異世界転生ハーレムプラン ~ 最強のスキルが【幼女化】ってマジですか?~

帝国妖異対策局

文字の大きさ
158 / 243

第158話 レヴィアたん

しおりを挟む
 休憩時間を4時間も挟んだにも関わらず、グリッちと人魚村の村長アリエラさんは憔悴しきっていた。

 お疲れのところ申し訳ないと思いつつ、二人から腹案の内容を聞いてみた。

「つまり、俺が人魚村に行ってアリエラさんたちの漁を手伝えってこと? その……何て言うんだっけ、レ、レヴィアタンとかいうのを狩って食糧すってことでいい」

 アリエラさんが疲れた顔に何とか笑顔を浮かべながら頷く。

「レヴィアサンです。かの巨大な魔物を狩ることができれば、1000人程度の魔族であれば、少なくとも半年は食べさせていくことが可能です」

「それは凄い……けど、アリエラさんたちは、そのレヴィアたんを狩ったことはあるの? なんか名前からして強さが感じられるんだけど」

「狩りに行ったことはあります」

 ん?アリエラさんが目を逸らした? 

「狩ったことはあるの?」

 俺はアリエラさんの顔に、ズズズと音を立てながら顔を近づける。

「狩に行ったことは……あります」

「狩ったことないの!? それなのに、どうしてそれが1000人分の食糧になるって断言しちゃったの!?」

  俺がさらに顔をズズズと近づけようとすると、アリエラさんが俺の顔を押しのけながら答えた。

「そ、それは実際に食べた経験があるからです!」

 アリエラさんの話によると、二十年前、浅瀬に迷い込んで衰弱死したレヴィアたんがいて、それを食べた経験があるらしい。

 死亡が確認されたレヴィアたんは、すぐさま村人たちによって解体された。その干し肉や遺骸から作られた加工品は、人魚村に莫大な利益をもたらしたという。

 以来、その時の経験に味を締めた人魚たちは、レヴィアたんを狩ろうと挑戦してきた。しかし、巨大な魔物は見た目の通り超強くて、人魚たちの武器では、その皮膚を貫くことさえできないらしい。

「えっと……つまり、未だそのレヴィアたんを狩ったことはないという風に聞こえたんだけど?」

「ええ、これまでは! ……あとレヴィアたんじゃなくてレヴィアサンです」

 アリエラさんの目がギラギラと光って俺を見つめる。疲れ顔にギラギラ目というのは、たとえ美人の顔であってもかなり怖い。

 そして、非常に嫌な予感がする。

「こ、これまでは? ……えっと、つまりこれからは狩れると?」

「はい! 皇帝様の偉大な魔法があれば、レヴィアサンなど、赤子のてをひねるよりも容易く屠れるでしょう!」

「はぁ!? 誰がそんなこと言ったの!? 無理に決まってるでしょ!」

 いや、無理じゃないかも知れないけれど、未知の魔物の前に立つなど御免こうむりたいのが大前提。スキル開発部の皆さんのことを疑っているわけじゃないけど、もし万一、【幼女化】が通じない相手だったら……俺が死ぬ!

