9 / 26
第二話「挑戦の日々」
一.もう一つの「世界」
しおりを挟む
「eスポーツ部」創設から、おおよそ一週間後。遂に、フルダイブ・マシン「エル・ムンド」がアツシ達の学校へとやってきた。
「おお! 思ってた以上にカッコイイな!」
部室に設置された「エル・ムンド」を眺めながら、アツシが思わず感動の声を上げる。
エイジもレイカも、小さな子供のように目を輝かせていた。
「エル・ムンド」の外観はとてもシンプルだ。二つの座席とその周囲を覆うフレーム、そしてフレームの中に入る為のドアが付いている。その外観は「やたらと全長の短い自動車」のようだった。
中の様子が見えるよう、自動車のフロントウインドウやドアウインドウと似たような場所に、薄くスモークのかかったアクリルガラスも張られている。
やはり自動車の物によく似た座席の頭上には、頭から目元、耳までをすっぽりと覆うヘルメットのような機械が設置されている。「ヘッドギア」と呼ばれる機械だ。これを頭に密着させることで脳波の送受信が可能となり、仮想空間の映像や音、触った感触などをプレイヤーに伝える仕組みになっている。
それ以外にも、ひじ掛けやシートベルト等の装備品も付いている。ますます自動車の座席に似ていた。
フレームの外側――座席の背中側には大きなディスプレイが付いていた。これはタッチパネルになっており、外側からシステムを操作する際に使ったり、ゲームやプレイヤーの状態をモニターできたりする。いわゆる管理者用のコントロールパネルだった。
万が一プレイヤーが体調を崩したり、はたまたマシントラブル等が起こった際には、管理者がパネルを操作してゲームやシステムを強制停止できるようになっている。
「しっかしすごいね~! こんな高そうな機械を無料で借りられるなんて」
「なんでも、メーカーから教育機関に貸し出す場合には、国からお金が出てるらしいですよ」
レイカの疑問に、エイジがすかさず答える。宣言通り、機材到着までの間「エル・ムンド」について、かなり入念に調べ上げていたようだった。
元々「エル・ムンド」は、様々な国や企業が協力して開発した物だ。その目的は実に様々であり、ゲーム利用や障がい者支援はその一部でしかない。
例えば、特殊な乗り物の操縦訓練などにも「エル・ムンド」は活用されていた。宇宙船であるとか深海探査機であるとか、そういった実地訓練が難しいシチュエーションで重宝されているのだ。
教育機関に無料で貸し出しているのは、一人でも多く「エル・ムンド」に精通した人間を増やす為であったり、はたまた教育現場からのフィードバックにより更なる機能強化を図る為であったりするらしい。
国という枠組みを超えた世界的プロジェクト、それが「エル・ムンド」だった。
「はえ~、大層なシロモノだってのは知ってたけど、すげぇんだな、『エル・ムンド』って」
「だね。今はどんどん小型化も進んでいるらしいから、将来的にはこのメガネみたいに、人間が無理なく装着できるサイズになるかもだよ――そう、なってほしいものだね」
どこか寂しそうに呟くエイジの姿に、アツシの胸に鈍い痛みが走った。
エイジの右目は、もう殆ど視えていない。事実上の失明状態だ。左目も視力が極端に低下し、裸眼では日常生活に支障をきたすほどらしい。
もし、「エル・ムンド」がメガネ程度のデバイスにまで小型化されれば、その技術の応用で視覚障がい者がリアルタイムに周囲の光景を「視る」ことができるかもしれないのだ。
視力を失ったばかりのエイジにとっても、それは最早悲願といえるだろう。
だが、現実の「エル・ムンド」は、見ての通り持ち運べるサイズではない。
人間が装着して持ち歩けるほどの大きさになるまでに、何年かかるか予想もつかない。
『オレの視力を分けてあげられたらいいのに』
胸の内でそんな言葉を漏らしながら、アツシはエイジと共に、しばらくの間「エル・ムンド」の機体を眺め続けた。
「エル・ムンド」とは、とある国の言葉で「世界」という意味だという。その名には、開発創始者の「もう一つの世界を創り上げる」という願いが込められているらしい。
――その「もう一つの世界」は、果たして自分とエイジを受け入れてくれるのか。
アツシの胸は、期待と不安と、エイジへの想いとで、今までにないくらいに高鳴っていた。
***
「よし! じゃあ念願の『ダブルス!』を始めよう!」
『おー!』
「エル・ムンド」のマニュアルは、機体到着までの間に三人とも熟読済みだった。後はもう、探り探り実機をいじっていくだけである。
アツシ達は、早速「ダブルス!」のプレイをスタートすることにした。
