異世界転生ハーレムプラン ~ 最強のスキルが【幼女化】ってマジですか?~

帝国妖異対策局

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第212話 大天使降臨

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 視界のコンソールに条件達成となった女神クエストの一覧が表示される。

 かなり長いリストが次々と流れていく。

(俺……俺たち、こ、これ全部クリアしたの?)
 
(ココロ:はい、そうですよ)

(シリル:報酬額の合計ですが1億2526万EONポイントになります)

(いいいいい、一億!? そんなに!?)

(ココロ:女神クエストの報酬が全体的に上がっているようです)

(シリル:今回については、悪魔勇者の捜索の報酬が高額になっていたことと、大型妖異を大量に討伐したのが大きいですね)

(そ、そうなんだ……)

 だがここまで大量のEONポイントが入ったところで、ネットスーパーは買い物カゴという制限があるので、それほど使いでがあるわけでもない。

 かと言って、拠点を設置するにはポイントが圧倒的に不足している。確か三億ポイント必要だったはずだ。

 ネットスーパーじゃ全てのフロアから欲しいものを買ったとしても、百万に届くかどうかといったところ。とすると後は日用品や食糧で思い切り贅沢するくらいしかできない。

(うーん。確かに凄い額だけど、ネットスーパーで毎日帝国松坂牛を注文するくらいしか、使い道がなさそうだな)

(ココロ:何言ってるんですか、田中様。これはとてつもなく凄いことですよ)

(シリル:そう。EONポイントは命の値)
 
(えっ? 命の値?)

(ココロ:お忘れのようですが、EONポイントは魔力やヒットポイントに転換することができるのです)

(えええ、聞いてないよ!)

(シリル:そうなのですか?)

(ココロ:いえいえ! 最初に! 最初に説明しましたよ! それにヒットポイントは自動補充されてますから、もし忘れていたとしても問題ありません。つまり、私は悪くねぇぇ!)

(自動補充?)

(シリル:HPが減ったときに自動でEONポイントで変換して補充する仕組みです。ログを拝見しましたが、結構な頻度で利用されていたようですね)

(心当たりがまったくないんだが?)

(シリル:例えばコカトリアンとの戦いのときに、毒を吸っておられたようですが、毒状態から回復するまで自動補充が行なわれていますね)

(えっ!? 毒? あの時はウィンドルフィンが風で毒霧を払ってくれたから、毒状態にはなってないよ?)

(シリル:完全に払われてはいなかったのでしょう。ただ風精霊のおかげで軽微な毒状態で済んだものと思われます)

 あの時は、幼女(コカトリアン)の遺体の山を見て体調が悪くなったものとばかり思ってた。だが激しい嘔吐と悪寒が長く続いたのは、今にして思えば毒状態だったからかもしれない。

(で、でもそれなら、戦場で駆け回ってバテるようなこともないのでは?)

(ココロ:ヒットポイントと疲労度は別ですから)

(シリル:毒状態であれば苦しみ続けることになりますし、疲労が溜まっていれば動くことはできませんが、HPが0にならない限り田中様は死にません)

(な、なるほど。ま、まぁ、命があるだけでも有難いから、それで問題ないけど。で、交換レートはどれくらいなの?)

(シリル:魔力は10ポイント、HPは100ポイントで1回復します)

(えーっと、今回の1億2千万EONポイントで言うと……HP120万もあるってこと!?)

(ココロ:違います! 確かに凄い値ですけど、あくまで補充可能というだけですよ!)

