異世界転生ハーレムプラン ~ 最強のスキルが【幼女化】ってマジですか?~

帝国妖異対策局

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第22話 ゴブリン洞窟の戦い2

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 ネフューが入り口に先行して周囲の状況を確認する。すぐに彼が手招きしたので、近づいてみると、その足元にはゴブリンの死体が2つあった。

「片方は剣で正面から斬られている。もう一方は喉を切られて、うつ伏せに倒れていた。恐らく背後から襲ったんだろう」

 ネフューが死体を洞窟の中から見えないように移動させながら言った。

「剣の使い手とアサシン……若しくは盗賊かぁ。俺は心当たりがあるなぁ」
 
 マーカスがもう一体の死体を移動させる。

「昨日のハレパってことか?」

 俺は昨夜のいけ好かない剣士と女たちを思い出して言った。

「兄ちゃん、ハレパって何だ?」
「ハーレムパーティの略だよ」
「ハーレムパーティって何だ?」
「俺が一番欲しかったもんだよ、畜生!」
「シンイチが思っているほど良いものではないと思うよ。少なくともぼくは苦労した経験しかないね」
「なんだと! エルフ男! お前ハレパしたことがあったのかよ! うらやましいな畜生!」
 
 俺がネフューを生涯の敵として認定しようとしたとき、ネフューが人差し指を口に当ててみんなに視線を送る。

「シッ!」
 
 ネフューのハンドサインで、マーカスとヴィルとロコ、そして俺とネフューに分かれて、洞窟の中から見えないよう、入り口の左右に身を隠した。

「シンイチ、索敵を頼む」
「緑がこっちに近づいてきてる。その後ろから赤が3つ追いかけてる」
「わかった。そのまま索敵を続けてくれ」

「来たよ!」

 最初に足音を聞いたのはヴィルだった。みんなが一斉に武器を構えたので、俺も短槍を両手で握り締める。

 バッ!

 最初に洞窟から飛び出してきたのは昨日の女盗賊だった。彼女は洞窟の脇にいる俺たちに一瞬視線を向けたものの、そのまま走り抜けていった。

 彼女を追いかけていたゴブリンたちも洞窟から出てくる。一匹、二匹、三……、

 三匹目のゴブリンの身体は洞窟から出ることなく倒れ、マーカスの剣で切り離された首だけが洞窟の外に転ぶ。
 
 二匹目のゴブリンはロコの槍を腹に受けた後、ヴィルの短剣を頭部に受けて絶命した。

 一匹目のゴブリンは、背後に異常を感じて振り向いたところをネフューの矢を眉間に受けた。

 俺たちは急いでゴブリンの死体を移動させる。

 女盗賊は一瞬振り返って、俺たちがゴブリンを始末したことを見たが、そのまま森の中へと消えていった。

 ネフューが森で待ち伏せしているコボルトに「なにもするな」とハンドサインを送る。

「また赤が5つ。さっきよりはゆっくりと移動、だいたい18mくらい……15、12、」
「わかった。坊主、ひとりすっ転ばせっから【幼女化】を頼む」
「了解。10m……来るよ」

 二匹のゴブリンが洞窟から出たところで三匹目が俺たちの存在に気が付く。次の瞬間にはマーカスの剣が一匹目の首を落とし、そのまま腰を屈めて三匹目にタックルしてゴブリンと一緒に俺の方に倒れ込んできた。

「【幼女化】!」
 
 三匹目のゴブリンを幼女化する。二匹目のゴブリンはヴィルとロコがさっきと同じコンビネーションで殺害した。四匹目と五匹目のゴブリンはそれぞれ洞窟の外と中へ別方向に逃げ出す。

 ネフューの矢が洞窟の中のゴブリンの胸を射抜き、振り返りざま洞窟の外のゴブリンの頭部を射抜いた。

 それを見て俺がホっとした瞬間、ココロチンの声が頭の中に聞こえてきた。

(ぴろろん! レベルアップしました。各ステータス値が向上しました。【幼女化】レベル5。幼女化の持続時間が30日になります。魔力デポジットが15%。リキャストタイムが20分になりました。【幼女化ビーム(5m)】が使用できるようになりました) 

 俺はレベルアップしたことをみんなに伝える。

「これで距離が短くても遠距離攻撃ができるようになったわけか。こうなってくるともう残念スキルとは言えねぇな」

 マーカス、やっぱり残念スキルだと思ってたんだな。口にもしてたけどさ。

「正直、シンイチの索敵があれば、ここで待ち伏せて出てくるゴブリンを逐次倒していけば殲滅はできると思う。ただ……」
「そういうわけにもいかねえよな。恐らくまだ生きてる捕虜がいるからよ」

 俺は頷いて。先に洞窟へ入っていった二人の後を追う。俺の後ろをロコとマーカスが続く。

「右方向15m、赤3つ。移動はしていない」
「ちょっとここで待ってろ……」

 マーカスとネフューがランタンを置いて、暗闇へと姿を消す。

「クリアだ」

「正面から赤2つ。こっちに向かってる」
「ランタンの灯りを隠せ」
「15m、10m、来る……」

 音もなく二匹のゴブリンが死体となる。

 そのまま洞窟を進むと奥に頑丈そうな木製の扉があるのが見えた。その前に二匹の歩哨が立っている。

「あれが最奥部ってことだよなぁ」

 俺は索敵マップに表示されている点の数に圧倒されていた。

「赤と緑が入り混じってる。赤は……えっと……8つ。緑が……6だ」
「6……」

 ネフューが下唇を噛む。

「一度に8匹か。坊主、お前の【幼女化】が頼りだ。入口の二匹をネフューとマーカスが倒す。扉を開いたらゴブリン共に【幼女化】を全て叩き込め」

 俺は頷く。

「いいか、間違いなく扉の向こうは地獄絵図に違いねぇ。絶対に気を失ったりするんじゃねぇぞ。ゴブリン以外は見るな、意識するな、考えるな。それは【幼女化】をゴブリン共に叩き込んだ後にしろ。ゴブリンだけを見るんだ」
 
 マーカスが俺の肩を押さえながら言った。

 俺はゆっくりと頷いた。

「ゴブリンだけを見て【幼女化】する」
「よし、それじゃ行くぞ。3……2……1……」

 マーカスとネフューが扉に向かって飛び出して行く――

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