238 / 239
第237話 絶賛お尻グラインド中の三人
しおりを挟む
立ち眩みで崩れそうになったところを、キモヲタの腕にしがみついて堪えるアリエッタ姫。
「キ、キモヲタ男爵。これはいったい何が起こったというのでしょう。ど、どうか、今のわたくしが悪い夢を見ているのだとお答えになって……」
「アリエッタさま。実は我輩、このような状況を前にも見たことがあるのでござる。そう……あれは我が邸宅が完成する間際の頃、こちらのフォンベルト殿が我が家の前で同じような症状になっていたのでござる」
震えるアリエッタ姫の手をそっと取って、キモヲタは演技力たっぷりに語り始めました。その白々しい演技を見たユリアスやエレナは、キモヲタに何か考えがあることを覚ってここは黙っておくことにしました。
「まぁ! それは本当ですの!?」
「はい。そのときもフォンベルト卿は、このようにお尻……おヒップを木に擦りつけて難を逃れていたでござる。確かそのときは2時間ほどこうしていたという話を聞いているでござる」
「2時間!?」
スリスリッ! スリスリッ! スリスリッ!
再び眩暈を起こして倒れそうになるアリエッタ姫。キモヲタの話が聞こえていたのか、絶賛お尻擦り付け中のモリトール姉弟も、目大きく見開いてキモヲタを見るのでした。
スリスリッ! スリスリッ! スリスリッ!
キモヲタは彼らに聞こえるようにわざと大きな声を出して、アリエッタ姫に語り掛けます。
「アリエッタさま、ここは我輩に任せてくだされ」
「キモヲタ卿……」
根拠はわからないものの、自信たっぷりに振る舞うキモヲタに、アリエッタ姫はすがるようなまなざしを向けるのでした。
スリスリッ! スリスリッ! スリスリッ!
それどころか絶賛お尻スリスリ中の三人も、キモヲタに期待の目で見つめています。
キモヲタは芝居がかった声と動作で、テキパキと指示を出し始めました。
「ユリアス殿! 急ぎ馬車の用意を! それと彼らがギリお尻を擦り付けられる丸太を用意してくだされ! 馬車の中でもお尻が掻けるようにするでござるよ!」
「30分……いえ、15分で用意します!」
続いてキモヲタは絶賛お尻掻き放題中の三人に向き直ります。
「フォンベルト殿、確か前にこの症状が出た時は2時間程度で収まったと聞いていますが、それで間違いござらんか?」
スリスリッ! スリスリッ! スリスリッ!
キモヲタの問いにフォンベルト議員は頭をガクガクと振りました。それを見たキモヲタはモリトール姉妹に顔を向けます。
「……ということでござる。とはいえ、大衆の面前で2時間も過ごすのはよろしくないでござろうから、馬車で皆様をお送りするでござるよ」
頭をガクガクと振るモリトール姉弟。その瞳にはキモヲタに対する感謝の涙が溢れていました。
スリスリッ! スリスリッ! スリスリッ!
「とはいえ馬車が用意できるまでの間、なんとかこの痴態を誤魔化せねばなりませんな。なるべく大衆に皆様の痴態がバレないようにするには、どうすればいいでござるかな~」
仰々しい身振りで考え込むキモヲタ。アリエッタ姫と絶賛お尻グラインド中の三人の懇願するような瞳がキモヲタに向けられました。
「ハッ! そうでござる! ここにいるみんなで木を取り囲んで三人の姿を隠し、さらに歌を歌って声を掻き消すでござるよ!」
「「「!?」」」
キモヲタの言っている意味がわからず呆気にとられているアリエッタ姫や周りの人々。
「さぁさぁ、早くするでござる! お貴族様たちにいつまでも恥を掻かせるのはよろしくないでござるよ!」
キモヲタは急かすように声を上げて、木の周りを囲むように人の生垣を作らせるのでした。
「皆さま、隣の方と手をつないで、なるべくお三人の姿が隠れるように肩を寄せてくだされ!」
あんまりキモヲタが急かすものですから、貴族や護衛騎士、ソープランドスタッフが身分を気にする余裕もなくお互いに手をつないで、木を取り囲んでいます。
キモヲタもアリエッタ姫の手を握って、彼女と周りの人々に気持ちの余裕を与えることなく、立て続けに指示を出しました。
「キ、キモヲタ男爵。これはいったい何が起こったというのでしょう。ど、どうか、今のわたくしが悪い夢を見ているのだとお答えになって……」
「アリエッタさま。実は我輩、このような状況を前にも見たことがあるのでござる。そう……あれは我が邸宅が完成する間際の頃、こちらのフォンベルト殿が我が家の前で同じような症状になっていたのでござる」
震えるアリエッタ姫の手をそっと取って、キモヲタは演技力たっぷりに語り始めました。その白々しい演技を見たユリアスやエレナは、キモヲタに何か考えがあることを覚ってここは黙っておくことにしました。
「まぁ! それは本当ですの!?」
「はい。そのときもフォンベルト卿は、このようにお尻……おヒップを木に擦りつけて難を逃れていたでござる。確かそのときは2時間ほどこうしていたという話を聞いているでござる」
「2時間!?」
スリスリッ! スリスリッ! スリスリッ!
