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本編
10話 到着
ハワードから来るな、と手紙が届いた翌日、ランドロフ一行はアスファルタ王国のパプルグ商会に到着していた。対応に出たのは勿論、カトリーナの兄で会頭のハワードだった。
「……その、カトリーナに会わせていただきたいのだが…。」
「お断り致します、お引き取り下さい。」
このようにハワードには取り付く島もない。強引な手段に出られない以上はなんとかしてまずハワードに頷かせる必要があるのだが、早くもランドロフは無理なのではないかと思い始めていた。
「今回のことは本当に悪かった。これからはもう二度とこのような事がないように約束する。だから…」
「何か勘違いされているようですが『次』などということはありません。カトリーナを悲しませないと約束した上での婚姻だったはずです。それがこの体たらくとは…侯爵様の約束というのは軽いものですね。」
全くもってその通りなので反論どころかランドロフの胸に見えない剣がぐさぐさと刺さる。ランドロフの後ろに控えているドゥーリッヒもどうすればハワードを頷かせられるのか思考を巡らせるが何もいい案は浮かばない。やはり強硬手段以外では手がないのではと思い始めていた。
「うっ…」
「閣下、頑張ってください。ダメージを受けてどうするんですか。」
応援しかできない分、ドゥーリッヒがランドロフを奮い立たせようとするが既にランドロフは己への自己嫌悪でいっぱいだった。カトリーナを悲しませた、守れなかったという事実は変わらないのでそこはドゥーリッヒもフォローのしようがない。
「とにかく、いくら言われても絶対にカトリーナには会わせません。諦めてさっさと帰ってください。」
「その、カトリーナは今回のことになんと…? 執事長の独断の行為だったことは伝えて頂けたのだろうか?」
会わせて欲しいと言っても堂々巡りでこうなってはなにか別の話を、ということでランドロフが自分が離縁したがっていたという誤解が解かれているのかを問う。これまでの反応から、それもあまり期待は出来ないが…
「侯爵がこちらに来ていることしか伝えていません。好きだと言うのなら、これ以上カトリーナの心労を増やさないで頂きたい。…あの子は毎日隠れて泣いている。」
「ハワード殿、ならば尚更奥様には閣下の意向では無かったことをお伝えいただきたい。泣かれているというのは…」
ランドロフの予想通り、カトリーナには誤解だということは伝えられておらず、しかも泣いてしまっていると…それを聞いたランドロフは目に見てわかるほど落ち込み、返す言葉を失っていた。そんなランドロフを見かねてドゥーリッヒがハワードにせめて誤解は解いて欲しいと伝えると、ハワードは今まで何だかんだと言って露骨な嫌悪感は顕にしなかったがここに来て初めてランドロフとドゥーリッヒを睨みつけた。
「そうすれば、カトリーナはあなたたちのもとに帰ろうとするだろう。帰ったとしてどうなる? …パプルグ家は男爵位を賜りました。カトリーナは貴族としての地位を正当に得たのですからこれからは社交界にも出ることになる。母の実家の侯爵家は後継者がいません。あの家がカトリーナを得ようとした時、他の貴族がカトリーナを害そうとした時にあなた達がカトリーナを守れるとは到底思えない、貴族の争いは命懸けです。…お帰りください。」
そう言って、ハワードは応接室から退室して戻ってくることはなかった。
「……その、カトリーナに会わせていただきたいのだが…。」
「お断り致します、お引き取り下さい。」
このようにハワードには取り付く島もない。強引な手段に出られない以上はなんとかしてまずハワードに頷かせる必要があるのだが、早くもランドロフは無理なのではないかと思い始めていた。
「今回のことは本当に悪かった。これからはもう二度とこのような事がないように約束する。だから…」
「何か勘違いされているようですが『次』などということはありません。カトリーナを悲しませないと約束した上での婚姻だったはずです。それがこの体たらくとは…侯爵様の約束というのは軽いものですね。」
全くもってその通りなので反論どころかランドロフの胸に見えない剣がぐさぐさと刺さる。ランドロフの後ろに控えているドゥーリッヒもどうすればハワードを頷かせられるのか思考を巡らせるが何もいい案は浮かばない。やはり強硬手段以外では手がないのではと思い始めていた。
「うっ…」
「閣下、頑張ってください。ダメージを受けてどうするんですか。」
応援しかできない分、ドゥーリッヒがランドロフを奮い立たせようとするが既にランドロフは己への自己嫌悪でいっぱいだった。カトリーナを悲しませた、守れなかったという事実は変わらないのでそこはドゥーリッヒもフォローのしようがない。
「とにかく、いくら言われても絶対にカトリーナには会わせません。諦めてさっさと帰ってください。」
「その、カトリーナは今回のことになんと…? 執事長の独断の行為だったことは伝えて頂けたのだろうか?」
会わせて欲しいと言っても堂々巡りでこうなってはなにか別の話を、ということでランドロフが自分が離縁したがっていたという誤解が解かれているのかを問う。これまでの反応から、それもあまり期待は出来ないが…
「侯爵がこちらに来ていることしか伝えていません。好きだと言うのなら、これ以上カトリーナの心労を増やさないで頂きたい。…あの子は毎日隠れて泣いている。」
「ハワード殿、ならば尚更奥様には閣下の意向では無かったことをお伝えいただきたい。泣かれているというのは…」
ランドロフの予想通り、カトリーナには誤解だということは伝えられておらず、しかも泣いてしまっていると…それを聞いたランドロフは目に見てわかるほど落ち込み、返す言葉を失っていた。そんなランドロフを見かねてドゥーリッヒがハワードにせめて誤解は解いて欲しいと伝えると、ハワードは今まで何だかんだと言って露骨な嫌悪感は顕にしなかったがここに来て初めてランドロフとドゥーリッヒを睨みつけた。
「そうすれば、カトリーナはあなたたちのもとに帰ろうとするだろう。帰ったとしてどうなる? …パプルグ家は男爵位を賜りました。カトリーナは貴族としての地位を正当に得たのですからこれからは社交界にも出ることになる。母の実家の侯爵家は後継者がいません。あの家がカトリーナを得ようとした時、他の貴族がカトリーナを害そうとした時にあなた達がカトリーナを守れるとは到底思えない、貴族の争いは命懸けです。…お帰りください。」
そう言って、ハワードは応接室から退室して戻ってくることはなかった。
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