異世界転生ハーレムプラン ~ 最強のスキルが【幼女化】ってマジですか?~

帝国妖異対策局

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第54話 鏡と櫛

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 荷馬車がコボルト村に到着したのは夜中だった。とりあえず荷物を下すのは明日にして、その日はすぐに眠ることになった。

 奥部屋に戻ると、俺の四畳半には二人の幼女がタオルケットに身を包んでスースー寝息を立てていた。元グレイベアと元ドラゴンの幼女だ。

 俺は二人を起こさないようにそっと隅っこに身を横たえると、早速ココロチンを呼び出した。もちろんクレームを入れるためだ!

(ココロチン! 銀の君は、イリアさんじゃなくてイリアくんだったわけですか?)

(肯定)

(肯定じゃねーよ! 合致率89%じゃなかったのかよ! 合致してない11%の内訳はどーなってんのさ!)

(10%がバストサイズで、1%が性別ですね)

(性別なんでそんな少ないの! なんなら89%の方を性別に割り当てて欲しかったわ! 性別大事! 一番大事なんです!)

(エンジェル・キモオタとの会話ログには男の娘でも問題ないとおっしゃっていたようですが)

(いや、それは二次元の話だから。リアルの壁は50mくらいの高さがあるから)

(でも、嫌らしい手つきでイリアくんの手をしつこく触っていましたよね? 嫌らしい手つきで)

(うっ、そ、それは女の子の手だと思ってたから)

(女の子の手だと思ってたんですよね)

(んーとね。この会話の流れつく先に、ホモホモしい予感がしてちょっと嫌なんだけど)

(女の子の手だったんですよね)

(何で喰いついてくるの? わかった、この会話はもうやめよう。イリアさんはイリアくんだった。それだけ。今度あったときはもう普通に男友達でOK)

(男の娘とだって子どもが作れるんですよ?)

(いや作れねーから! えっ!? もしかして、この世界だとそうなの?)

(いえ今のは、前世の田中様の薄い蔵書の中からの引用です)

(おいぃぃぃ!)

(男の娘は男の子の気持ちいいとこ全部知ってるんだよ?)

(やめろぉぉ! 変な流れが加速して男の娘ハーレムとか展開しちゃったらどうすんだよぉぉ!)

(何か問題が?)

(問題ない。……いやある! あるから! やっぱわかった今自覚した。おれはおっぱいスキーだったわ! たわわな月曜日願望があったんだわ!)

(イリアくんを【巨乳化】すればいいのでは?)

(!?)

(なんでしたら【女体化】すれば問題ないのでは?)

(!?)

(ねっ?)

(……いや、やっぱり最初は普通がいいというか、DT捧げるなら相手にも膜とかあった方が……)

(膜とか言うな! 死ね! 変態!)

(いや、ここまでのココロチンの会話の方が酷いよ! 酷いよね!)

(セクハラ、ダメ、ゼッタイ)

(そのままそっくりお前が言うなだよ! なんで俺に男の娘なんか推してんだよ!)

(男の娘を差別するんですか?)

(わー出たー、出たよ差別! 何でも差別って言えば相手を黙らせられるって思うなよ!差別なんて言うなら、カネなし暇なし彼女なしで前世人生終了して、こっちで女の子に生理的に無理とか言われてる俺こそ主張する権利があるんだよ!)

(そうですね。心の底から同情いたします)

(……)

(どうしました? 反論しないのですか)

(……)

(田中様?)

(……グスッ)

(大丈夫ですか?)

(もう寝る)

 どうせこのままココロチンと話しても押し負ける気がしたので、というか心身ともに疲れ切っていたので、俺はもう寝ることにした。朝起きたら、何か全部いい感じに解決しているだろう。うん。もう寝よう。

 俺は悪夢を見た。ブリーフを大きく膨らませたイリアくんが「ほら、これどう思う? どう思う?」と言いながら俺の顔にもの凄く大きい何かを押し付けてくる夢だ。

 ハッ! 

 うなされて目が覚めると幼女(ドラゴン)の足が俺の顔の上に乗っていた。



 ~ プレゼント ~

 神スパネットスーパーで100円ショップが利用できるのはとてもありがたかった。100円ショップと言いながら300円と500円の商品も置いてある。

 俺は500円の壁掛け時計を全部の部屋分、同じく500円の腕時計を全員分、そしての置き鏡と手鏡とブラシ、そしてノンアルコールのウェットシートを購入した。
 
 通信機器がないので必要に応じて招集を掛けるということができない。個々に声を掛けている現状だと、会議で全員を集めるのに2~3時間掛かるなんてざらだった。なので時計を持たせて、時間を決めて行動が取れるようにしたのだ。

 とりあえずヴィルを実験台に時計の使い方を教えてみると、日時計と関連させて教えることで意外にすんなりと理解してくれた。

 鏡と櫛とウェットシートはライラ用だ。義眼の手入れに必要かなと思ったのだ。

「はい、ライラ。右目の手入れに使ってよ。手鏡は持ち運び用ね。治癒の魔石が手に入るまでは色々と手入れが大変だと思うけど、必ず手に入れるからそれまでは我慢してね」

「あ、ありがとうございます」

 ライラはうつ向いたまま俺と目を合わせることなく、お礼を言うとすぐに自分の部屋に戻ってしまった。

 正直、俺はライラが喜んで抱き着いてくるのでは……なんて、やっぱりどこかで期待していたので肩透かしを食らったような気がしていた。

 というか……。
 
 俺、ライラに避けられている?



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