なお、未成年がフルダイブ機能を使う際には、必ず大人が立ち会わなければならないことになっていた。安全管理上の絶対のルールだ。その為、既に小峠が部室へとやって来ていた。
これからは、フルダイブ機能を使う度に小峠を呼ばなければいけない。「先生には本当に頭が上がらない」と、アツシは心の中で深く感謝した。
早速とばかりに、アツシとエイジの二人が「エル・ムンド」の座席に乗り込む。
エイジには介助が必要かと思われたが、「エル・ムンド」のシートは車イスから乗り移りやすいよう、様々な対策が取られている。やや苦労はあったものの、エイジも自力でシートに着席することができていた。
お互いに頷きあうと、まず、きっちりとシートベルトを締めた。そのまま姿勢を正していると、座席上部に設置されている「ヘッドギア」が、「ピッピッピ」という警告音を上げながらアツシ達の頭に向かって下がってきた。
ヘッドギアは手動で上下にスライドすることもできるが、手が動かせない搭乗者の為に、基本的には自動で装着される仕組みになっているそうだ。
やがて、ヘッドギアがアツシとエイジの頭部にしっかりとフィットすると、「エル・ムンド」の内蔵スピーカーから「ヘッドギアの装着が完了しました。管理者はパネルを操作して、プログラムを実行してください」というアナウンスが流れてきた。
――準備完了の合図だった。
「よ~し、じゃあスタートするよ~」
ヘッドギアに内蔵されたスピーカーから、レイカの声が聞こえてきた。レイカはコントロールパネルの操作全般を担当することになっていた。
パネル側にもヘッドギア側にも、マイクとスピーカーが設置されている。外と中との意思疎通は、基本的に音声で行われるのだ。聴覚障がい者向けに、文字でコミュニケーションする機能も用意されていたが、今はオフになっていた。
やがて――。
『フルダイブ機能、スタンバイ。ユーザー情報……確認。初回利用の為、生体情報を登録します。スキャン開始……』
機械音声がヘッドギアのスピーカーから響いてきた。
フルダイブ機能を初めて使う時には、こうやって生体情報――脳波や静脈の情報をスキャンして、ユーザー登録を行うシステムになっている。それら生体情報は人によって全く異なる為、「なりすまし」利用も完璧に防げるという仕組みだ。
『スキャン完了。ユーザー情報を登録しました。――アプリケーション「ダブルス!」を起動中です。フルダイブ及びチュートリアルを開始します、ヘッドギアを絶対に外さないでください……5,4,3,2,1……ダイブ!』
――その瞬間、アツシとエイジの意識が一瞬だけ闇に落ち……急激に視界が開けた。
「おお……」
目の前に広がっている光景に、アツシの「口」から思わず感動の声が上がる。
気付けば二人は、広い競技場の真ん中に立っていた。何となく見覚えがあるので、実在の競技場がモデルかもしれない。
自分の体を見下ろすと、本物の体そっくりのものが、そこにあった。体型はもちろんのこと、制服の生地の感触まできっちりと再現されている。
足には地面を踏みしめる感触が、頬にはゆるやかに流れる風の感触が、それぞれきちんと伝わっている。まるで現実そのものだった。
しかし、現実と明らかに違う部分があった。視界の左上の方に、常に「体力1500/1500」といった表示が浮かんでいるのだ。ゲーム用のステータス表示だった。
「これは……すごいな。うん、本当に歩いてるみたいだ」
横から聞こえた声にアツシが振り向くと、そこには現実とそっくりなエイジの姿があった。本物のエイジと決定的に違うのは、二本の足で歩いていることだ。
エイジは、おっかなびっくりといった感じで、フルダイブによる「もう一つの世界」の感触を確かめていた。
「しっかし、『アバター』はオレ達自身なんだな。よけいにゲームの中って感じがしないぜ」
「ゲーム用アバターの作成はもう少し後だね。まずは、フルダイブ環境にちゃんと適応できてるかの確認があるはずだよ……っと、ほら。早速チュートリアルが始まるみたいだよ」
エイジが指さす方を見ると、そこには「妖精」としか言いようがないキャラクターが現れていた。手のひらサイズで背中にはアゲハ蝶の羽があり、ふよふよと浮いている。
『「もう一つの世界」へようこそ! ゲームを始める前に、二人がちゃんとフルダイブの環境に適応できてるかどうか、確認をさせてもらうよ~! ささ、まずは私の所まで歩いてきて~』
指示通りに二人は妖精の所まで歩いてみた。少しぎこちなさを感じるが、本物の自分の体と同じくらいスムーズに動いてくれる。
