19 / 21
本編
16話 報告①
話し合いが済み、詳しいことはまた後日ということでランドロフが名残惜しそうにしながらも、取り敢えず帰ろうとしたところでカトリーナがランドロフを呼び止めた。
「ランドロフ様、お待ちください。 お話があるのです。」
要件はもちろん、懐妊についてだった。兄のハワードとランドロフが今後のことについて話している時に口を挟むのははばかられたし、ハワードもカトリーナが自分で伝えたいだろうと思い、話していないのでランドロフはまだカトリーナが懐妊していることを知らない。どきどきとしながら喜んでくれるだろうかと頬を赤らめているとランドロフはカトリーナが近づくにつれてギクシャクとした動きになった。
「あ…いや、その…ハワード殿は?」
「兄様は商会の方に戻られました。あの、少しお時間を頂きたいのですがこの後用事でもございましたか…?」
今すぐに伝えたいのは山々だが、急ぎの用事があるのならまた明日にした方が良いだろうかとカトリーナが眉を下げて残念に思っているとランドロフはカトリーナから逃げるようにゆっくりと後ろに下がりながら手を振って否定する。
「いや…何も無い。だが、その…話は、明日、ハワード殿がいる時では駄目だろうか?」
「駄目ではありませんが…出来れば今、ふたりきりでお話したいです。…私とふたりきりはお嫌なのですか…?」
下がってゆくランドロフを不思議に思って先程から近付くが、近付けば近付くほどランドロフはカトリーナから逃げるように遠ざかっていく、そんな訳で当然ふたりの距離は一向に縮まらない。そんな状況にふと、カトリーナは思ってしまった。自分に近付かれたがらなかったり、ふたりきりになるのを避けようとするランドロフはもしや…まさか本当に辺境で自分よりも好きな人が出来てしまったのでは? と。
「辺境で、好きな方でもできてしまったのですか…?」
客観的に見ればランドロフがカトリーナ以外に興味の欠片も抱いていないのは一目瞭然。カトリーナが想像しているようなことなど有り得るはずがないのだが、カトリーナには自分がランドロフに異様と思えるほど執着されている自覚がない。それに加え、長期間会っていなかったことや妊娠中の精神的に不安定な状態ということもありそのような結論に至っていた。
「俺が生涯愛するのはカトリーナだけだ! …その、あまり近寄られると我慢が出来ないというか…正直、もう限界で…連れて帰りたい。…ふたりきりで、というのはカトリーナも同じ気持ちだと思ってもいいのだろうか…?」
当然、そんな見当違いなことを言われたランドロフは勢いよく否定し、想いを伝える。それから、少し迷って避けるようなことをしてしまった理由を話し出すとカトリーナはみるみるうちに顔を真っ赤に染め上げて、先程とは打って変わってランドロフから逃げ出した。
「あ、あの…わ、わわわ私は、ほんとうに、お話がしたかっただけです!」
「ランドロフ様、お待ちください。 お話があるのです。」
要件はもちろん、懐妊についてだった。兄のハワードとランドロフが今後のことについて話している時に口を挟むのははばかられたし、ハワードもカトリーナが自分で伝えたいだろうと思い、話していないのでランドロフはまだカトリーナが懐妊していることを知らない。どきどきとしながら喜んでくれるだろうかと頬を赤らめているとランドロフはカトリーナが近づくにつれてギクシャクとした動きになった。
「あ…いや、その…ハワード殿は?」
「兄様は商会の方に戻られました。あの、少しお時間を頂きたいのですがこの後用事でもございましたか…?」
今すぐに伝えたいのは山々だが、急ぎの用事があるのならまた明日にした方が良いだろうかとカトリーナが眉を下げて残念に思っているとランドロフはカトリーナから逃げるようにゆっくりと後ろに下がりながら手を振って否定する。
「いや…何も無い。だが、その…話は、明日、ハワード殿がいる時では駄目だろうか?」
「駄目ではありませんが…出来れば今、ふたりきりでお話したいです。…私とふたりきりはお嫌なのですか…?」
下がってゆくランドロフを不思議に思って先程から近付くが、近付けば近付くほどランドロフはカトリーナから逃げるように遠ざかっていく、そんな訳で当然ふたりの距離は一向に縮まらない。そんな状況にふと、カトリーナは思ってしまった。自分に近付かれたがらなかったり、ふたりきりになるのを避けようとするランドロフはもしや…まさか本当に辺境で自分よりも好きな人が出来てしまったのでは? と。
「辺境で、好きな方でもできてしまったのですか…?」
客観的に見ればランドロフがカトリーナ以外に興味の欠片も抱いていないのは一目瞭然。カトリーナが想像しているようなことなど有り得るはずがないのだが、カトリーナには自分がランドロフに異様と思えるほど執着されている自覚がない。それに加え、長期間会っていなかったことや妊娠中の精神的に不安定な状態ということもありそのような結論に至っていた。
「俺が生涯愛するのはカトリーナだけだ! …その、あまり近寄られると我慢が出来ないというか…正直、もう限界で…連れて帰りたい。…ふたりきりで、というのはカトリーナも同じ気持ちだと思ってもいいのだろうか…?」
当然、そんな見当違いなことを言われたランドロフは勢いよく否定し、想いを伝える。それから、少し迷って避けるようなことをしてしまった理由を話し出すとカトリーナはみるみるうちに顔を真っ赤に染め上げて、先程とは打って変わってランドロフから逃げ出した。
「あ、あの…わ、わわわ私は、ほんとうに、お話がしたかっただけです!」
あなたにおすすめの小説
幼馴染と夫の衝撃告白に号泣「僕たちは愛し合っている」王子兄弟の関係に私の入る隙間がない!
