異世界転生ハーレムプラン ~ 最強のスキルが【幼女化】ってマジですか?~

帝国妖異対策局

文字の大きさ
139 / 243

第139話 思い切りの土下座

しおりを挟む
 ドラゴン騒動を起こして王都から戻って以降、俺とライラは自主的にミチノエキ村への出入り厳禁とした。

 シャトランと俺とライラは、ドラゴンに食べられて死亡したことになっている。王国でも公的な記録にはそのように記されているはずだ。

 シャトランが死亡したとなっては、シャトラン・ヴァルキリー団の残存組が俺たちを狙ってくる可能性は非常に低い。そもそも、ライラ誘拐の件について知らされていたのは、シャトランに近しい極一部の団員や関係者しかおらず、おそらくその全員が今は完全な幼女になっている。

 市中の孤児院に引き取られていった元女性護衛騎士の連中については、三年後に幼女化が解ける。だが、その時には、もう彼女たちが剣を捧げるべきシャトランはいない。万が一、俺たちに復讐しようと考えたとしても、既にドラゴンに食べられた後であり、その時にはもうどうしようもない。
 
 まぁ、彼女たちについては心配することはないだろう。妖異の方がよほど脅威だ。

 だが星の智慧派の方は、彼女たちのようにはいかないだろう。

「そうなのミリアさん?」

 流華の間には、ルカとフワデラ夫妻、俺とライラ、ミリアとフォーシア、そしてカレンが集って、星の智慧派への対策会議を開いていた。

 ミリアとフォーシアは、王都で収集した情報と工作活動の報告、カレンさんについては、ラーナリア正教の神官としての立場から、星の智慧派についての知見を得ようと来てもらっている。

 今回の件で、星の智慧派も手を引くかもしれないという俺の意見に対して、ミリアさんは、

「星の智慧派は邪神を信奉する狂信者というだけではなく、非常に古い歴史を持つアサシン集団でもあります。同業者の立場から言わせていただければ……」

 今回の騒動で、星の智慧派は三人のアサシンを失っている。しかも俺の暗殺とライラの誘拐にも失敗した彼らとしては、面子を保つためにも、何らかの行動を起こすはずだということだった。

「面子のために?」

「はい。仕事は果たせず、雇用主を失い、敵に報復もしなかっとなれば、アサシンとしての星の智慧派の評判は地に落ちるでしょう。賭ても良いですが、彼らはきっと、彼らの神に復讐の血の誓約を捧げているはずです」

「でも表向き、俺は死んでるんだよ? 報復するって一体誰に……」

「そこは彼ら次第というところですが、もし私が彼らの立場だったとしたら……」

 ミリアさんは、そこで一旦言葉を切り、その場にいる全員を見回した。

「おそらく報復の対象とするのはフワデラ様とシュモネー様でしょうか」

 えっ!? 何で?

 という俺の表情を見た、フワデラさんが口を開いた。

「イリアの宿で、二人のアサシンを撃退したのが私たちだったからでしょうね。もしかすると、そのとき一緒に彼らを追い詰めた仲間も狙われてしまうかもしれません」

 そう言ってフワデラさんがミリアに顔を向ける。

「はい。逃げたアサシンは、お二人の姿を確実に見ているはずです」

「なら、フワデラさんたちもミチノエキ村への出入りさせられないってこと?」

 と、一応は驚いて見せたが、俺たちもフワデラさんたちも、元々ミチノエキ村に来ることはほとんどなかった。正直、グレイべ村や地下帝国、コボルト村のような近代化された生活圏で暮らしていると、わざわざミチノエキ村に出向きたくなるなんてことはまずない。

 うん。

 ミチノエキ村の出入り禁止って、それほど大した問題じゃないな。

 とか思ってたら、ミリアさんが、

「ただシンイチ様たちと違って、お二人はドラゴンに食べられておりません。身を隠したところで、星の智慧派が諦めるとは考えられません。それどころか、二人の居場所を探るためにミチノエキ村で事を起こすかもしれません」

「事を起こす?」

「目撃者を彼らのやり方で尋問するかもしれません。ミチノエキ村でお二人に接触した可能性がある人々の財産が破壊されるかもしれません。人を苦しめることにかけては、万の手管を持っていると言われています」
 
「えっ!? 無関係なミチノエキ村の人たちが、アサシンに襲われるかもしれないってこと!?」

「無関係かどうかを決めるのは彼らです」

 ライラがそっと俺の手に手を重ねてくる。

 その時になって、ようやく俺は自分の手が震えることに気が付いた。

 いくら人の出入りが増えてきたとはいえ、ミチノエキ村には俺の親しい人たちが沢山暮らしている。平和に、普通に、日常を送っているのだ。もし、彼らの血が流されでもしたら……。

 血塗れになって倒れているイリアくんやイリアーナさんの姿が脳裡に浮かんだ。

 敵が妖異や魔物なら、俺の【幼女化】で皆を守ることができる。正面から挑んでくるのであれば、人でも魔族でも、たぶん俺は戦える。だが、絡め手で闇討ちを仕掛けてくるような連中を相手に、俺は無力だった。

「お願いだ! 皆の力を貸してくれ」

 気が付くと、俺は皆に頭を下げていた。
 
「頼む! 頼みます!」

 気が付くと、堀り座敷から出て、思い切りの土下座を敢行していた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~

シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。 前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。 その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。

異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。

Mです。
ファンタジー
異世界学園バトル。 現世で惨めなサラリーマンをしていた…… そんな会社からの帰り道、「転生屋」という見慣れない怪しげな店を見つける。 その転生屋で新たな世界で生きる為の能力を受け取る。 それを自由イメージして良いと言われた為、せめて、新しい世界では苦しまないようにと防御に突出した能力をイメージする。 目を覚ますと見知らぬ世界に居て……学生くらいの年齢に若返っていて…… 現実か夢かわからなくて……そんな世界で出会うヒロイン達に…… 特殊な能力が当然のように存在するその世界で…… 自分の存在も、手に入れた能力も……異世界に来たって俺の人生はそんなもん。 俺は俺の出来ること…… 彼女たちを守り……そして俺はその能力を駆使して彼女たちを英雄にする。 だけど、そんな彼女たちにとっては俺が英雄のようだ……。 ※※多少意識はしていますが、主人公最強で無双はなく、普通に苦戦します……流行ではないのは承知ですが、登場人物の個性を持たせるためそのキャラの物語(エピソード)や回想のような場面が多いです……後一応理由はありますが、主人公の年上に対する態度がなってません……、後、私(さくしゃ)の変な癖で「……」が凄く多いです。その変ご了承の上で楽しんで頂けると……Mです。の本望です(どうでもいいですよね…)※※ ※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※

処理中です...