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第15話 幼女(コボルト)たち
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クエストが終わった俺たちは荷台に幼女たちを満載してバーグの街への帰途についた。人つすれ違うのをなるべく避けるために遠回りになるが旧街道を進むことにした。
幼女たちの世話係が俺の担当で、他の三人が交代で御者を務めることになった。幼女とはいえ15人の大所帯、帰路の速度は非常にゆっくりしたものとなる。
こまめに何度も休憩をして幼女たちのご機嫌を取り、狩りや採集をしては食料を確保し、休憩して幼女たちのご機嫌を取り、お昼寝させたり、一緒に遊んだり、水場に連れて行って水を飲ませたり、身体を洗ったり、そして幼女たちのご機嫌を取り、そして幼女たちのご機嫌を取り――
「うあぁぁあぁぁ」
俺が空に向かって絶叫すると、御者台のマーカスと馬車の横を歩いている他の二人が「またか……」という視線を向けてきた。
基本的に大人二人は戦闘が発生したときの最大戦力なので御者と狩り以外はしない。ヴィルはちょっとだけ手伝ってくたけれど焼け石に水。幼女の世話の全ては俺に託されているのだ。
「だって、まぁ……全部お前のスキルレベルを上げるためなんだからなぁ」
「そうだけど、そうだけどぉぉ!」
「「「「「うーっ!」」」」」
俺の絶叫を聞いて幼女たちが一斉にうなり声を上げ始めた。
「あっ、ごめんごめん、なんでもないからね? ねっ?」
俺は荷台に昇って幼女たちの頭をなでなでする。なでなでと言っても15人分のなでなではかなり腕にくる。
「じゃ、そろそろ休憩にすっか。坊主、俺とヴィルでガキ共は見てやっから、お前は休憩がてらネフューと採集に行ってこい。それでいいかネフュー」
ネフューは頷いて俺に籠を寄越し、自らも籠を背負った。
採集ってそれ休憩になってないじゃん! なんて数日前の俺だったら文句を言っていたところだが、今はとにかく幼女から解放されるのがありがたかった。泣けるほど。俺は幼女たちに手を振って早速出発する。
「じゃ、お兄ちゃんたちご馳走取ってくるからみんな大人しく待ってるんだよー」
「「「「「うーっ!!」」」」」
幼女たちが嬉しそうにうなり声を上げた。元がコボルトだからなのか、幼女たちは言葉を話さなかった。でも声と表情で言いたいことはだいたいわかるので、特に問題ない。
「それじゃ行こうかシンイチ」
「お-!」
俺はご機嫌な足取りでネフューの後に付いていった。
~ ココロから通信 ~
(ぴろろん! レベルアップしました。各ステータス値が向上しました。【幼女化】レベル4。幼女化の持続時間が10日になります。魔力デポジットが17%。リキャストタイムが30分になりました。【幼女化】の持続時間を指定することができるようになりました)
「 レベルアップした!」
「おお、やったな!」
「ふぅ……良かったですね」
「兄ちゃん、おめでとー!」
夕食前に【幼女化】をしている途中でレベルアップ。みんなが心底ホッとしているのが言わずとも伝わってきた。正直、みんな同じことを思っているはずだ。
「幼女はもうこりごりだ」と。
(【幼女化】の時間が指定って最短でどれくらいなの?)
(1秒から可能ですがお勧めはしません。10分より短い場合、対象に身体的・精神的ダメージが発生します)
(もし1秒だとどうなるの?)
(個体によって異なりますが、一般的に人間種の場合は瀕死の状態ですね)
(お、おう……10分が基本ね)
「……坊主、おい起きてるか?」
マーカスの声でココロチンとの対話を中断する。
「うん、何?」
「で、こいつらどうすんだ?」
【幼女化】が解除されたコボルトが3匹。マーカスとネフューに挟まれて立っていた。いずれも怯えて身体が震えている。
「うーん。そうだな。とりあえず幼女化(意識継続&効果3時間)!」
幼女になったコボルトたちは自分自身に起こった変化について戸惑っていた。幼女たちが震える身体を寄せ合って、怯えた視線を俺の方に向ける。
なんだろう? この悪い奴隷商人が幼女を品定めしているように見える構図。俺はなぜか自分が悪役っぽくなっている理不尽さに打ちのめされそうになるのをなんとかこらえる。
「言葉わかる? んー、やっぱわかんないかぁ」
幼女になってもうなり声しか発しなかったことから期待はしていなかった。ココロチンも、幼女化後の言語能力は元の対象の能力によるということだった。
ところが幼女(コボルト)たちは首を縦に振ったのだ。
「言葉わかるの?」
「ココ、ロコ、ニンゲン、ニンゲン」
幼女(コボルト)が一斉に首をキョロキョロとして周囲を見回す。恐らくココとロロと呼ばれているコボルトを探しているのだろう。恐らくその二匹ならもう少しコミュニケーションがとれるに違いない。
俺は幼女(コボルト)に食事を与えた後、他の幼女たちを荷馬車から下して、代わりに幼女(コボルト)を乗せる。そして【幼女化】が解除されたコボルトを順次、再【幼女化】しながらココとロコを探した。