佐藤 美奈
恋愛
「僕たちは愛し合っているんだ!」
突然、夫に言われた。アメリアは第一子を出産したばかりなのに……。
アメリア公爵令嬢はレオナルド王太子と結婚して、アメリアは王太子妃になった。
アメリアの幼馴染のウィリアム。アメリアの夫はレオナルド。二人は兄弟王子。
二人は、仲が良い兄弟だと思っていたけど予想以上だった。二人の親密さに、私は入る隙間がなさそうだと思っていたら本当になかったなんて……。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
最近彼氏の様子がおかしい!私を溺愛し大切にしてくれる幼馴染の彼氏が急に冷たくなった衝撃の理由。
佐藤 美奈
恋愛
ソフィア・フランチェスカ男爵令嬢はロナウド・オスバッカス子爵令息に結婚を申し込まれた。
幼馴染で恋人の二人は学園を卒業したら夫婦になる永遠の愛を誓う。超名門校のフォージャー学園に入学し恋愛と楽しい学園生活を送っていたが、学年が上がると愛する彼女の様子がおかしい事に気がつきました。
一緒に下校している時ロナウドにはソフィアが不安そうな顔をしているように見えて、心配そうな視線を向けて話しかけた。
ソフィアは彼を心配させないように無理に笑顔を作って、何でもないと答えますが本当は学園の経営者である理事長の娘アイリーン・クロフォード公爵令嬢に精神的に追い詰められていた。
貴妃エレーナ
無味無臭(不定期更新)
恋愛
「君は、私のことを恨んでいるか?」
後宮で暮らして数十年の月日が流れたある日のこと。国王ローレンスから突然そう聞かれた貴妃エレーナは戸惑ったように答えた。
「急に、どうされたのですか?」
「…分かるだろう、はぐらかさないでくれ。」
「恨んでなどいませんよ。あれは遠い昔のことですから。」
そう言われて、私は今まで蓋をしていた記憶を辿った。
どうやら彼は、若かりし頃に私とあの人の仲を引き裂いてしまったことを今も悔やんでいるらしい。
けれど、もう安心してほしい。
私は既に、今世ではあの人と縁がなかったんだと諦めている。
だから…
「陛下…!大変です、内乱が…」
え…?
ーーーーーーーーーーーーー
ここは、どこ?
さっきまで内乱が…
「エレーナ?」
陛下…?
でも若いわ。
バッと自分の顔を触る。
するとそこにはハリもあってモチモチとした、まるで若い頃の私の肌があった。
懐かしい空間と若い肌…まさか私、昔の時代に戻ったの?!
「本当に僕の子供なのか検査して調べたい」子供と顔が似てないと責められ離婚と多額の慰謝料を請求された。
佐藤 美奈
恋愛
ソフィア伯爵令嬢は、公爵位を継いだ恋人で幼馴染のジャックと結婚して公爵夫人になった。何一つ不自由のない環境で誰もが羨むような生活をして、二人の子供に恵まれて幸福の絶頂期でもあった。
「長男は僕に似てるけど、次男の顔は全く似てないから病院で検査したい」
ある日、ジャックからそう言われてソフィアは、時間が止まったような気持ちで精神的な打撃を受けた。すぐに返す言葉が出てこなかった。この出来事がきっかけで仲睦まじい夫婦にひびが入り崩れ出していく。
私だけが愛して1度も笑ったことの無い夫が、死んだはずの息子を連れてもどってきた
まつめ
恋愛
夫はただの一度も私に笑いかけたことは無く、穏やかに夫婦の時間をもったこともない。魔法騎士団の、騎士団長を務める彼は、23年間の結婚生活のほとんどを戦地で過ごしている。22歳の息子の戦死の知らせが届く。けれど夫は元気な息子を連れて私の元に戻って来てくれた。
死ぬまでに叶えたい十の願い
木風
恋愛
「あなたを妻として、愛することはない。おそらく、生涯抱くこともないだろう」
三年間の白い結婚——捨て置かれた王太子妃エリアーナに、側妃が『死の呪い』をかけ余命一年を宣告する。
離縁を願うも拒否され、代わりに「死ぬまでに十の願いを叶えて」と契約する——
二人きりの外出、星空、海…ささやかな願いが王太子の心をほどいていく。
「女友達と旅行に行っただけで別れると言われた」僕が何したの?理由がわからない弟が泣きながら相談してきた。
佐藤 美奈
恋愛
「アリス姉さん助けてくれ!女友達と旅行に行っただけなのに婚約しているフローラに別れると言われたんだ!」
弟のハリーが泣きながら訪問して来た。姉のアリス王妃は突然来たハリーに驚きながら、夫の若き国王マイケルと話を聞いた。
結婚して平和な生活を送っていた新婚夫婦にハリーは涙を流して理由を話した。ハリーは侯爵家の長男で伯爵家のフローラ令嬢と婚約をしている。
それなのに婚約破棄して別れるとはどういう事なのか?詳しく話を聞いてみると、ハリーの返答に姉夫婦は呆れてしまった。
非常に頭の悪い弟が常識的な姉夫婦に相談して婚約者の彼女と話し合うが……