【完結】旦那様に離婚を突きつけられて身を引きましたが妊娠していました。

ゆらゆらぎ

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本編

5話 アスファルタでは

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「カトリーナ、体調はどうだ?」

懐妊が判明してから一週間が経った。新しい屋敷にも少しずつ慣れてきて兄様は商会を開く準備を進めている。忙しいはずなのに日に何度も様子を見に来てくれるのを嬉しく思いながら同時に迷惑をかけてしまっている罪悪感が降りかかる。

「兄様、ありがとう。だいぶ良くなったわ。」

「そうか、俺は少しこれから出なくちゃならないが…大丈夫か? 不安なようなら延期にするが。」

そういう兄様にぎょっとする。
だって、今日はとても大切な会合があるのだ。私の体調を理由に延期にしてもらうなんてとても申し訳ないし、してはいけない。商人は信用が命なのだから当日になって延期などと…これからの商会拡大に悪影響になってしまう。

「駄目よ、アスファルタの各商会の会頭と話し合うんでしょう? 私は大丈夫だから気にしないで。」

「出来るだけ早く帰るから、休んでろよ。」

尚も心配そうに何度も悩みながらようやく屋敷から出発した兄様を手を振って見送ると私はベッドに倒れ込んだ。どうも体調が悪くて仕方がない、今からこんな調子では出産の時どうなってしまうのか…まあ、妊娠初期で不安定だからだとお医者さまは仰っていたから大丈夫だとは思うけど。
兄様は折角長年の目標だったアスファルタ王国に進出できたのに私がその足を引っ張ってしまってどうするのだろう。せめて兄様の前では元気に振る舞わないと。

それに、体調が悪いのは精神的なものもあるかもしれない。突然の離縁のショックや新しい環境、妊娠の不安やこれからのことを思うと気が重くて仕方がない。考えないようにしても次々と頭に浮かんで…。

「駄目ね…元気になった時に観光に行くところでも決めようかな。」

元々観光を楽しみにしていたアスファルタ王国だ、行きたい場所は沢山あるし体調が落ち着いてから行く場所でも決めようと近くに置かれていた冊子を手に取る。昨年販売されたアスファルタの有名な観光場所を纏めたもので父様がこれに似たものを王都のもので作ろうとしていた。
今頃父様にも手紙が届いたかしら…私がこちらに来た時は大量の荷物とともにだったから二週間もかかってしまったけど、手紙や多量の荷物を伴わないなら祖国からアスファルタまでは一週間で移動出来る。そろそろ父様にも手紙が届いた頃だろう。
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