異世界転生ハーレムプラン ~ 最強のスキルが【幼女化】ってマジですか?~

帝国妖異対策局

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第231話 リトルミナスの秘密

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 俺は【幼女化】した赤髪魚面の神官を、祭壇の間から連れ出して、アルミン一家と合流した。

 既に全員が着替えを終えていて、いつでも出発できる準備は整っているようだった。

 俺たちは、まな板の鯉亭の食堂で魚面神官(幼女)を取り囲んで詳しい話を聞くことにした。

「き、貴様たち、い、生贄の分際で、このようなことをしてただで済むと思うな!」

 魚面神官(幼女)が、俺たちを睨み付けてくる。

 だが幼女の身体は正直で、その内面の恐れを隠すことができずに膝がガクガクと震えていた。

「でしたら、あなた達のの神に助けてもらったらどうなのです!」
 
 アルミン夫人(幼女)が、魚面神官(幼女)に詰め寄る。

「ハッ! 星辰祭はもう始まっておる! 間もなくダゴン神が現れる! 生贄たる貴様らの命を啜り尽くしてくれるはずじゃ!」

 神官は、なお強気の言葉を返してくるが、膝のガクブルが酷くて今にも転びそうだった。

「一応聞いておくけど、そのダゴン神は、俺たち生贄と祭壇の間にいる幼女とを区別することができるのか?」

「!?」

 魚面神官(幼女)が固まった。

「もももも、もちろんだ! 神への信仰篤き我々を、ダゴン様が見誤ろうはずがない」

「そうか……お前らの神とやらは、あのオコゼ頭の像の下からやってくるのか?」

「その通り! あのダゴン神像の中は空洞になっていて、地下水脈と繋がっておる! ダゴン神は海より来りて水脈を通り、そしてあの像に宿られるのじゃ!」

「本当に?」

 俺は片方の眉毛を高く上げて、魚面神官(幼女)を見つめた。

「ほ、本当に……き、決まっておるだろうが!」

 魚面神官(幼女)の返事が若干震え声になっていた。

「ちょっと聞きたいんだけど、もし儀式がいつものように行われていたとしたら、どういう状況になっていたんだ?」
 
 神官の話では、あのまま儀式が行われていた場合、中央の祭壇の下からダゴン神の触手が現れ、触手溝を通じて各生贄の祭壇に触手が伸び、その生命力を吸い取っていくのだという。

 ちなみに中央の祭壇にいる生贄はお腹を裂かれる。触手は、石棺の下の穴から生贄の腹を通して昇ってくるのだとか。

 もしかしたら、ライラがそうなっていたかもしれないのか。

 殲滅決定。こいつらにかける慈悲はない。

 生命力を吸われ続けた生贄は、最後にはミイラとなって死んでしまう。だが時折、魚面たちとの交配のために生贄が生かされることもあるという。今回は、エリザベスとエドワードが交配用に生かされていたかもしれないということだった。

 その話を聞いた二人とアルミン夫人(幼女)の顔が真っ青になる。ローザとアリスは神官の話の意味がわからなかったのか、ポカンとしていた。

 ただこれでアルミン一家も、この街の魚面たちに対する認識が完全に変わったことは間違いないだろう。

 よし、それでは神官に大事なことを教えてやろう。

「神官さん、あんたをここに連れてくるとき、お前たちの神は死んだと俺は言ったな」

「あ、ああ。そのような戯言を抜かしておったよな」

「あれは嘘だ。ダゴン神は死んでない。そもそもそんなのが存在するかどうかも知らんけど」

「当たり前であろう、お前たちが我らの神に傷を付けることなど出来ようがない」

 膝ガクガクブルブルだった神官が、ちょっと強気を取り戻してきた。

「だが、お前たちが崇めていた神を騙る魔物は死んだ!」
 
「な、何!?」
 
 驚いた魚面神官(幼女)のギョロ目がさらに大きく開かれる。

「お前たちが地下から呼び出していたのはダゴン神ではなく、モーラス・ネムラの落とし仔という化け物だ。お前たちはそいつに騙されていたんだよ。ダゴン神へ生贄を捧げているつもりが、化け物にせっせと餌を与えていただけってこと」

「な、何をば、バカな……」

 そう答える神官の声に、自信のなさが滲み出ていた。

「アンタだって、もう気付き始めてるんじゃないか? 俺はダゴン神というのは知らないが、あのオコゼ像から推測すると、アンタたちに近い半魚人みたいな姿をしてるんじゃないの?」

「むぅ……」

 魚面神官(幼女)は何も答えなかった。

「見たことはないんだな。まぁ、いいや。俺たちはお前を説き伏せるつもりも必要もないからな。ただ言えることは、ダゴンはまたどこかに現れるかもしれんが、ここにモーラス・ネムラの落し仔は二度と現れることはない」

 今頃、地下水脈で溺れ死んでいるだろう。生きていたとしても、幼女のままで何ができるということもない。

「さて、最後の質問だ。この街に俺たちのような生贄は他にいるか? 囚われている者、ダゴン教徒ではない者は? 教えてくれたらお前を元の姿に戻してやる」

「……」

 魚面神官(幼女)は、何も答えなかった。

「では、お前たちと交配させられた人はどうなった? 殺したのか? 答えてくれたら、お前だけは逃がしてやる」

 魚面神官(幼女)は、しばらく沈黙を保った後、ポツポツと語り始めた。

 交配が済んだ男女は、その後、再び生贄とされるか、星の智慧派に売り払ってお金に変えていたという。ここでも星の智慧派が絡んでいるのか。碌なもんではない。

 星の智慧派は、世界に混沌をもたらすあらゆる神を信奉している。ダゴン神も、その一柱ということらしい。そのため星の智慧派とダゴン教団の関わりは、このリトルミナスに限らず、普通に協力関係を築いていることが多いという。

「し、質問に答えたぞ! さっさと元に戻してくれ!」

 魚面神官(幼女)の訴えに、俺は首を横に振る。

「お前を元に戻す条件を付けた質問にお前は答えなかった。お前が答えたのは、逃がしてやるという条件の質問だけだ。とっととここから逃げるといい」

「なっ!? そんな屁理屈が通るわけがない」

 なおも喰ってかかろうとする魚面神官(幼女)に俺は指を突き付ける。

「早く逃げた方がいいぞ。俺はもうすぐこの街全体に呪いを掛けるからな。もちろん、次にお前を見かけたときも呪いを掛ける。今度はお前の意識さえ消すぞ、祭壇の間の連中のようにな」

「ひっ!?」

 魚面神官(幼女)は、悲鳴を上げながら宿を飛び出して行った。
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