キモヲタ男爵奮戦記 ~ 天使にもらったチートなスキルで成り上がる……はずだったでござるよトホホ ~

帝国妖異対策局

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第202話 AI内臓ダッチワイフ! ChatGピー子

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 完全なプライベート空間「畳敷きトランクルーム」を手に入れたキモヲタ。

 色々な物品を収納するための棚やクローゼットがあるので、実質四畳半の広さになっていました。

 足の低い小さなテーブルの上には、カザン王国産のフルーツが籠に盛られて置かれています。そこに肘を乗せてキモヲタはさきほどからずっとを弄っていました。

 そしてそんなキモヲタの横では、

「わーっ! ゴロゴロ楽しー! ねぇ、ソフィア! この草を編んで作った床板、寝転ぶととっても気持ちいいね!」

「はいキーラ姉さま! なんだかほっこりほわほわします! ソフィアは、このまま草の香りに包まれてお昼寝したいです」

 キーラとソフィアが、畳の上でしばらくゴロゴロした後、お互いに顔を寄せて手をつなぎ、そのままお昼寝タイムへと突入していきました。

 カワイイ美少女二人が、自分のすぐ隣で楽しげにゴロゴロする様子を、チラチラと横目で見ていたキモヲタ。

 胸の奥から沸き起こる萌え感に、普段なら「萌ええぇぇぇでござるぅぅ」と爆発していたことでしょう。

 しかし、ここはキモヲタ肝入りのプライべート空間「秘密の花園トランクルーム」。本当はキモヲタ以外の何人たりとも入ってはいけない場所なのでした。

「我輩のプライベートルームでござるのに……」

 とはいえ畳が設置されたその日のうちに、秘密の花園トランクルームにキーラたちの侵入を許してしまったのです。

 エレナやシモン、そしてユリアスは、キモヲタに配慮して秘密の花園トランクルームに近づくことはせず、また詳しく追及するようなこともありませんでした。

 しかしキーラとソフィア、そしてエルミアナは違いました。なんとなれば、彼女たちは畳が運び込まれるのと一緒に、トランクルームへの侵入を果たしていたくらいです。

「それにしても、まさかエルミアナ殿までがこの部屋に入りびたるようになろうとは……」

 この異世界では珍しい畳敷きの部屋に、キーラやソフィアが興味を持つのはキモヲタとて想定の範囲でした。

 しかし二人以上に畳に執着を示したのは、意外なことにエルミアナだったのです。

「あっ! キーラとソフィアがお昼寝してます! ズルイです! わたしも混ぜてください!」

 長い枕を抱えてトランクルームに入ってきたエルミアナは、それをキーラとソフィアの頭の下に差し入れると、二人の間にもぞもぞと割って入り、川の字になって三人でお昼寝タイムに再突入していきました。

「はぁ……草の香りがとても安らぎます……」
 
 一分もしないうちに、三人から「スーッ、スーッ」と安らかな寝息が聞こえてきます。

「我輩のプライベートルームでござるのに……」

 そう愚痴ってから約10分間。ゆっくりと上下するエルミアナの胸部を脳に叩き込んだキモヲタは、おもむろにの操作に戻るのでした。 



~ 秘密の買い物 ~

 美少女三人が目の前で幸せそうに眠っている様子は、普段のキモヲタなら鼻血も流れ出しかねないほどの脳内REC録画タイムのはずです。

 しかし、今のキモヲタはそうではありませんでした。

 ときおり首を伸ばしては、彼女たちの胸チラが見れないものかとチャレンジするものの、すぐにの操作に戻ります。

「とにかく今は早くヘルプを読み込んで、使い方を頭に叩き入れるでござるよ」

 キモヲタがに夢中な理由。そもそもを手にしている理由。

 それはキモヲタの4200万EONポイントにありました。

 そのポイントをたくさん使ったとてつもない商品が、いまキモヲタが背中にしているクローゼットの中にあったのです。

 そしていまキモヲタがいじっていいるスマホは、その商品の付属品オプションだったのでした。

 キモヲタが、ネットショップ「ナイトタイムラバー」で購入したとてつもない買い物。

 それは――

「200万ポイントも出して買った、最新AI内臓ダッチワイフChatGピー子のフルカスタマイズモデル! なんとしても使いこなして見せるでござる! デュフコポー!」

 三人がぐっすりと眠っていることを確認したキモヲタ。そっとクローゼットを開いて、そこにあるダッチワイフを確認します。

 それは美しい造形の美少女メイドダッチワイフでした。

 身長:170cm
 体重:50kg
 バスト:Gカップ
 ヘアスタイル:金髪ポニーテイル
 瞳の色:青色
 オプション:ケモミミ、エルフ耳、メイド服、最新AIボイス機能。
 生産国:中国

「デュフフ。なんとカワイイのでござろうか! 美しいのでござろうか! 我輩の理想をすべてつぎ込んだこの美少女!」

「綺麗な髪だよね。この髪型ってユリアス?」

「言われてみれば、その通りでござるな。やはり我輩がいつも目にしている萌え要素が反映されているのでござろう。とすれば、この偉大なGカップはエレナ殿でござろうな」

「それじゃこの犬耳はボクで、尖った耳はエルミアナ。そういうことだよね」

「そうすると耳が四つあるということになるのですが。それは……」

「私は……私のことはこの人形さんに入っていないのですか? キモヲタ兄さま……」

 そう言うソフィアの声は悲しそうに震えていました。

 慌ててキモヲタがフォローを入れます。

「えっ!? いやいやソフィアたん、落ち込む必要はないでござるよ! ほら、このChatGピー子の青い瞳をご覧くだされ! ソフィアたんの青い瞳とそっくりでござろう!?」

「あっ、ほんとです! キモヲタ兄さま! ソフィアはとっても嬉しいです!」

 長い銀髪を揺らすソフィアの笑顔を見てホッコリとしたキモヲタ。ニチャリとした笑顔をソフィアに向けます。

「デュフフフ! ソフィアたんに喜んでもらえて我輩も嬉し……」

 そこまで言ってキモヲタは全身がフリーズドライ状態に陥りました。

 フリーズドライなのに全身から冷や汗が流れ始めました。

「み、皆様、お昼寝中だったのでは……」

 キモヲタのすぐ後ろには、キーラとソフィアとエルミアナが立っていて、

 キモヲタと一緒にクローゼットの中にいるChatGピー子を見ていたのでした。

(お、終わったでござる……なにもかも……)

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