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第241話 古代神殿への道
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ホドリスとミカエラは、以前、マルラナの古代神殿の探索を手伝ってくれた北方人だ。
彼らは探索が終わった後、そのまま俺についてきてグレイベア村の住人となっていた。
「んーっ? もしかして……」
ホドリスがライラの顔をジーッと観察する。
「「ライラ様ですか!?」」
さすがはグレイベア村の住人、小さくなったライラも見分けることができたようだ。
「そうなんだ。大怪我しちゃったね。今は幼女になってる」
「大怪我!?」
「おいたわしや……」
心配する二人に、ライラが手を「大丈夫、大丈夫」と言いながら手を振っている。
カワイイ。
「ところで、どうして二人はイザラス村にいるの? 里帰り?」
「いえ、まぁ……里帰りといえばそうなのですが……」
彼らの話によると、俺がライラ救出のためにグレイベア村を出発した後で、フワデラ夫妻の提案でイザラス村へ戻ることになったらしい。
「フワデラさんたちが……」
「はい。今後の行動を決める話し合いの場で、シュモネーさまが俺たちにイザラス村へ戻るようにおっしゃったので……」
「はい。シュモネーさまが、もしタヌァカ様が北方に向うことになった場合、必ずイザラス村に立ち寄るはずとおっしゃったので、ここでお待ちしておりました」
なるほどシュモネー夫人の差し金か。
まるで俺たちの行動を知っているかのような。さすが謎の貴婦人、底が知れない。
……というほどのことでもないな。
シュモネー夫人はマルラナに拠点があることは知っているから、俺がそれを利用する可能性は十分に予想できるだろう。
「えっと、俺たちは古代神殿の拠点を使って、グレイベア村に戻ろうと思うんだけど、二人はどうする?」
「「もちろん、一緒に行きます!」」
というわけで、俺たちは古代神殿の拠点を使って、グレイベア村に戻ることにした。
ここまでくればグレイベア村まであと少し。
俺たちは、翌日には古代神殿を目指すことにした。
「イザラス村まで送ってくれてありがとう!」
俺はドルエンさん、シエラさん、フィルシ―さん、フォロンさんに礼を言った。
「おう。またのご利用をお待ちしてるぜ!」※ドルエンさん
「今度はシエラのおっぱいダンスが見れるかもよ?」※フィルシ―さん
「ローエンに来たら、必ず顔を見せに来てください」※フォロンさん
シエラさんの顔が真っ青になっていた。その目端に大粒の涙が溢れている。
「シ、シンイチくん、あ、ありが……ごめん」
シエラさんは、突然しゃがんで――
吐いた。
二日酔いだった。
「ぶはっ! ぜぇ、ぜぇ、ふ、二人とも、ぜぇ、ぜぇ、元気でね、ぜぇ、ぜぇ」
「「「いや、おまえがな!」」」
全員にツッコミを入れられていた。
こうして、冒険者パーティー「北の飲兵衛ズ」とイザラス村の人たちに見送られながら、俺たちは古代神殿の拠点へと向かった。
~ 古代神殿への道 ~
「へぇ! 俺たちが来る前に、また二人は古代神殿に行ったんだ? そういえば宴会で、村に凄い魔法使いが来たとか言ってたね」
俺はホドリスとミカエラたちとのんびり話をしながら、古代神殿に向う山道を歩いていた。
「ええ、その魔法使いとお連れさんたちが、それはもうもの凄い魔法を使いまして!」※ホドリス
「といっても、タヌァカ様の魔法の方が断然凄いっすけどね!」※ミカエラ
なんだかミカエラが太鼓持ちになってる。まぁ、気遣いは嬉しいけど。北方人らしい大柄の体躯で筋肉もりもりの髭ヴァイキングに、ゴマを擦られても……ちょっと引く。
ホドリスが、その魔法使いについて身振り手振りを交えて語ってくれた。
「もうひと月前になるかなぁ。イザラス村に魔法の鳥がバババババッと飛んできて、そこから出て来たのが魔法使いの一行でした!」
「そう。俺たちに古代神殿へ案内して欲しいってね。危ないからやめとけって言ったら、自分たちは凄い魔法が使えるから大丈夫だって言いまして」
「それで確かに凄い魔法を使ってました。こう魔法の杖でバババババッて魔物を倒して、鉄の使い魔とかもドドドドドって! そして最後は天から光の矢を振らせて古代神殿をドドドドーンって!」
ホドリスの説明は良く分からないが、迫力だけは伝わってくる。
「って、古代神殿をドドドドーンって!?」
「ええ、沢山の天の矢が降り注いで、古代神殿をぶっ壊してました!」
「ええぇええええ!」
その魔法使い、何してくれてんの!?
