異世界転生ハーレムプラン ~ 最強のスキルが【幼女化】ってマジですか?~

帝国妖異対策局

文字の大きさ
130 / 243

第130話 見え見えのサプライズ

しおりを挟む
 俺は王の間で玉座に座り、ルカやライラに向ってハイテンションで喋り続けていた。

 王都での出来事だけでなく、王の間を見た感想や、異世界転生において王の間がどれだけ重要な役割を果たすのかを、俺は延々と語り続けた。

 話を聞かされ続けていたルカの顔に疲れの縦線が入っているのに気付き、そこでようやく俺は話すのを止めた。

 その時になってようやく俺は、いつの間にか王の間に大勢の人々が集まっていることに気が付いた。

「ほへ!?」

 純白のドレスに身を包んだ女神を見て、固まったのとは異なる衝撃で、俺はフリーズしてしまった。

 王の間に集った人々は、整然と列を連なって並んでいる。

 そして――

 その全員が、俺に向って頭を下げていた。

 俺はといえば再びのフリーズ状態になっていた。思わず立ち上がろうとしたが、腰に力が入らず、玉座に座ったまま動けない。

「なに……これ?」

 そして――――――

 こして――――

 ついに――

 長い長い回想から現在に意識が戻って来た俺は、再び同じ言葉を呟いた。

「なに……これ?」

 どうしてこうなった!?



~ 見え見えのサプライズ ~

 口を開けたまま玉座で硬直している俺に向って、ルカが話しかけてきた。

「驚いたか? というか、今頃、驚きおったシンイチにわらわの方が驚かされたわけじゃが。まぁ良いわ。ここにいる皆は、お主を祝福するために集まってきたタヌァカ五村のものたちじゃ」

 ルカにそう言われて、俺は改めて目の前にいる人々を見回した。

 人数としては……ざっと見積もって三~四百人といったところか。皆が綺麗に整列しているので、それほど誤差はないはずだ。

 かなりの広さがある王の間だが、居並ぶ者の中には身体の大きな魔族や獣人もいるので、今では窮屈に見える。

 人数計算を終えたところで、俺はようやくルカの言葉が頭に入ってきた。

「俺を祝福するために? 集まった……えっ!? えっ!?」

「うむ。皆忙しい合間を縫ってきてくれたのじゃ、お前もしっかり気を入れて、皆の期待に応えるのじゃぞ」

「き、期待に応えるって……」

「おどおどせず、堂々としておれというだけのことじゃ。せっかく祝いに来たお前が、いつまでも動揺して、挨拶一つ返せんようでは、皆に申し訳ないじゃろうが」

 俺は全員の意識が俺に集中しているのを感じていた。

 緊張はしているものの、ルカのいう通りだとすれば、彼らは俺を祝福するために集まってくれたらしい。

 ふむ。

 ふむふむ。

 なるほどなるほど! なんだなんだ、そういうことか!

 さすがの俺でも、ここまでの状況になれば、現在進行中のサプライズの意味が分かったぜ!

 答えは簡単! 俺の隣に座っているウエディングドレスのライラ……

 女神のように美しいライラ! そしてルカが用意してくれた、綺麗な騎士装束を纏っている俺!

 そうだったよな、ライラ。今まで忘れててごめん!

 ここまであからさまで見え見えのサプライズだったのに、今の今まで気付かなかったなんて、ほんと俺って鈍感ちゃん!

 俺たちが初めて結ばれた翌日、俺とライラはカレンの取次で簡単な結婚式を挙げた。

 でも、そのときは俺がまだ成人してなかったから、なかったことになったんだよな。だから俺が成人したら、改めて結婚式をしようねってライラに約束したんだよな。

 言い訳がましいけど、その後、本当に色々色々色々あり過ぎて、とっくに成人年齢をクリアしたのにも関わらず、約束を果たすことができてなかった。

 ごめんよ、ライラ。そして――

「ありがとうルカちゃん。ためにこんな素敵なイベントを用意してくれたんだね」

「そうじゃぞシンイチ! ここにいる全員、その先に連なるものたち全員が、を祝福するために集まったのじゃ」

 俺は喉元から込み上げてくる感動を抑えきれず、思わず眼を閉じて上を向く。

 だが流れ出す涙は止めることはできなかった。

「そうじゃろうそうじゃろう。涙を流すほど嬉しいじゃろう。わらわとて同じ思いじゃぞ!」

「シンイチ様……」

 俺を見つめるルカとライラに俺は何度も頷いた。

 分かってる。俺たちは今、同じ思いを、同じ感動を共有してるんだよ。

 だがこうしていつまでも感動に浸っているわけにもいかない。

 皆がずっと俺たちが結婚式を挙げるのを待っているんだ。

 俺はビシッと腹を決めて、皆に御礼の挨拶をする覚悟を決める。

 両手の手のひらの汗を太ももに何度も擦り付けて拭った後、俺は、

「よっし! 覚悟完了!」

 一言つぶやいてから、ゃんに声を掛けた。

「よっし、ルカちゃん! 俺の方はいつでも準備オッケーだよ」

「ぬっ! そうか!」
 
 ルカが満面の笑みを浮かべる。

「では始めるとするかの。あぁ、いやいや、お主はまだ立ち上がらんで良い。式次第は決まっておる。お前の出番が来たら声を掛けるから、それまではそこで大人しく見ておれば良い」

 ルカが右手をスッと挙げると、いつの間にか玉座の近くに控えていたラッパ手が、

 パーパパパ、パーパパパ、パーパパッパッパー!