(シリル:現在の田中様のHPは280ですが、それを短時間で削り尽くされたらユーダイドです)

 一瞬でHPが削られても死んでしまうのは、理解できるし納得もする。だが一見するとチートで良さげなこの自動補充、デメリットもあるようだ。

(シリル:例えば、田中様が足に石を括りつけられて川底に沈められたとしても、自動補充でポイントが尽きるまでは死ぬことができず苦しみ続けることになります。ご注意ください)

 おうふ。

 EONポイントは必要な分だけ確保して、残りはなるべくギリギリまで使い切るようにしよう。

(シリル:それにしてもEONポイントのHP変換は、本来であれば勇者にのみ許されているものなのですが、田中様は天使様によほど気に入られていたようですね)

「シ、シンイチさま……」

 ふと、耳にライラの切羽詰まったような声が入ってきた。

 慌てて意識を現実に戻すと、まばゆい光が空から降り注いでいる。

 そして、その光の中心からは、聞き覚えのある声が響いてきた。

「その通りなのですぞぉぉぉ!」

 逆光で見えないが、俺にはそいつの姿がありありと分かった。

「シンイチさま、あれは……」

 その姿、「てんし」と書かれたTシャツ、はみ出たお腹、なのに白い翼、間違いないコイツは……。

「フォォオ! 御身がライラどのですな? 天上界の女神も霞むがごとく萌えの体現! まさに世界の至宝ですぞぉお!」

「エンジェル・キモオタ……」

 俺と支援精霊は、予想だにしなかった天使の出現に呆然とする。

(ココロ:きもっ……大天使様!)
(シリル:きもっ……大天使様!)

 なんだろう。

 俺には支援精霊の姿が見えないのだが、今、二人が地面に正座してひれ伏している姿が声から分ってしまった。

 それにしても、ココロチンは前に公言していた通りの反応を示したな。

『もしわたしがあの天使《豚》に直接会うようなことがあったら、五体投地して平服してますから! わたしが!』

「デュフフ。ココロちん、シリルンルン、二人とも健勝のようで何よりですぞ。いつも報告書で上がってくる田中殿への不満には、ちゃんと目を通しておりますからな」

((ココロ、シリル:ははぁ、ありがたき……))
「おいっ! 二人とも一体何を報告してんだよ!」

 二人の追及はともかく、俺はエンジェル・キモオタには言いたいことが沢山あった。

 もちろんその全部がクレームだ。

 ハーレムプランとか詐欺じゃねーかとか、お世話にはなってるけど、やっぱり転生チートスキルが【幼女化】とかふざけんなとか、怒り散らしたい気持ちでいっぱいだ。

「シンイチさまの……お知り合いの方なのですか?」

 ライラの質問に、エンジェル・キモオタが得意げな顔で答える。

「デュフフフ、その通りですぞ、ラブリー・ライラ殿」
 
「ラ……ラブリー?」

 おい、キモオタ! ライラが困惑してるじゃないか! でもその呼び方は悪くないぞ!

「我輩は大天使エンジェル・キモオタ。田中殿の大親友にして、あなたの下僕ですぞ。どうぞいつでも踏んでもらって構いませんぞ。というかぜひ、そのカワイイおみ足でグリグリと我輩を踏んで欲しいのですぞ。デュフコポー」

「えっ……えっ……」
  
「ライラが怖がってるだろうが! この変態豚天使!」
 
 やべっ! ついに豚呼ばわりしちまった。仮にも自称「大天使」を……。

 うん。
 
 まぁ、いいや。本音だし。

「ヌフフ。そういう自分に正直なところが、田中様の良いところですぞ。デュフコポー」

「それで? 今頃になってどうして突然、現れたんだ? お前って実はかなりエライ奴で、色々と忙しいんだろ?」

「デュフフフ。田中殿に認められたようで、我輩、とっても嬉しいですぞ。もちろん、我輩が忙しいというのは本当ですぞ。こうして顕現することは、滅多にありませぬ。ヌフフフ」

 何が楽しいのか、エンジェル・キモオタはお腹をタプンタプン揺らしながら笑っている。

「こうして姿を見せたのは、田中殿が悪魔勇者に手傷を負わせたという吉報を受けてのこと。そして……」

 訝し気な視線を向ける俺の顔を見て、エンジェル・キモオタがニヤリと笑った。

「幼女ライラ様のためですぞ」


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