異世界転生ハーレムプラン ~ 最強のスキルが【幼女化】ってマジですか?~

帝国妖異対策局

文字の大きさ
71 / 243

第71話 ドラゴンの婿

しおりを挟む
 幼女となったルカの下に向かっている眷属はコカトリアンだけではない。ルカに忠義を尽くしている眷属もまた同じくグレイベアの巣穴を目指していた。

「というわけでじゃ、シンイチよ。わらわの婿になれ!」

「どういうこと!?」

 俺の隣にいるライラも目を点にして俺とルカを見比べている。

「シ、シンイチ様とルカさまが……い、いいいつの間にそんな関係に!?」

「落ち着けライラ、俺はロリコンじゃない……わけではないかもしれないが、幼女をどうこうするような男ではない」

「そ、そうですよね」

 俺の言葉を受けたライラがほっと胸を撫でおろす。

「何を言う、シンイチはわらわの股座をまさぐろうとしたではないか?」

「シンイチ様!?」

「いやいや、そんなことするわけないだろ……って、あっ!?」

「シンイチさま~!?」

 ライラの声が裏返る。

「あっ、あれはルカが封筒を変なところに隠したとか言うから……ええいもう! ライラもいちいち動揺するな! 俺が幼女に手を出すわけないだろ!」

「でも、二次元は別腹とおっしゃってました……二次元というのがよくわかりませんが、それってルカ様は特別という意味だったのですね」

「ちがーーーう!」

 俺は話を戻すことにした。何しても別の地雷が誤爆してしまいそうだからだ。

「それでルカちゃん! どうしてそんなことを突然言い出したの? 変なこと言うからライラが錯乱しちゃったじゃないか」

「おっ、シンイチだけを揶揄うつもりがライラにまで被害が及んでしまったか。ライラよ、心配するに及ばんぞ。わらわとシンイチはあくまで神とミジンコの関係じゃ。わらわがミジンコに手を出すわけがなかろう」

「ひ、酷くない!?」

「それで話を戻すが、あくまでも名目としてわらわの婿として迎えてやるという話じゃ。人間の世界の結婚ではないから、ライラの地位を脅かすようなことはないぞ」

「ならどうして、わざわざそんなことを?」

「うむ。今後、グレイベアの巣穴に我が眷属が集って、その多くがその周辺に住むことになる。眷属たちの中には乱暴な奴もおるでの。コボルト村の連中にちょっかいを出すのもおるかもしれん」

「それは困るな」

「じゃろう? だがもしコボルト村の酋長がわらわの夫であるとなれば、彼らとてそうそう手は出せなくなるというわけじゃな、それに……」

「それに?」

「わらわの夫であれば、眷属たちはシンイチを守るし、その命にも従うじゃろう。どうじゃ、いいことばかりであろうが!」

「デメリットもあるんだよね」

「うむ。まぁ、逆にシンイチも眷属たちに保護を与える必要がある。しかしそれは、わらわとシンイチが支配するグレイベア巣穴周辺に住むことを許すということだけで十分なのじゃ」

「ふーむ」

「あとは、ライラの気持ちじゃな。ライラ、もう一度言うがわらわとシンイチの関係は名目だけのもので、お前の嫁としての立場を一切脅かすものではないぞ。そこはわらわを信じてもらうしかないのじゃが」

「わたしは構いませんよ。わたしはシンイチ様のお傍に居られるだけで満たされますから」

「ライラ……」

「……シンイチさま」

「……」

「……チュッ」

 ガッ! 

 ルカが俺たちの間に割って入る。

「……って、止めんか! 今はわらわの話じゃろが!」

「いいよ」

「ほへ?」

「ルカ様、シンイチ様はルカ様の婿になられるとおっしゃったのですよ」

「さすがライラ、俺のことを全部わかってるね。まぁ、俺もライラの身体のホクロの位置なら全部知ってるけどね!」

「シンイチ様ったら!」

「ライラ……」

「……シンイチさま」

「……」

「……チュッ」

 ガバッ!