 パーパパパ、パーパパパ、パーパパッパッパー!

 と派手な音を鳴らし、その後にいつの間にかその玉座の両サイド壁際に控えた楽隊が、音楽を奏で始める。

 その場の全員が身体を起こし、全ての視線が俺に集まった。

 音楽は直ぐに終わり、それと同時に人々の列の先頭から大柄の男が、玉座の前の階段を昇ってきた。

 大柄の男はフワデラさんだった。

「これより式典を始める! 皆の者、静粛に!」

 最初から静粛だったので、フワデラさんの声は広間中に響き渡たった

 改めて整列している人々を見渡すと、知った顔があちこちに見える。

 ステファンやネフュー、シルフェン、シュモネーさんと小鉢、ココとコボルト村の面々、イリアくんとイリアナさん……

 おっ? ドワーフのタンドルフさんとお弟子さんたちまで来てくれたのか。

 魔族や獣人、亜人の中にも、今では見知った顔が沢山いた。

 俺とライラの結婚を祝うために、こんなに集まってくれるなんて。

 俺は熱くなる目頭を抑えた。

「これより式典を始める! 皆の者、静粛に!」

 再びフワデラさんが声を上げる。皆、さっきからずっと静かだったので、これはあくまで決まった手順ということなのだろう。

 隣に座っているルカが、スっと立ち上がった。

 それを見たフワデラさんがまた声を張り上げる。

「これより、天空の覇者にして、獄炎の狩人、あらゆる魔族の頂点に立つものにして、タヌァカ五村の守護者たる火竜、ルカ様による開会宣言が行なわれる! 一同、拝聴せよ!」

 長い! 長いよ! ルカちゃんの肩書!

 なんてツッコミをするような雰囲気ではなかったので、俺は真面目な顔をして事の成り行きを見守っていた。

 ルカが一歩前に出て、広間を睥睨する。小さな体でもドラゴンの威厳を纏ったルカは、まさに女王様そのもので、そこに居並ぶ全ての者を威圧していた。

 その様子を見て、俺は背筋を伸ばして玉座に座り直す。

 いよいよだ。ここから先は、気張っていくしかない。

 ヘラヘラして、ライラに恥をかかせるわけにはいかないからな!

 ルカちゃんがスゥっと息を吸うのがわかった。

 よし、バッチこい!

「これより! コボルト村の酋長にしてグレイべア村と地下帝国の主! ミチノエキ村の村長にして、西方のエルフの盟友! 賢者の眼を持つ乙女の伴侶にして、三千世界に並ぶものなき強大な火竜を妻に迎えし者! タヌァカ五村の護り手にして我らが主!」

 おいおい、それって誰だよ、スゲェ奴がいるもんだな。

「全ての幼女の王にして、幼女の作り手! やがては帝国となるタヌァカ五村を統べし者、シンイチ・タヌァカの皇帝就任式を始める!」

 ん?

 ん?

 はっ?

 はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?

 一瞬で頭が真っ白になった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

【薬師向けスキルで世界最強!】追放された闘神の息子は、戦闘能力マイナスのゴミスキル《植物王》を究極進化させて史上最強の英雄に成り上がる!

こはるんるん
ファンタジー
「アッシュ、お前には完全に失望した。もう俺の跡目を継ぐ資格は無い。追放だ!」  主人公アッシュは、世界最強の冒険者ギルド【神喰らう蛇】のギルドマスターの息子として活躍していた。しかし、筋力のステータスが80%も低下する外れスキル【植物王(ドルイドキング)】に覚醒したことから、理不尽にも父親から追放を宣言される。  しかし、アッシュは襲われていたエルフの王女を助けたことから、史上最強の武器【世界樹の剣】を手に入れる。この剣は天界にある世界樹から作られた武器であり、『植物を支配する神スキル』【植物王】を持つアッシュにしか使いこなすことができなかった。 「エルフの王女コレットは、掟により、こ、これよりアッシュ様のつ、つつつ、妻として、お仕えさせていただきます。どうかエルフ王となり、王家にアッシュ様の血を取り入れる栄誉をお与えください!」  さらにエルフの王女から結婚して欲しい、エルフ王になって欲しいと追いかけまわされ、エルフ王国の内乱を治めることになる。さらには神獣フェンリルから忠誠を誓われる。  そんな彼の前には、父親やかつての仲間が敵として立ちはだかる。(だが【神喰らう蛇】はやがてアッシュに敗れて、あえなく没落する)  かくして、後に闘神と呼ばれることになる少年の戦いが幕を開けた……!

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

処理中です...