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第38話 再会
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どうしてこうなった……。
俺は目の前で土下座している男を見て、心中穏やかざる状況にあった。この男さえ現れなければ、俺は今ごろ期待に胸を膨らませながらわくわくどきどきDTドロップツアーの途上にあったはすなのだ。
その点だけで見れば、今すぐこの男を幼女にして今すぐ出発すればいいはずだった。だがそういうわけにもいかない。
俺の後ろで男を見つめるマーカスやネフュー、ヴィルとロコも、どうしたらいいものかと戸惑っているのが伝わってくる。
男は俺たちが彼の命を救ったことに感謝を告げるためにここに来たと言った。男は、自分が俺たちに対して数々の無礼を働いてしまったことを悔いていることを告げ、額を地面に打ち付ける。
血が地面に落ちると、男と一緒にここへ来た女の子がその身体を引き起こして止めさせる。以前は綺麗だった男の顔には大きな刀傷があった。以前はイケメンという意味でも敵視していたその顔が、今は血と涙と泥に汚れていた。
「わ、分かったよ。俺もみんなも謝罪は十分に受け取った。なっ?」
俺が他の仲間に目を向けると全員が頷く。
「ほら、みんなも謝罪を受け取った。もうこれでチャラだ。だからもう頭を地面にぶつけるのは止めて立ってくれ」
女の子の手を借りて男が立ち上がる。男の許された安堵感と不安が混じった目で俺を見た後、頭を下げた。
「シンイチ殿、どうかわたしとライラがこの村に住むことを許してはいただけないだろうか?」
「シンイチ様、どうかステファンとわたしをこの村に置いてください!」
「いいですよ」
ライラが身体を折り曲げるように頭を一杯に下げる。
「置いてくれるのでしたら、何だって致します」
「わたしもだ。今は片腕しかないが、何だってする…します!」
「だからいいですよ」
「も、もしシンイチ様が望むのであれば、お、お望みいただけるのであれば、わ、わたしの身体を好きにしていただいて構いません!」
「ライラ!」
「ステファン! これはわたしの覚悟です!」
「だからいいですよって……今なんと?」
「おい、あんちゃん。坊主はここに住んでいいって言ってるんだよ」
いつまでも終わりそうにない茶番にマーカスが割って入ってきた。ちょ、今もうちょっと詳しく聞きたい点があったんだけど……。
俺としてはライラさんが何を覚悟したのか聞き直したいところだった。しかし、互いに身を寄せ合って泣き崩れている二人の間に割って入ることはできなかった。
取り敢えずDT卒業娼館ツアーは延期となった。
まぁ、二人の姿を見たときからそんなことになるんだろうなと分かってた。どうせあれでしょ、また俺の周りで俺以外のイチャラブオブジェクトが増えるだけなんでしょ。
憤懣たらたらではあったけれど、その後に二人を受け入れるための準備で忙しくなったので、俺の爆発寸前だったリビドーはいつの間にか消えていた。
~ 洞窟前広場 ~
天気が良いときの夕食は、洞窟前広場でみんな集まって食事を取る。
天の岩戸事件以降、俺の目の前でマーカスたちがいちゃいちゃすることはなくなった。だがその気遣いが息苦しい。それに――
「(女)マーカス(女)、(女)ネフュー、(女)ヴィル(女)、ロコ、(女)ステファン……畜生、うらやましいなブツブツ」
ロコだけは俺に正しく気を遣えているが、その他の連中は相変わらずクソだ。失礼、ンコ野郎たちでした。
ロコはDT同盟には所属していないが許す。まぁステファンも仕方ない。何せ片手だからライラの手が必要になることがある。それ以外は死ねっ!
視線で人を殺せていたら、俺は彼らをもう百回は殺しているだろう。しかも食事を終えた後、DT同盟の敵たちは洞窟や森の暗闇へと消えていきやがったよ。
俺? 俺は子コボルトたちの食事で汚れた口を拭って、寝かしつけてましたけど?
