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第199話 大陸ひとり旅(精霊付き)
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俺は仲間と別れ、一人でライラを追ってドラン大平原を目指していた。
ミリアによると、岩トロルとの戦闘時、彼女の右腕であるダークエルフのフォーシアが、一人でアサシンたちの後を追っているということだった。
ドラゴンシスターズで共有されている追跡サインの見つけ方は、以前ミリアから教わっている。それを追っていけば、必ずライラの元へ辿り着けるはず。
ミリアやラミアたちは最後まで、俺が一人で旅することに不安を抱いているようだった。
だが一人と言っても、俺の頭ん中には支援精霊のココロチンとシリルっちがいるし、ルカちゃんが預けてくれた火の精霊と水の精霊が付いてくれている。
火の精霊ヴォルカノンことヴォルちゃんと、水の精霊リヴィエールことリヴィは、普段は目に見えないけど、実体化することもできる。
実体化には精霊の力を結構消費するらしいので、前にルカちゃんからもらったアドバイスに従って、川の近くで焚火をしながら野営をしていた。
冷えるときには火の精霊ヴォルちゃんが、暑くなるときには水の精霊リヴィが、周囲の空気を調整してくれる。
周囲の警戒はココロチンとシリルっちが【索敵】マップを監視してくれているし、矢くらいであれば、ヴォルちゃんが燃やすか、リヴィが弾いてくれた。
もし魔物が襲ってきたとしても、精霊の誰かが俺を起こしさえしてくれれば、【幼女化】一発で事足りる。いくら疲れて眠りが深かったとしても、ヴォルちゃんが俺のお尻をジリっと焼けば一瞬で目覚める自信があるな。
つまるところ、俺の野営は安心安全なのだ。
一人旅と言えば孤独が辛いと思うかもしれないが、俺に限って言えばそんなことはない。
「チーッス! 田中さん、ご注文の商品のお届けに参りましたー!」
目の前に黒い空間が現れたかと思うと、そこから商品袋を手にした佐藤さんが顔を覗かせる。
精霊のヴォルちゃんやリヴィにも佐藤さんの姿は見えないらしく、突然、空中に現れた商品袋を見て、ざわつき始めた。大丈夫、大丈夫と手で知らせる。
「おーっ! 佐藤さん、待ってましたぁ! これから、お昼休み?」
「この配達で、昼休憩っス!」
そう言って、佐藤さんはおもむろに弁当箱を広げる。
佐藤さんの弁当は、明太子のハートマーク入りのノリ弁当だった。
「えっ! なにそれ愛妻弁当!? リア爆! リア爆!」
「えっ、ええぇ、まぁ……機嫌の良いときにたまに作ってくれるんすよ。というか、田中さんこそ、特選握り30貫パックなんて豪勢じゃないッスか! それこそリア爆ですよ」
「いや、まぁ、今は一人旅の途中でさ、なんというか気持ちを上げていこうと思って、ちょっと贅沢しようかと思ってね」
そう言って、俺は夜空を見上げる。
佐藤さんも、俺と同じように顔を上げて、夜空の星々に目を向けた。
「ほへぇ……やっぱり空気がキレイなんでしょうね。星の輝きが半端ないな……」
佐藤さんが弁当を食べる手を止めて、星に見惚れていた。
「ライラさん……無事だといいすね……」
佐藤さんがボソッとつぶやいた。
「えっ……」
っという俺の反応を見て、佐藤さんが慌てて言葉を足す。
「あっ!? いや、もちろん無事に決まってます! 間違いないっスよ!」
俺としては、佐藤さんがライラのことを心配してくれていて、驚いたというか、嬉しかった。だが、佐藤さんはどうやら俺の機嫌を損ねたのかと思っているようだった。
「あのっ、俺、ライラさんの話を聞いてから、その、本当に無事でいて欲しいっていうか……その……今朝も、神田明神で神様にお願いしてきたッス!」
「かんだ? みょうじん? もしかしてアキバの近くにある神田明神?」
「はい。その神田明神さんに行ってライラさんが無事田中さんの元へ戻れますようにって……絵馬も奉納してきたっスよ」
そういって、佐藤さんはスマホを取り出して、絵馬の写真を見せてくれた。
『ライラさんが無事に戻りますように』
そう書かれた絵馬には、ライラの顔らしき絵が描かれていた。シンプルな線でパパッと描かれた絵だったが、それがなんとも愛らしい。
「えっ!? これを? 佐藤さんが!?」
佐藤さんは頭を掻きながら、照れくさそうに頷いた。
「ありがとう! 佐藤さん! 俺……俺……超嬉し過ぎて泣きそう! というか泣く! というか泣いた!」
そう言って俺は佐藤さんの手を握ろうとするが、ホログラムのように実体がなく、すり抜けてしまった。商品はしっかりと受け取れるのに不思議……というか不条理さえ感じる。
だがそんなことより、佐藤さんの優しさが嬉しすぎて、俺の目からナイアガラの滝のように涙が流れ出した。
「ライラさんの代わりのつもりでおみくじ引いたら、大吉でした! お守りも買ったし、お賽銭も……俺なりで申し訳ないっスけど……奮発しました。自分は田中さんやライラさんのために、何にもできないけど、神田明神さんならそっちの神様にも少しは顔が効くかもしれないッスから……」
「ざどうざんんんん! ありがどぉおおおお!」
佐藤さんに、何度も何度も俺は御礼を言った。
