のティーバック 数量:1

注文番号:000176
・超薄型!近藤さんちのコンドーム 数量:100
・お湯だけ簡単!男のカップ飯ハヤシライス(スプーン付き) 数量:600
・白のティーパック 数量:1

「う~む。そろそろ気づいてくれたでござろうか」

 キモヲタのネットショップスキルは、一般的なネットスーパーやAmazonoで買い物ができるものではありません。

 キモヲタが買い物できるのは、アダルトショップ「ネットタイムラバー」だけなのです。

 ただこのネットタイムラバーでは、店長が誤発注したものを商品のラインナップに上げていたのです。

 カレーの誤発注品をキモヲタがすべて買って以降、次から次へとキモヲタが全て買い上げていくため、今では「誤発注」カテゴリまで用意されるまでになりました。

 その後、誤発注カテゴリが拡大していくにつれ、キモヲタは店長がこちらのニーズをかなり正確に読み取っていることに気づきます。

「かなりできる店長のようでござるな。もしかして、こちらからの要望をなんとか伝えることも可能では?」

 と考えたキモヲタが、最初に行っている試み。

 それは、誤発注商品の中でキモヲタのニーズに合うものを発注する際は、白いティーバックを同時に注文し、逆の場合は黒いティーバックを注文するというものでした。

「これがうまくいけば、次はティーバックの数で、欲しい量を伝えられるようにするでござるよ。そしてその後は、次の段階へ……って、まっず! ハッカ羊羹まっず!」

 ハッカアイスはそれほど嫌いではないキモヲタでしたが、さすがに羊羹はキツイと嘆きつつ、それでもガブリと齧るキモヲタなのでした。

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