「もう勝手にせい! では今日からシンイチはわらわの婿じゃからな! 全ての眷属に通達せねば!」

 ルカはずかずかと足音を立てながら奥部屋から出て行った。ルカは扉を閉めた後、扉に掛けられている木札を裏返した。木札には次のような文字が書かれていた。

「ただいま交尾中、開けるべからず」 

 3時間後。いろいろスッキリした俺は洞窟前広場にいるルカのところへ行った。

「婿になるって、何か契約魔法みたいなことは必要ないの?」

「まぁ、わらわがドラゴンのままだったらシンイチの身体に魔法紋を刻むところじゃったが、何せ今は幼女じゃからな。特に何もせん。ただ口頭で眷属たちに伝えるだけじゃ。『コボルト村の酋長シンイチ・タヌァカがドラゴンの婿である』とな」

「ドラゴンの婿か……カッコ良さと情けない感じが入り混じって、俺に妙なフィット感があるな」

「その通りじゃな。だがメリットが大きいのは間違いないぞ。魔物に取り囲まれたら『ドラゴンの婿』と名乗れば手を引いてくれることも多かろう」

「それは凄いな!」

「まぁ、逆にブチ切れて敵が容赦なくなることもあるがな」

「使えないな!」

「ははは、まぁどちらに転ぶかは運次第ということじゃ。だがこれは間違いなくメリットになるはずじゃ、風の精霊ウィンドルフィン顕現せよ!」

 俺の頭上に半透明のイルカのような形をした精霊が出現した。

「はじめまして、シンイチ様、わたくし御身をお守りする風の精霊、名をウィンドルフィンと申します。どうかウィンとお呼びください」

「あっ、どうも始めまして。わたくしコボルト村の酋長をさせていただいている、あっ、この度、こちらのドラゴンの婿を拝命したシンイチ・タヌァカと申します。よろしくお願いします」

 俺は思わず頭を45度傾けてウィンに挨拶する。可愛げな見た目と違ってウィンの声はイケメン中年声優のバリトンボイスだったので、思わず前世の取引先の社長さんを思い出してしまった。

「こやつは今までもお前を守っておったのじゃが姿は隠しておった。シンイチがわらわの婿となったからには、これからはシンイチにも姿を見せるし、話も出来るじゃろうて」

 俺はコカトリアンに襲われた際に、毒霧を散らした風のことを思い出した。

「あっ、もしかしてあのとき毒霧を払ってくれたのは……」

 ウィンが片目を閉じウィンクした。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~

シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。 前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。 その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。

異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。

Mです。
ファンタジー
異世界学園バトル。 現世で惨めなサラリーマンをしていた…… そんな会社からの帰り道、「転生屋」という見慣れない怪しげな店を見つける。 その転生屋で新たな世界で生きる為の能力を受け取る。 それを自由イメージして良いと言われた為、せめて、新しい世界では苦しまないようにと防御に突出した能力をイメージする。 目を覚ますと見知らぬ世界に居て……学生くらいの年齢に若返っていて…… 現実か夢かわからなくて……そんな世界で出会うヒロイン達に…… 特殊な能力が当然のように存在するその世界で…… 自分の存在も、手に入れた能力も……異世界に来たって俺の人生はそんなもん。 俺は俺の出来ること…… 彼女たちを守り……そして俺はその能力を駆使して彼女たちを英雄にする。 だけど、そんな彼女たちにとっては俺が英雄のようだ……。 ※※多少意識はしていますが、主人公最強で無双はなく、普通に苦戦します……流行ではないのは承知ですが、登場人物の個性を持たせるためそのキャラの物語(エピソード)や回想のような場面が多いです……後一応理由はありますが、主人公の年上に対する態度がなってません……、後、私(さくしゃ)の変な癖で「……」が凄く多いです。その変ご了承の上で楽しんで頂けると……Mです。の本望です(どうでもいいですよね…)※※ ※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※

処理中です...