佐藤さんの姿が見えないヴォルちゃんとリヴィは、突然泣き出した俺を見て、
こいつ頭大丈夫か? と心配してくれているようだった。
ミリアによると、岩トロルとの戦闘時、彼女の右腕であるダークエルフのフォーシアが、一人でアサシンたちの後を追っているということだった。
ドラゴンシスターズで共有されている追跡サインの見つけ方は、以前ミリアから教わっている。それを追っていけば、必ずライラの元へ辿り着けるはず。
ミリアやラミアたちは最後まで、俺が一人で旅することに不安を抱いているようだった。
だが一人と言っても、俺の頭ん中には支援精霊のココロチンとシリルっちがいるし、ルカちゃんが預けてくれた火の精霊と水の精霊が付いてくれている。
火の精霊ヴォルカノンことヴォルちゃんと、水の精霊リヴィエールことリヴィは、普段は目に見えないけど、実体化することもできる。
実体化には精霊の力を結構消費するらしいので、前にルカちゃんからもらったアドバイスに従って、川の近くで焚火をしながら野営をしていた。
冷えるときには火の精霊ヴォルちゃんが、暑くなるときには水の精霊リヴィが、周囲の空気を調整してくれる。
周囲の警戒はココロチンとシリルっちが【索敵】マップを監視してくれているし、矢くらいであれば、ヴォルちゃんが燃やすか、リヴィが弾いてくれた。
もし魔物が襲ってきたとしても、精霊の誰かが俺を起こしさえしてくれれば、【幼女化】一発で事足りる。いくら疲れて眠りが深かったとしても、ヴォルちゃんが俺のお尻をジリっと焼けば一瞬で目覚める自信があるな。
つまるところ、俺の野営は安心安全なのだ。
一人旅と言えば孤独が辛いと思うかもしれないが、俺に限って言えばそんなことはない。
「チーッス! 田中さん、ご注文の商品のお届けに参りましたー!」
目の前に黒い空間が現れたかと思うと、そこから商品袋を手にした佐藤さんが顔を覗かせる。
精霊のヴォルちゃんやリヴィにも佐藤さんの姿は見えないらしく、突然、空中に現れた商品袋を見て、ざわつき始めた。大丈夫、大丈夫と手で知らせる。
「おーっ! 佐藤さん、待ってましたぁ! これから、お昼休み?」
「この配達で、昼休憩っス!」
そう言って、佐藤さんはおもむろに弁当箱を広げる。
佐藤さんの弁当は、明太子のハートマーク入りのノリ弁当だった。
「えっ! なにそれ愛妻弁当!? リア爆! リア爆!」
「えっ、ええぇ、まぁ……機嫌の良いときにたまに作ってくれるんすよ。というか、田中さんこそ、特選握り30貫パックなんて豪勢じゃないッスか! それこそリア爆ですよ」
「いや、まぁ、今は一人旅の途中でさ、なんというか気持ちを上げていこうと思って、ちょっと贅沢しようかと思ってね」
そう言って、俺は夜空を見上げる。
佐藤さんも、俺と同じように顔を上げて、夜空の星々に目を向けた。
「ほへぇ……やっぱり空気がキレイなんでしょうね。星の輝きが半端ないな……」
佐藤さんが弁当を食べる手を止めて、星に見惚れていた。
「ライラさん……無事だといいすね……」
佐藤さんがボソッとつぶやいた。
「えっ……」
っという俺の反応を見て、佐藤さんが慌てて言葉を足す。
「あっ!? いや、もちろん無事に決まってます! 間違いないっスよ!」
俺としては、佐藤さんがライラのことを心配してくれていて、驚いたというか、嬉しかった。だが、佐藤さんはどうやら俺の機嫌を損ねたのかと思っているようだった。
「あのっ、俺、ライラさんの話を聞いてから、その、本当に無事でいて欲しいっていうか……その……今朝も、神田明神で神様にお願いしてきたッス!」
「かんだ? みょうじん? もしかしてアキバの近くにある神田明神?」
「はい。その神田明神さんに行ってライラさんが無事田中さんの元へ戻れますようにって……絵馬も奉納してきたっスよ」
そういって、佐藤さんはスマホを取り出して、絵馬の写真を見せてくれた。
『ライラさんが無事に戻りますように』
そう書かれた絵馬には、ライラの顔らしき絵が描かれていた。シンプルな線でパパッと描かれた絵だったが、それがなんとも愛らしい。
「えっ!? これを? 佐藤さんが!?」
佐藤さんは頭を掻きながら、照れくさそうに頷いた。
「ありがとう! 佐藤さん! 俺……俺……超嬉し過ぎて泣きそう! というか泣く! というか泣いた!」
そう言って俺は佐藤さんの手を握ろうとするが、ホログラムのように実体がなく、すり抜けてしまった。商品はしっかりと受け取れるのに不思議……というか不条理さえ感じる。
だがそんなことより、佐藤さんの優しさが嬉しすぎて、俺の目からナイアガラの滝のように涙が流れ出した。
「ライラさんの代わりのつもりでおみくじ引いたら、大吉でした! お守りも買ったし、お賽銭も……俺なりで申し訳ないっスけど……奮発しました。自分は田中さんやライラさんのために、何にもできないけど、神田明神さんならそっちの神様にも少しは顔が効くかもしれないッスから……」
「ざどうざんんんん! ありがどぉおおおお!」
佐藤さんに、何度も何度も俺は御礼を言った。
佐藤さんの姿が見えないヴォルちゃんとリヴィは、突然泣き出した俺を見て、
こいつ頭大丈夫か? と心配してくれているようだった。
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