異世界転生ハーレムプラン ~ 最強のスキルが【幼女化】ってマジですか?~

帝国妖異対策局

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第166話 悪魔勇者で間違いない!

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 隠れ里と言うものの、リーコス村は王国からは、その存在を暗黙に認められている。納税と、村の近くを通る北街道と西街道の監視と安全を守る義務も課せられている。

 そのため街道を行く商隊は、このリーコス村近くの街道を安心して通ることができる。魔物や盗賊から追われているようなときは、彼らは何とかして村近くの街道まで辿り着こうとする。白狼族の監視に発見してもらえれば、救援に駆けつけてくれるからだ。

 街道を行く商人や旅人から情報を得られることもあって、リーコス村の大陸情勢の把握は、最新のものと考えて良い。

 酒宴の翌日、グレイベア村への帰路につく前に、俺は村長からそうした情報について色々と教えてもらっていた。

「俺の見立てじゃ、セイジュウ神聖帝国の皇帝が悪魔勇者で間違いないな」

 どうやらヴィルフォファング村長は確信を持っているようだった。

「今の神聖帝国になる前は、あそこにはファーレンっていう小国があったんだが、そこは星の智慧派という邪教集団が本拠地を置いていてな。奴らは、ずっと昔から悪魔勇者を召喚するために生贄の儀式を続けていたって話だ」

 村長によると、今から約6年前、星の智慧派によるクーデターでファーレンが滅亡し、セイジュウ神聖帝国が誕生したということだった。

 セイジュウ神聖帝国は、魔族を引き入れて大陸を制覇しようとしている。しかも、彼らの率いる魔物は、これまで神話や伝説でしか語られることがなかったような強力なものがいるという。これはおそらく妖異のことだろう。

「皇帝セイジュウは黒竜までも配下に加えたらしい。人類軍の足並みが揃ってない今、神聖帝国に寝返る国は増えていくことだろうな」

「黒竜? それってうちのドラゴンと同じ竜族ってことですか?」

「そうだ。ドラゴンの中でも、黒竜は最も強いと言われている。黒竜を配下に加えた神聖帝国は、今や大陸最強の国と言って間違いないだろう」 

 あとでルカに聞いてみよう。頭から煙出しながら怒りそうな気がする。

 それにしても、俺の転生より早い時期に召喚されていることといい、妖異を率いていることといい、間違いなく悪魔勇者で確定だろうな。

 最後に確認しておこう。

「村長、その悪魔勇者には強力な眷属とかいたりしませんか?」
 
「シンイチ殿はご存じだったか。確かに悪魔勇者は十二の眷属を従えている。彼ら眷属はこの世の理を越えた恐ろしい存在だとか」

 俺がこの異世界に転生するハメになったのは、悪魔勇者の召喚の巻き添えを食ったからだとエンジェル・キモオタは言っていた。

 その際、悪魔勇者には十二の眷属がいるとも。

 もはや間違いない。

 セイジュウ神聖帝国の皇帝セイジュウは悪魔勇者だ。



~ 生存者 ~

 それにしても、エンジェル・キモオタには、いつか直接クレームを入れてやりたい。

 異世界転生したらハーレムでウハウハだとか、

 勇者転生と違い、俺のような一般転生者はハーレムでウハウハだとか、

 チートスキルがあるからハーレムウハウハだとか、

 広告に偽りしかなかったじゃないか!

 というか、勇者死んでたし! 雪山の中で頭空っぽにして死んでたし!

(そういや、ココロチン。次の勇者はどうなってるの? 新しい勇者は召喚されたの?)

(ココロ:次の勇者をどうするかについては、まだ天上界で色々と揉めてまして……)

(ちょっ! それってヤバくない? このままじゃ大陸全土が悪魔勇者の手に墜ちちゃうよ?)

(シリル:ずっと検討を続けてはいるようなのですが……)

(もういっそのこと、軍隊とか丸ごともってきて、さっさと悪魔勇者にミサイルでもブチ込んでくれよ!)

(ココロ:そんな無茶言わないでください!)

(シリル:そんなことしたら次元監視者に目を付けられる。そうなったら世界そのものが消されてしまいかねません)

(ま、まぁ……軍隊とは言わないけど、とにかく勇者を呼んで悪魔勇者を退治してもらいたいんだよ。そうじゃないと、ハーレムどころか、のんびりスローライフさえ不可能じゃんか!)

 あっ、なんだか腹が立ってきた。

 二人に、エンジェル・キモオタへの直接クレームを申請しようとしたところで、突然、大きな声が耳に入ってきた。

「村長! モリオン村の男が北門で行き倒れていました!」

 白狼族の若者二人が、ぐったりとした男を両脇で支えながら、村長の家に入ってきた。

 男を長椅子に寝かせると、若者の一人が発見時の状況について村長に報告する。

「この男は、北門まで辿りついたところで力尽きたようです」

 白狼族の若者は、以前、モリオン村を訪れたときにこの男を見たことがあって、顔を覚えていたらしい。名前までは憶えていなかったものの、この男がモリオン村の住人であることは確かなようだ。

 移動中に魔物か盗賊にでも襲われたのか、長椅子に横たわる男の姿はボロボロで、小さな傷がいくつも見受けられた。

 村長は、男の顔を覗き込んでから言った。

「アーシェを呼んで手当してやれ。この男が回復するのを待って詳しい話を聞くことにしよう」

 とりあえず今日のところは、グレイベア村へ帰還は見送りになりそうだ。
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