王国一の騎士は人外達に溺愛されて…

一章

神殿へ行くには：肆

地図にはこんなところはなかったはずだ。しかも、中心に建物があった。

「あれが神殿か？」

灰夜がそこに近付くと扉が勝手に開いた。まるで入れと言われているようだ。
中に少しずつ入っていくと扉が勝手に閉じた。閉じただけなら良かったのだ。

「扉が…消えた？」

そう、消えたのだ。
入ってきた場所に近付くがそこには壁があるだけだった。
仕方なく神殿内を歩き続けると広間に辿り着いた。そこには四人の人影があった。

「誰かが入ってきたか…」
「だがこの気配は知っているものだ」
「ただ、誰なのでしょうか…？」
「この気配は……」

自分の話であると気づき柱の陰に隠れた。
しかし柱に踵かかとが軽くぶつかり音を立ててしまう。
その音に反応した四人は即座に戦闘態勢せんとうたいせいに入る。

「誰だ!!」
「……」
「早く出てこないと死ぬぞ」
「……」
「悪くはしない…」

そんなこと言われても攻撃されるのは目に見えていた。出ていったら死なない程度に痛めつけられる。

「早く出てこい」

体が勝手に動き出した。魔法を使われたのだ。
そうして柱の陰から出るとそれぞれに質問してきた。