食事も終わってみんなが解散した後、俺はひとり広場に戻って酒を飲んでいた。
夜空に浮かぶ月を相手に、俺はグラスのカップ酒をグビッと煽るようにして飲む。毎日飲み続けてきたおかげで、最近はお酒の味も楽しめるようになってきた。
「ケッ、どいつもこいつも毎日発情しやがってバカヤロウ。どうせ俺は今世でもDTのまま死ぬんだろ。知ってるよ。ケッ、女なんてどうせ二次元でしか出会えねーんだろ! ハッ、そうだ二次元、二次元なら何とかできそうじゃね? 佐藤さんにお願いすれば、なんとか同人誌とかいけんじゃね? もう二次元嫁でいいんじゃね?」
「二次元ってなんですか?」
「うひぃぃっ!」
突然背後から声を掛けられた俺は、びっくりして手に持っていた裂きスルメイカを鼻深く差してしまった。
「うぐぅぅ!」
「す、すみません。後ろから声を掛けてしまって! シンイチ様、大丈夫ですか!?」
「シンイチ殿、大丈夫ですか!?」
「だ、大丈夫、大丈夫、ちょっとビックリしただけだから」
「よ、よかった」
「二人してどうしたの? デート?」
なら、俺のことは放っておいてさっさと消えてくれ……と思ったけど、それは頑張って呑み込んで、俺は二人にニッコリと笑顔を投げかけた。
「実はシンイチ殿に相談したいことがありまして……」
「いいよ」
俺はステファンとライラを座らせて、二人にもカップ酒を渡した。これで結婚報告だったら蹴る!……と思ったけど、それは呑み込んで俺は二人の話を聞くことにした。
俺は目の前で土下座している男を見て、心中穏やかざる状況にあった。この男さえ現れなければ、俺は今ごろ期待に胸を膨らませながらわくわくどきどきDTドロップツアーの途上にあったはすなのだ。
その点だけで見れば、今すぐこの男を幼女にして今すぐ出発すればいいはずだった。だがそういうわけにもいかない。
俺の後ろで男を見つめるマーカスやネフュー、ヴィルとロコも、どうしたらいいものかと戸惑っているのが伝わってくる。
男は俺たちが彼の命を救ったことに感謝を告げるためにここに来たと言った。男は、自分が俺たちに対して数々の無礼を働いてしまったことを悔いていることを告げ、額を地面に打ち付ける。
血が地面に落ちると、男と一緒にここへ来た女の子がその身体を引き起こして止めさせる。以前は綺麗だった男の顔には大きな刀傷があった。以前はイケメンという意味でも敵視していたその顔が、今は血と涙と泥に汚れていた。
「わ、分かったよ。俺もみんなも謝罪は十分に受け取った。なっ?」
俺が他の仲間に目を向けると全員が頷く。
「ほら、みんなも謝罪を受け取った。もうこれでチャラだ。だからもう頭を地面にぶつけるのは止めて立ってくれ」
女の子の手を借りて男が立ち上がる。男の許された安堵感と不安が混じった目で俺を見た後、頭を下げた。
「シンイチ殿、どうかわたしとライラがこの村に住むことを許してはいただけないだろうか?」
「シンイチ様、どうかステファンとわたしをこの村に置いてください!」
「いいですよ」
ライラが身体を折り曲げるように頭を一杯に下げる。
「置いてくれるのでしたら、何だって致します」
「わたしもだ。今は片腕しかないが、何だってする…します!」
「だからいいですよ」
「も、もしシンイチ様が望むのであれば、お、お望みいただけるのであれば、わ、わたしの身体を好きにしていただいて構いません!」
「ライラ!」
「ステファン! これはわたしの覚悟です!」
「だからいいですよって……今なんと?」
「おい、あんちゃん。坊主はここに住んでいいって言ってるんだよ」
いつまでも終わりそうにない茶番にマーカスが割って入ってきた。ちょ、今もうちょっと詳しく聞きたい点があったんだけど……。
俺としてはライラさんが何を覚悟したのか聞き直したいところだった。しかし、互いに身を寄せ合って泣き崩れている二人の間に割って入ることはできなかった。
取り敢えずDT卒業娼館ツアーは延期となった。
まぁ、二人の姿を見たときからそんなことになるんだろうなと分かってた。どうせあれでしょ、また俺の周りで俺以外のイチャラブオブジェクトが増えるだけなんでしょ。
憤懣たらたらではあったけれど、その後に二人を受け入れるための準備で忙しくなったので、俺の爆発寸前だったリビドーはいつの間にか消えていた。
~ 洞窟前広場 ~
天気が良いときの夕食は、洞窟前広場でみんな集まって食事を取る。
天の岩戸事件以降、俺の目の前でマーカスたちがいちゃいちゃすることはなくなった。だがその気遣いが息苦しい。それに――
「(女)マーカス(女)、(女)ネフュー、(女)ヴィル(女)、ロコ、(女)ステファン……畜生、うらやましいなブツブツ」
ロコだけは俺に正しく気を遣えているが、その他の連中は相変わらずクソだ。失礼、ンコ野郎たちでした。
ロコはDT同盟には所属していないが許す。まぁステファンも仕方ない。何せ片手だからライラの手が必要になることがある。それ以外は死ねっ!
視線で人を殺せていたら、俺は彼らをもう百回は殺しているだろう。しかも食事を終えた後、DT同盟の敵たちは洞窟や森の暗闇へと消えていきやがったよ。
俺? 俺は子コボルトたちの食事で汚れた口を拭って、寝かしつけてましたけど?
食事も終わってみんなが解散した後、俺はひとり広場に戻って酒を飲んでいた。
夜空に浮かぶ月を相手に、俺はグラスのカップ酒をグビッと煽るようにして飲む。毎日飲み続けてきたおかげで、最近はお酒の味も楽しめるようになってきた。
「ケッ、どいつもこいつも毎日発情しやがってバカヤロウ。どうせ俺は今世でもDTのまま死ぬんだろ。知ってるよ。ケッ、女なんてどうせ二次元でしか出会えねーんだろ! ハッ、そうだ二次元、二次元なら何とかできそうじゃね? 佐藤さんにお願いすれば、なんとか同人誌とかいけんじゃね? もう二次元嫁でいいんじゃね?」
「二次元ってなんですか?」
「うひぃぃっ!」
突然背後から声を掛けられた俺は、びっくりして手に持っていた裂きスルメイカを鼻深く差してしまった。
「うぐぅぅ!」
「す、すみません。後ろから声を掛けてしまって! シンイチ様、大丈夫ですか!?」
「シンイチ殿、大丈夫ですか!?」
「だ、大丈夫、大丈夫、ちょっとビックリしただけだから」
「よ、よかった」
「二人してどうしたの? デート?」
なら、俺のことは放っておいてさっさと消えてくれ……と思ったけど、それは頑張って呑み込んで、俺は二人にニッコリと笑顔を投げかけた。
「実はシンイチ殿に相談したいことがありまして……」
「いいよ」
俺はステファンとライラを座らせて、二人にもカップ酒を渡した。これで結婚報告だったら蹴る!……と思ったけど、それは呑み込んで俺は二人の話を聞くことにした。
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