そうしているうちに、一番背の高い幼女がコボルトに戻った。それはヴィルから酒瓶を受け取った身体の大きなコボルトだった。
「おれ、ロコ、にんげんのことば、わかる、すこし」
幼女たちの世話係が俺の担当で、他の三人が交代で御者を務めることになった。幼女とはいえ15人の大所帯、帰路の速度は非常にゆっくりしたものとなる。
こまめに何度も休憩をして幼女たちのご機嫌を取り、狩りや採集をしては食料を確保し、休憩して幼女たちのご機嫌を取り、お昼寝させたり、一緒に遊んだり、水場に連れて行って水を飲ませたり、身体を洗ったり、そして幼女たちのご機嫌を取り、そして幼女たちのご機嫌を取り――
「うあぁぁあぁぁ」
俺が空に向かって絶叫すると、御者台のマーカスと馬車の横を歩いている他の二人が「またか……」という視線を向けてきた。
基本的に大人二人は戦闘が発生したときの最大戦力なので御者と狩り以外はしない。ヴィルはちょっとだけ手伝ってくたけれど焼け石に水。幼女の世話の全ては俺に託されているのだ。
「だって、まぁ……全部お前のスキルレベルを上げるためなんだからなぁ」
「そうだけど、そうだけどぉぉ!」
「「「「「うーっ!」」」」」
俺の絶叫を聞いて幼女たちが一斉にうなり声を上げ始めた。
「あっ、ごめんごめん、なんでもないからね? ねっ?」
俺は荷台に昇って幼女たちの頭をなでなでする。なでなでと言っても15人分のなでなではかなり腕にくる。
「じゃ、そろそろ休憩にすっか。坊主、俺とヴィルでガキ共は見てやっから、お前は休憩がてらネフューと採集に行ってこい。それでいいかネフュー」
ネフューは頷いて俺に籠を寄越し、自らも籠を背負った。
採集ってそれ休憩になってないじゃん! なんて数日前の俺だったら文句を言っていたところだが、今はとにかく幼女から解放されるのがありがたかった。泣けるほど。俺は幼女たちに手を振って早速出発する。
「じゃ、お兄ちゃんたちご馳走取ってくるからみんな大人しく待ってるんだよー」
「「「「「うーっ!!」」」」」
幼女たちが嬉しそうにうなり声を上げた。元がコボルトだからなのか、幼女たちは言葉を話さなかった。でも声と表情で言いたいことはだいたいわかるので、特に問題ない。
「それじゃ行こうかシンイチ」
「お-!」
俺はご機嫌な足取りでネフューの後に付いていった。
~ ココロから通信 ~
(ぴろろん! レベルアップしました。各ステータス値が向上しました。【幼女化】レベル4。幼女化の持続時間が10日になります。魔力デポジットが17%。リキャストタイムが30分になりました。【幼女化】の持続時間を指定することができるようになりました)
「 レベルアップした!」
「おお、やったな!」
「ふぅ……良かったですね」
「兄ちゃん、おめでとー!」
夕食前に【幼女化】をしている途中でレベルアップ。みんなが心底ホッとしているのが言わずとも伝わってきた。正直、みんな同じことを思っているはずだ。
「幼女はもうこりごりだ」と。
(【幼女化】の時間が指定って最短でどれくらいなの?)
(1秒から可能ですがお勧めはしません。10分より短い場合、対象に身体的・精神的ダメージが発生します)
(もし1秒だとどうなるの?)
(個体によって異なりますが、一般的に人間種の場合は瀕死の状態ですね)
(お、おう……10分が基本ね)
「……坊主、おい起きてるか?」
マーカスの声でココロチンとの対話を中断する。
「うん、何?」
「で、こいつらどうすんだ?」
【幼女化】が解除されたコボルトが3匹。マーカスとネフューに挟まれて立っていた。いずれも怯えて身体が震えている。
「うーん。そうだな。とりあえず幼女化(意識継続&効果3時間)!」
幼女になったコボルトたちは自分自身に起こった変化について戸惑っていた。幼女たちが震える身体を寄せ合って、怯えた視線を俺の方に向ける。
なんだろう? この悪い奴隷商人が幼女を品定めしているように見える構図。俺はなぜか自分が悪役っぽくなっている理不尽さに打ちのめされそうになるのをなんとかこらえる。
「言葉わかる? んー、やっぱわかんないかぁ」
幼女になってもうなり声しか発しなかったことから期待はしていなかった。ココロチンも、幼女化後の言語能力は元の対象の能力によるということだった。
ところが幼女(コボルト)たちは首を縦に振ったのだ。
「言葉わかるの?」
「ココ、ロコ、ニンゲン、ニンゲン」
幼女(コボルト)が一斉に首をキョロキョロとして周囲を見回す。恐らくココとロロと呼ばれているコボルトを探しているのだろう。恐らくその二匹ならもう少しコミュニケーションがとれるに違いない。
俺は幼女(コボルト)に食事を与えた後、他の幼女たちを荷馬車から下して、代わりに幼女(コボルト)を乗せる。そして【幼女化】が解除されたコボルトを順次、再【幼女化】しながらココとロコを探した。
そうしているうちに、一番背の高い幼女がコボルトに戻った。それはヴィルから酒瓶を受け取った身体の大きなコボルトだった。
「おれ、ロコ、にんげんのことば、わかる、すこし」
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