「誰が言ったって……ここにいらっしゃる皆様ですが……」

 そういってアリエラさんが、会議室の皆に視線を向ける。

「えっ!?」
 
 と俺がひとり一人に顔を向けると――

 ルカがニカッと歯を見せて笑った。

 フワデラさんが、俺の方を向いて頷いた。

 ロコが、俺の方を向いて頷いた。

 ステファンが、俺の方を向いて頷いた。ついでに親指を立てた。

 グリッちが、俺の方を向いて頷いた。グリフォンの翼を大きく広げた。

 青さんが、俺の方を向いて頷いた。ついでに親指を立てた。

 シルフェンが、俺の方を向いて頷いた。両手でダブルピースをしている。

 隣にいるライラが、俺の方を向いて頷いた。

 ライラは「シンイチ様ならそんなの余裕です」とドヤ顔をしている。ライラのドヤ顔超好き。

 そしてグレイちゃんが、俺の足を齧ろうと狙っていた。

 そして、ようやく俺は驚きの声を上げることができた。

「えぇぇぇぇぇぇえ!? 俺が行くのぉぉぉ!?」

 その場にいる全員がシンクロして頷いた。

 俺は混乱している。

「みんな、ちょっと待って! まずはよく聞いて欲しい」

 全員が俺の話に耳を傾ける。

「まず俺って皇帝だよね? 一番エライ……実際はともかく、名目上の立場としては一番エライんだよね?」

「それはそうじゃの」とルカ。

「そうですよ! シンイチ様が一番です!」とライラ。

 とりあえず褒めてくれるの有難嬉しい。ヤバイ……また発情しそう。

「うーっ! うーっ! シンイチが一番おいしい!」

 とりあえずグレイちゃんは太ももを齧るの止めて欲しい。

「もちろんそうです」その他大勢。

「いやいやいやいや、こういうのってほら、皇帝ってラスボスっていうか、最後の切り札っていうか、一番最後に出てくるっていうかさ。なんならまずはルカちゃんが……」

「わらわは泳げん!」

「空から行けばいいじゃん!」

「それで狩れるかもしれんが、わらわのファイアブレスで丸焦げにしてしまったら意味がないじゃろうが! というか貴様! たとえ名目上とは言え、妻たるわらわをまず危険にさらそうというのか! グレイ! シンイチの足をもっと齧ってしまえ!」

「うーっ! うーっ! じゅるる。うーっ! じゅるる」

 グレイちゃんの涎が俺のズボンにシミを広げていく。帰り道、事情を知らない第三者がこれを見たら、「コイツお漏らししてやがる!」とエンガチョされるに違いない。

「えっと……一応聞くけど、レヴィアたんって大きいんだよね?」

 俺はアリエラさんに聞いた。

「いえいえ。伝説で語られている程ではありません。いくら大きいと言っても、所詮、彼らも生き物。大きさは……そうですね」

 そう言ってアリエラさんは、俺の足に噛り付いているグレイちゃんを見た。

「そうそう。グレイベア10頭分くらいです。大した事ありませんよ」

「大した事あるわぁぁぁ!」

 俺は叫んだ。

 絶対無理! 

「それとレヴィアたんではなくレヴィアサンです。そろそろ覚えてください」

「アッ……ハイ……」

 アリエラさんが厳しかった。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

【薬師向けスキルで世界最強!】追放された闘神の息子は、戦闘能力マイナスのゴミスキル《植物王》を究極進化させて史上最強の英雄に成り上がる!

こはるんるん
ファンタジー
「アッシュ、お前には完全に失望した。もう俺の跡目を継ぐ資格は無い。追放だ!」  主人公アッシュは、世界最強の冒険者ギルド【神喰らう蛇】のギルドマスターの息子として活躍していた。しかし、筋力のステータスが80%も低下する外れスキル【植物王(ドルイドキング)】に覚醒したことから、理不尽にも父親から追放を宣言される。  しかし、アッシュは襲われていたエルフの王女を助けたことから、史上最強の武器【世界樹の剣】を手に入れる。この剣は天界にある世界樹から作られた武器であり、『植物を支配する神スキル』【植物王】を持つアッシュにしか使いこなすことができなかった。 「エルフの王女コレットは、掟により、こ、これよりアッシュ様のつ、つつつ、妻として、お仕えさせていただきます。どうかエルフ王となり、王家にアッシュ様の血を取り入れる栄誉をお与えください!」  さらにエルフの王女から結婚して欲しい、エルフ王になって欲しいと追いかけまわされ、エルフ王国の内乱を治めることになる。さらには神獣フェンリルから忠誠を誓われる。  そんな彼の前には、父親やかつての仲間が敵として立ちはだかる。(だが【神喰らう蛇】はやがてアッシュに敗れて、あえなく没落する)  かくして、後に闘神と呼ばれることになる少年の戦いが幕を開けた……!

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

処理中です...