拠点が壊されてたら、帰れないじゃん!
驚愕する俺を見たミカエラが、俺の心配していることを察してくれたのか、拠点についてはそのままの状態で残っていることを説明してくれた。
どうやら魔法使いの矢は、正確に古代神殿だけを破壊していたらしい。拠点は、古代神殿自体からは少し離れた場所にあるので無事だったようだ。
「それにしても、古代神殿を破壊するなんて、凄い魔法使いなんだね。やっぱり白い髭のおじいちゃんだったりするの?」
「いえ、幼女でした」※ホドリス
「はっ?」
「ある日突然イザラス村にやってきた魔法使いは幼女でした!」※ミカエラ
「よ、幼女!?」
雪の山道を歩く、俺の額からツツーッと汗が流れ落ちる。
まさか、ドラン大平原の戦場で、俺の【幼女化】に巻き込まれたとかじゃないよな。
「そういえば、タヌァカ様のことを探しておられたようです」※ホドリス
「俺を探す!? 俺のこと知ってるの!?」
ヤバイ……俺のことを探しているなんて、俺の知己でもない限り、碌なもんじゃない。
パッと思い浮かぶ奴と言えば、星の智慧派のアサシン!?
もしかして俺を殺しに!?
「そ、その魔法使いは今どこに?」
「古代神殿を破壊した後は、直ぐに帰っていかれましたね」
「確かリーコス村に戻るようなことをおっしゃってました」
「リーコス村ぁぁ!?」
マズイ! 俺が戦場で大規模な【幼女化】をやらかしたせいで、リーコス村に迷惑を掛けてしまったかもしれない。
何か事が起こってしまう前に、一刻も早く帰らねば!
「あのぉぉぉ……タヌァカ様」
ホドリスが、鬼気迫る俺の表情を下から覗き込んでくる。
カワイイ女の子から覗き込まれたら嬉しいだけだが、北欧神話のオーディンもかくやというような顔で覗き込まれたので、俺の心臓は停止してしまった。
「ぶはっ!? 何!? 何なのミカエラ!?」
「幼女の魔法使いは、タヌァカ様に害意があるようには見えませんでした。お付の連中も含めて、みんな心の良い連中でしたよ。えっと……」
ホドリスが口ごもる。少ししてから意を決したように、
「たぶん、幼女から元の姿に戻して欲しいだけだと思います」
そうかー。やっぱり俺が原因かぁ。
その後、ホドリスとミカエラから、魔法使い一行との古代神殿探索や村での行動を聞いた。
聞いた限りでは、確かに俺を殺しに来たわけではなさそうだ。
魔法使い一行はイザラス村を立ち去る前に、村と継続的に魔鉱石の取引を行うことになったらしい。村の住人が古代神殿跡で魔鉱石を回収する際、魔物から身を守れるよう魔法の武器まで貸与してくれているのだとか。
さらに、今はローエンに出ていて不在だが、イザラス村に連絡員も置いているようだった。
リーコス村との関係も良好のようで、魔法使い一行の中には、リーコス村の白狼族が二人同行していたとか。
イザラス村とリーコス村でここまでの信頼関係が築かれているのなら、それほど心配することはないかもしれない。もしもこじれそうなときは、リーコス村のヴィルフォファング村長に仲介に入ってもらえばいい。
俺はホッとため息をついて、再び拠点に向って歩き始めた。
彼らは探索が終わった後、そのまま俺についてきてグレイベア村の住人となっていた。
「んーっ? もしかして……」
ホドリスがライラの顔をジーッと観察する。
「「ライラ様ですか!?」」
さすがはグレイベア村の住人、小さくなったライラも見分けることができたようだ。
「そうなんだ。大怪我しちゃったね。今は幼女になってる」
「大怪我!?」
「おいたわしや……」
心配する二人に、ライラが手を「大丈夫、大丈夫」と言いながら手を振っている。
カワイイ。
「ところで、どうして二人はイザラス村にいるの? 里帰り?」
「いえ、まぁ……里帰りといえばそうなのですが……」
彼らの話によると、俺がライラ救出のためにグレイベア村を出発した後で、フワデラ夫妻の提案でイザラス村へ戻ることになったらしい。
「フワデラさんたちが……」
「はい。今後の行動を決める話し合いの場で、シュモネーさまが俺たちにイザラス村へ戻るようにおっしゃったので……」
「はい。シュモネーさまが、もしタヌァカ様が北方に向うことになった場合、必ずイザラス村に立ち寄るはずとおっしゃったので、ここでお待ちしておりました」
なるほどシュモネー夫人の差し金か。
まるで俺たちの行動を知っているかのような。さすが謎の貴婦人、底が知れない。
……というほどのことでもないな。
シュモネー夫人はマルラナに拠点があることは知っているから、俺がそれを利用する可能性は十分に予想できるだろう。
「えっと、俺たちは古代神殿の拠点を使って、グレイベア村に戻ろうと思うんだけど、二人はどうする?」
「「もちろん、一緒に行きます!」」
というわけで、俺たちは古代神殿の拠点を使って、グレイベア村に戻ることにした。
ここまでくればグレイベア村まであと少し。
俺たちは、翌日には古代神殿を目指すことにした。
「イザラス村まで送ってくれてありがとう!」
俺はドルエンさん、シエラさん、フィルシ―さん、フォロンさんに礼を言った。
「おう。またのご利用をお待ちしてるぜ!」※ドルエンさん
「今度はシエラのおっぱいダンスが見れるかもよ?」※フィルシ―さん
「ローエンに来たら、必ず顔を見せに来てください」※フォロンさん
シエラさんの顔が真っ青になっていた。その目端に大粒の涙が溢れている。
「シ、シンイチくん、あ、ありが……ごめん」
シエラさんは、突然しゃがんで――
吐いた。
二日酔いだった。
「ぶはっ! ぜぇ、ぜぇ、ふ、二人とも、ぜぇ、ぜぇ、元気でね、ぜぇ、ぜぇ」
「「「いや、おまえがな!」」」
全員にツッコミを入れられていた。
こうして、冒険者パーティー「北の飲兵衛ズ」とイザラス村の人たちに見送られながら、俺たちは古代神殿の拠点へと向かった。
~ 古代神殿への道 ~
「へぇ! 俺たちが来る前に、また二人は古代神殿に行ったんだ? そういえば宴会で、村に凄い魔法使いが来たとか言ってたね」
俺はホドリスとミカエラたちとのんびり話をしながら、古代神殿に向う山道を歩いていた。
「ええ、その魔法使いとお連れさんたちが、それはもうもの凄い魔法を使いまして!」※ホドリス
「といっても、タヌァカ様の魔法の方が断然凄いっすけどね!」※ミカエラ
なんだかミカエラが太鼓持ちになってる。まぁ、気遣いは嬉しいけど。北方人らしい大柄の体躯で筋肉もりもりの髭ヴァイキングに、ゴマを擦られても……ちょっと引く。
ホドリスが、その魔法使いについて身振り手振りを交えて語ってくれた。
「もうひと月前になるかなぁ。イザラス村に魔法の鳥がバババババッと飛んできて、そこから出て来たのが魔法使いの一行でした!」
「そう。俺たちに古代神殿へ案内して欲しいってね。危ないからやめとけって言ったら、自分たちは凄い魔法が使えるから大丈夫だって言いまして」
「それで確かに凄い魔法を使ってました。こう魔法の杖でバババババッて魔物を倒して、鉄の使い魔とかもドドドドドって! そして最後は天から光の矢を振らせて古代神殿をドドドドーンって!」
ホドリスの説明は良く分からないが、迫力だけは伝わってくる。
「って、古代神殿をドドドドーンって!?」
「ええ、沢山の天の矢が降り注いで、古代神殿をぶっ壊してました!」
「ええぇええええ!」
その魔法使い、何してくれてんの!?