再び眩暈を起こして倒れそうになるアリエッタ姫。キモヲタの話が聞こえていたのか、絶賛お尻擦り付け中のモリトール姉弟も、目大きく見開いてキモヲタを見るのでした。
スリスリッ! スリスリッ! スリスリッ!
キモヲタは彼らに聞こえるようにわざと大きな声を出して、アリエッタ姫に語り掛けます。
「アリエッタさま、ここは我輩に任せてくだされ」
「キモヲタ卿……」
根拠はわからないものの、自信たっぷりに振る舞うキモヲタに、アリエッタ姫はすがるようなまなざしを向けるのでした。
スリスリッ! スリスリッ! スリスリッ!
それどころか絶賛お尻スリスリ中の三人も、キモヲタに期待の目で見つめています。
キモヲタは芝居がかった声と動作で、テキパキと指示を出し始めました。
「ユリアス殿! 急ぎ馬車の用意を! それと彼らがギリお尻を擦り付けられる丸太を用意してくだされ! 馬車の中でもお尻が掻けるようにするでござるよ!」
「30分……いえ、15分で用意します!」
続いてキモヲタは絶賛お尻掻き放題中の三人に向き直ります。
「フォンベルト殿、確か前にこの症状が出た時は2時間程度で収まったと聞いていますが、それで間違いござらんか?」
スリスリッ! スリスリッ! スリスリッ!
キモヲタの問いにフォンベルト議員は頭をガクガクと振りました。それを見たキモヲタはモリトール姉妹に顔を向けます。
「……ということでござる。とはいえ、大衆の面前で2時間も過ごすのはよろしくないでござろうから、馬車で皆様をお送りするでござるよ」
頭をガクガクと振るモリトール姉弟。その瞳にはキモヲタに対する感謝の涙が溢れていました。
スリスリッ! スリスリッ! スリスリッ!
「とはいえ馬車が用意できるまでの間、なんとかこの痴態を誤魔化せねばなりませんな。なるべく大衆に皆様の痴態がバレないようにするには、どうすればいいでござるかな~」
仰々しい身振りで考え込むキモヲタ。アリエッタ姫と絶賛お尻グラインド中の三人の懇願するような瞳がキモヲタに向けられました。
「ハッ! そうでござる! ここにいるみんなで木を取り囲んで三人の姿を隠し、さらに歌を歌って声を掻き消すでござるよ!」
「「「!?」」」
キモヲタの言っている意味がわからず呆気にとられているアリエッタ姫や周りの人々。
「さぁさぁ、早くするでござる! お貴族様たちにいつまでも恥を掻かせるのはよろしくないでござるよ!」
キモヲタは急かすように声を上げて、木の周りを囲むように人の生垣を作らせるのでした。
「皆さま、隣の方と手をつないで、なるべくお三人の姿が隠れるように肩を寄せてくだされ!」
あんまりキモヲタが急かすものですから、貴族や護衛騎士、ソープランドスタッフが身分を気にする余裕もなくお互いに手をつないで、木を取り囲んでいます。
キモヲタもアリエッタ姫の手を握って、彼女と周りの人々に気持ちの余裕を与えることなく、立て続けに指示を出しました。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる