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プロローグ《拾いました》
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「おにーちゃん、だれ?」
「えっ…、えっと……」
大学生、彼女いない歴=年齢、そして童貞である本山陽介(19歳)の目の前には、とりあえず応急処置で着せたダブダブのパーカーを着て毛布をかぶる猫耳の幼女がいるこの状況。
しかもその幼女の体は濡れていて…さらにくりくりとした澄んだ瞳で俺を見つめてくる!
な、なんでこんなことに…!?
童貞の陽介には耐え難い、なんとも言えない状況になっていた。
どうしてこうなったのかと言うと、時間をさかのぼること15分前…。
「…よし」
一人暮らしを決意してから約1ヶ月。
ようやく引越し先のアパートの整理も終わり、夕食の買い物をしに行こうと思った矢先だった。
ガチャ
玄関の扉を開けると、そこには毛布が敷いてあるだけの質素なダンボールの中で、裸の幼女がちょこんと座っていた。
そして、その幼女の頭には、普段人間の頭には見慣れない2つのまるで猫のような耳。
「…ん?」
俺は部屋の中に戻り、一度扉を閉める。
「!????」
な、なんだあれ。うん、嘘だ、おかしい!ねっ、猫耳!?猫耳幼女なんてこの世にいる訳がない!
きっと幻覚か、幻か、見間違いだろう。
胸に手をあてて深呼吸をする。最近このごろバイトやら講義やら引越しの片付けやらで疲れてたもんな。
きっとまた開ければ何もいないだろうー…。そう自分に言い聞かせ、再び扉に手をかけた。
「にゃ…?」
そこにはいた。愛らしい顔をした幼女が…!!
不可解な俺の行動に、幼女は首を傾げた。
「は……はあぁぁぁぁ!!!?」
裸の幼女…!!俺は直視しないように急いで手で目を覆う…が、指の隙間からチラッと幼女を見た。
今は雨が降っており、さらにはボロアパートなため屋根なんかなく、アパートの廊下はびちょびちょだった。
そのため、濡れて凍えているのか幼女は小刻みに震えていた。
しかもその幼女は金髪!青い瞳!推定8歳!
「ここは、警察に言うべき…いや、この子を温めて服を着させなければ!!」
なぜか陽介は無意識に声が出ていて、気がついた時にはこの子を家に入れていた。
そして今の状況に至る。
「…き、君は?」
幼女は意味がわからないのか首を傾げる。同時に耳がピクっと動いた。
「どこから来たんだ?なぜ俺の家の前にいたか、わかるか?」
幼女は悲しそうに俯いた。
「わからない…きがついたら…いた」
「そ、そうか…(日本語喋れるのか…)」
その幼女の体には茶色の猫耳と尻尾が生えていて、日本人、いや、人間ではないことはあきらかだった。
「君の名前は?」
「名前…?わたし…ない…」
じゃあ俺が考えないといけないのか…。って、あれ?何か違和感に気づく。
「お前、手になんか持ってないか?」
「…て?」
幼女が手を開くとカランカランと綺麗な音をたてながら1つの鈴が転がってきた。
ずっと握りしめていたのだろう。
「…なにこれ、いつの間にか…にぎってた…」
「…鈴?……鈴…!」
「…え?」
「お前の名は〝すず〟だ!」
なんか適当感があるが、猫っぽいしいいだろう。
「わたしの…なまえ、すず?」
「ああ、そうだ」
「すず!わたし、気に入った!」
すずはぴょんぴょんとその場で跳ねて喜んだ。
陽介は警察に渡すかこのまま一緒に住むか迷っていたが、やはり解剖とかされそうで怖いので警察には渡さないことにした。
子供は好きというわけでもないし、人間の子供もペットも育てた経験は無いが、またどこかに捨てたりするほど俺は最低な人間じゃない。
…まぁどうにかなるだろう。とりあえず食べ物とかのことを考えなくては。
そして、猫耳幼女と童貞大学生との奇妙な同居生活がはじまるー・・・。
「えっ…、えっと……」
大学生、彼女いない歴=年齢、そして童貞である本山陽介(19歳)の目の前には、とりあえず応急処置で着せたダブダブのパーカーを着て毛布をかぶる猫耳の幼女がいるこの状況。
しかもその幼女の体は濡れていて…さらにくりくりとした澄んだ瞳で俺を見つめてくる!
な、なんでこんなことに…!?
童貞の陽介には耐え難い、なんとも言えない状況になっていた。
どうしてこうなったのかと言うと、時間をさかのぼること15分前…。
「…よし」
一人暮らしを決意してから約1ヶ月。
ようやく引越し先のアパートの整理も終わり、夕食の買い物をしに行こうと思った矢先だった。
ガチャ
玄関の扉を開けると、そこには毛布が敷いてあるだけの質素なダンボールの中で、裸の幼女がちょこんと座っていた。
そして、その幼女の頭には、普段人間の頭には見慣れない2つのまるで猫のような耳。
「…ん?」
俺は部屋の中に戻り、一度扉を閉める。
「!????」
な、なんだあれ。うん、嘘だ、おかしい!ねっ、猫耳!?猫耳幼女なんてこの世にいる訳がない!
きっと幻覚か、幻か、見間違いだろう。
胸に手をあてて深呼吸をする。最近このごろバイトやら講義やら引越しの片付けやらで疲れてたもんな。
きっとまた開ければ何もいないだろうー…。そう自分に言い聞かせ、再び扉に手をかけた。
「にゃ…?」
そこにはいた。愛らしい顔をした幼女が…!!
不可解な俺の行動に、幼女は首を傾げた。
「は……はあぁぁぁぁ!!!?」
裸の幼女…!!俺は直視しないように急いで手で目を覆う…が、指の隙間からチラッと幼女を見た。
今は雨が降っており、さらにはボロアパートなため屋根なんかなく、アパートの廊下はびちょびちょだった。
そのため、濡れて凍えているのか幼女は小刻みに震えていた。
しかもその幼女は金髪!青い瞳!推定8歳!
「ここは、警察に言うべき…いや、この子を温めて服を着させなければ!!」
なぜか陽介は無意識に声が出ていて、気がついた時にはこの子を家に入れていた。
そして今の状況に至る。
「…き、君は?」
幼女は意味がわからないのか首を傾げる。同時に耳がピクっと動いた。
「どこから来たんだ?なぜ俺の家の前にいたか、わかるか?」
幼女は悲しそうに俯いた。
「わからない…きがついたら…いた」
「そ、そうか…(日本語喋れるのか…)」
その幼女の体には茶色の猫耳と尻尾が生えていて、日本人、いや、人間ではないことはあきらかだった。
「君の名前は?」
「名前…?わたし…ない…」
じゃあ俺が考えないといけないのか…。って、あれ?何か違和感に気づく。
「お前、手になんか持ってないか?」
「…て?」
幼女が手を開くとカランカランと綺麗な音をたてながら1つの鈴が転がってきた。
ずっと握りしめていたのだろう。
「…なにこれ、いつの間にか…にぎってた…」
「…鈴?……鈴…!」
「…え?」
「お前の名は〝すず〟だ!」
なんか適当感があるが、猫っぽいしいいだろう。
「わたしの…なまえ、すず?」
「ああ、そうだ」
「すず!わたし、気に入った!」
すずはぴょんぴょんとその場で跳ねて喜んだ。
陽介は警察に渡すかこのまま一緒に住むか迷っていたが、やはり解剖とかされそうで怖いので警察には渡さないことにした。
子供は好きというわけでもないし、人間の子供もペットも育てた経験は無いが、またどこかに捨てたりするほど俺は最低な人間じゃない。
…まぁどうにかなるだろう。とりあえず食べ物とかのことを考えなくては。
そして、猫耳幼女と童貞大学生との奇妙な同居生活がはじまるー・・・。
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