異世界転生ハーレムプラン ～ 最強のスキルが【幼女化】ってマジですか？～

第7話 旅の仲間２

　奴隷商人を幼女化した。

　新しい幼女の出現に、馬上の幼女たちが大はしゃぎする。

「可愛い子出てきたー」

「わぁー！ 凄い魔法みたい！」

「魔法だね！」

　俺は三人の幼女を馬から下して、奴隷商人の幼女に引き合わせる。

「Ａちゃん、Ｂちゃん、Ｃちゃん。この娘はＤちゃんだよ。仲良くしてあげてね」

「「「はーい！」」」

　幼女たちの明るい声が響く。名前が適当なのは感情移入してしまうのを避けるためだ。なんたって本当は山賊と奴隷商人だからな。

　楽しそうにはしゃぐ幼女たちを置いておいて、俺は馬車の荷台に掛けられた布をはずしに掛かった。

　来た。

　来ましたよ。

　ついにメインヒロインとの邂逅の時が来た！

　ココロのマーカーによれば、檻の中にいるのはエルフと犬系の亜人と人間だった。

　俺の推測では犬系亜人少女が最有力候補。次点が金髪ツンデレエルフで、最後に人間の美少女だな。

　中から声は聞こえてこない。おそらく息をひそめているのだろう。

　手足を拘束されている状態で異常事態が発生しているときに出来ることといったら、なんとか気配を抑えることくらいしかない。

　早く解放して彼女たちを安心させてあげよう。

　俺は布を括り付けているロープを全てはずし、いっきに布を引き剥がす。

　バサッ

　檻の中が見えるようになると同時に、ココロ・・・による情報マーカーが表示される。

▼ 剣士（♂） Lv35
▼ 犬系亜人（♂）  Lv10
▼ 人間 （♂）Lv29

「よくも俺を騙したなぁぁぁぁぁあ！」

　俺が絶叫すると、檻の中の三人と幼女たちが一斉にビクッっとした。



　～ 三人の解放後 ～

「なんかすまんな。だがとにかく助かった」

「解放してもらえて助かったよ。ありがとう」

「兄ちゃんありがとな！」

　一気にモチベーションがマイナスに振り切った俺は、とぼとぼと奴隷商人の荷物の中から鍵を探し、のたのたと檻を開いて彼らを解放した。

　いや、この世界のルールはまだ知らないけれど、少なくとも今の俺は奴隷制度なんて反対だよ。彼らを見捨てるなんて嫌だし、解放できて良かったと思ってるよ。

　良かったよ。良かった。良かったんだけども！

「皆さんよかったですね。じゃっ、そういうことで」

　俺は彼らに軽く手を振り、幼女たちのところへ戻ろうとした。

「ちょ、ちょっと待て！ 待ってくれ！」

　鎧のような筋肉マッスルで上半身をむき出しにした男が俺を引き留めた。無精ひげが似合うハリウッド俳優っぽくてカッコいい。ケッ。

「助けて貰って申し訳ないが、もう少し手を貸してくれないだろうか」

　エルフの青年が、奴隷商人の荷物を探って巻物を三つ取り出した。こっちは細身で動きが何かと優雅なイケメン。ラブロマンス映画の主人公系だな。ケッ。

　エルフの癖に黒髪じゃねーか。ケッ。

　俺は自分の心がやさぐれていくのをどうしても抑えることができなかった。

「兄ちゃん、大丈夫か？ どっか具合でも悪いのか？」

　銀髪の犬耳亜人少年が俺の顔を心配そうに覗き込む。

　むっ。

　カワイイな。カワイイけど……

　俺の心が犬耳少年なら許容できそうかなとギリギリのラインで葛藤していた。

　しかし、本来出会うはずだった犬耳少女の幻影が脳裏をよぎり、俺は彼にもギルティを突き付ける。

　俺とキャラが被ってんだよ！ ショタ被りしてんだよ！ ケッ！

「坊主には面倒な話だとは思うが、次の街で奴隷解放の手続きをして欲しいんだ。頼む。この恩は必ず返す」

　筋肉マッチョのおっさんが腰を折って頭を下げる。

　うっ、これは一切の恥をかなぐり捨てた本気の頭下げだ。そこに前世の俺の姿が一瞬重なって見える。

　面倒くさいけどこれは断れそうにない。

「この奴隷証文を奴隷商会に持って行って契約の解除をする必要があるんだけど、それは奴隷にはできないんだよ」

　甘いマスクのエルフがそう言ってニコッと微笑んだ。ケッ。

　どうせお前はそのイケメン効果で回りから自然に好意的な行為を引き出してきたんだろう。そして俺も同じようにすると確信しているんだろ。ケッ。

　おっさんを見習え！ あれが人にものを頼むときの態度なんだよ！

　俺の中でおっさんの好感度が上昇した。

「頼むよ兄ちゃん！ オレだってちゃんと恩は返すからさ！ オレはどうしても姉ちゃんを探さなきゃならないんだ！」

　んっ？ 犬耳少年、いま「姉ちゃん」といったか？

　俺は立ち止まって振り向き、エルフから３つの証文を受け取る。

「あい分かった。すべて任せるがよい」

「ホント！？ 兄ちゃん！ ありがとう！」

「助かる。ぼくたちを連れてそれを奴隷商会の窓口に持っていくだけでいい」

「ありがとうな坊主。恩に着る」

「それで……」エルフ男が幼女たちの方に目を向ける。

「彼女たちは……」

　俺はＡちゃん～Ｄちゃんを手招きで呼び、ひとり一人を馬車の檻の中に乗せていく。

「みんなー、お昼寝の時間だよー」

「「「「はーーーい！」」」」

　困惑して頭上に？が浮かんでいるおっさんとエルフに手伝ってもらって、俺は檻に再び布を被せる。

「みんな寒くない？ ちゃんと静かにおねんねするんだよ」

「「「「はーーーい」」」」

　俺は幼女ひとり一人の頭をなでなでして「イェスロリータ」と呟く。

【幼女化】が解ける時間を合わせとかないと、山賊に幼女趣味のやつがいたら、奴隷商人の身に悲惨な事態が発生しかねないからな。

　いやもう悲惨な事態にはなってるだろうけど。

「よっし！」
　
　檻の入り口を布で覆い隠し終えた俺は、自分の馬を引いてスタスタと道を歩き始めた。

「お、おい！？」

「この子たちを置いて行くのか？」

「兄ちゃん、俺が手綱を引いてくよ！」

　俺は犬耳少年に手綱を渡し、顎をクィッと引いて三人に付いてくるように合図する。

「あの子たちはここに置いて行きます！」

　俺がきっぱりと断言すると三人の目が驚愕で見開き、次の瞬間にはジト目へと変わっていった。

　おいおい、そんな鬼畜生を見るような目を向けないでくれよ。



φ(・ω・ )φ(・ω・ )φ(・ω・ )
【シンイチノート】
・いよいよヒロインとの出会いが……と思っていた時期が俺にもありました。
・ココロチンに騙された。
・初エルフが男で黒髪とか……金髪美少女エルフが来るところだろ！
・幼女（山賊）と幼女（奴隷）はここで置いてきます。