拠点が壊されてたら、帰れないじゃん!
驚愕する俺を見たミカエラが、俺の心配していることを察してくれたのか、拠点についてはそのままの状態で残っていることを説明してくれた。
どうやら魔法使いの矢は、正確に古代神殿だけを破壊していたらしい。拠点は、古代神殿自体からは少し離れた場所にあるので無事だったようだ。
「それにしても、古代神殿を破壊するなんて、凄い魔法使いなんだね。やっぱり白い髭のおじいちゃんだったりするの?」
「いえ、幼女でした」※ホドリス
「はっ?」
「ある日突然イザラス村にやってきた魔法使いは幼女でした!」※ミカエラ
「よ、幼女!?」
雪の山道を歩く、俺の額からツツーッと汗が流れ落ちる。
まさか、ドラン大平原の戦場で、俺の【幼女化】に巻き込まれたとかじゃないよな。
「そういえば、タヌァカ様のことを探しておられたようです」※ホドリス
「俺を探す!? 俺のこと知ってるの!?」
ヤバイ……俺のことを探しているなんて、俺の知己でもない限り、碌なもんじゃない。
パッと思い浮かぶ奴と言えば、星の智慧派のアサシン!?
もしかして俺を殺しに!?
「そ、その魔法使いは今どこに?」
「古代神殿を破壊した後は、直ぐに帰っていかれましたね」
「確かリーコス村に戻るようなことをおっしゃってました」
「リーコス村ぁぁ!?」
マズイ! 俺が戦場で大規模な【幼女化】をやらかしたせいで、リーコス村に迷惑を掛けてしまったかもしれない。
何か事が起こってしまう前に、一刻も早く帰らねば!
「あのぉぉぉ……タヌァカ様」
ホドリスが、鬼気迫る俺の表情を下から覗き込んでくる。
カワイイ女の子から覗き込まれたら嬉しいだけだが、北欧神話のオーディンもかくやというような顔で覗き込まれたので、俺の心臓は停止してしまった。
「ぶはっ!? 何!? 何なのミカエラ!?」
「幼女の魔法使いは、タヌァカ様に害意があるようには見えませんでした。お付の連中も含めて、みんな心の良い連中でしたよ。えっと……」
ホドリスが口ごもる。少ししてから意を決したように、
「たぶん、幼女から元の姿に戻して欲しいだけだと思います」
そうかー。やっぱり俺が原因かぁ。
その後、ホドリスとミカエラから、魔法使い一行との古代神殿探索や村での行動を聞いた。
聞いた限りでは、確かに俺を殺しに来たわけではなさそうだ。
魔法使い一行はイザラス村を立ち去る前に、村と継続的に魔鉱石の取引を行うことになったらしい。村の住人が古代神殿跡で魔鉱石を回収する際、魔物から身を守れるよう魔法の武器まで貸与してくれているのだとか。
さらに、今はローエンに出ていて不在だが、イザラス村に連絡員も置いているようだった。
リーコス村との関係も良好のようで、魔法使い一行の中には、リーコス村の白狼族が二人同行していたとか。
イザラス村とリーコス村でここまでの信頼関係が築かれているのなら、それほど心配することはないかもしれない。もしもこじれそうなときは、リーコス村のヴィルフォファング村長に仲介に入ってもらえばいい。
俺はホッとため息をついて、再び拠点に向って歩き始めた。
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