せかせかと歩くアツシに対し、エイジは一歩一歩着実といった感じに足を運んでいた。久しぶりの二足歩行を噛みしめているのだろう。
『オッケ~! 二人とも筋がいいね! じゃあ、これからいくつかの動きをやってもらうから、全部見事にクリアしてね――』
***
妖精が指示してくるのは、どことなく学校で行った「体力測定」に似ていた。
「目の前で落とされた棒をキャッチする」だとか、「ボールを投げて的に当てる」だとか、「反復横跳びをする」だとか。ようは体がちゃんと動くかどうかの確認だった。
アツシもエイジも、それら動作を問題なく行えた。
ごくごく低確率だが、初回ダイブ時に体を上手く動かせないプレイヤーもいるらしいが、二人は問題ないようだった。
『二人ともお見事~! じゃあ、次はいよいよ「ダブルス!」の世界へ連れて行くよ! イチ、ニノ、サン!』
妖精の掛け声で、また二人の視界が真っ暗になる。そして次の瞬間――。
「おお! 思ってた以上にカッコイイな!」
部室に設置された「エル・ムンド」を眺めながら、アツシが思わず感動の声を上げる。
エイジもレイカも、小さな子供のように目を輝かせていた。
「エル・ムンド」の外観はとてもシンプルだ。二つの座席とその周囲を覆うフレーム、そしてフレームの中に入る為のドアが付いている。その外観は「やたらと全長の短い自動車」のようだった。
中の様子が見えるよう、自動車のフロントウインドウやドアウインドウと似たような場所に、薄くスモークのかかったアクリルガラスも張られている。
やはり自動車の物によく似た座席の頭上には、頭から目元、耳までをすっぽりと覆うヘルメットのような機械が設置されている。「ヘッドギア」と呼ばれる機械だ。これを頭に密着させることで脳波の送受信が可能となり、仮想空間の映像や音、触った感触などをプレイヤーに伝える仕組みになっている。
それ以外にも、ひじ掛けやシートベルト等の装備品も付いている。ますます自動車の座席に似ていた。
フレームの外側――座席の背中側には大きなディスプレイが付いていた。これはタッチパネルになっており、外側からシステムを操作する際に使ったり、ゲームやプレイヤーの状態をモニターできたりする。いわゆる管理者用のコントロールパネルだった。
万が一プレイヤーが体調を崩したり、はたまたマシントラブル等が起こった際には、管理者がパネルを操作してゲームやシステムを強制停止できるようになっている。
「しっかしすごいね~! こんな高そうな機械を無料で借りられるなんて」
「なんでも、メーカーから教育機関に貸し出す場合には、国からお金が出てるらしいですよ」
レイカの疑問に、エイジがすかさず答える。宣言通り、機材到着までの間「エル・ムンド」について、かなり入念に調べ上げていたようだった。
元々「エル・ムンド」は、様々な国や企業が協力して開発した物だ。その目的は実に様々であり、ゲーム利用や障がい者支援はその一部でしかない。
例えば、特殊な乗り物の操縦訓練などにも「エル・ムンド」は活用されていた。宇宙船であるとか深海探査機であるとか、そういった実地訓練が難しいシチュエーションで重宝されているのだ。
教育機関に無料で貸し出しているのは、一人でも多く「エル・ムンド」に精通した人間を増やす為であったり、はたまた教育現場からのフィードバックにより更なる機能強化を図る為であったりするらしい。
国という枠組みを超えた世界的プロジェクト、それが「エル・ムンド」だった。
「はえ~、大層なシロモノだってのは知ってたけど、すげぇんだな、『エル・ムンド』って」
「だね。今はどんどん小型化も進んでいるらしいから、将来的にはこのメガネみたいに、人間が無理なく装着できるサイズになるかもだよ――そう、なってほしいものだね」
どこか寂しそうに呟くエイジの姿に、アツシの胸に鈍い痛みが走った。
エイジの右目は、もう殆ど視えていない。事実上の失明状態だ。左目も視力が極端に低下し、裸眼では日常生活に支障をきたすほどらしい。
もし、「エル・ムンド」がメガネ程度のデバイスにまで小型化されれば、その技術の応用で視覚障がい者がリアルタイムに周囲の光景を「視る」ことができるかもしれないのだ。
視力を失ったばかりのエイジにとっても、それは最早悲願といえるだろう。
だが、現実の「エル・ムンド」は、見ての通り持ち運べるサイズではない。
人間が装着して持ち歩けるほどの大きさになるまでに、何年かかるか予想もつかない。
『オレの視力を分けてあげられたらいいのに』
胸の内でそんな言葉を漏らしながら、アツシはエイジと共に、しばらくの間「エル・ムンド」の機体を眺め続けた。
「エル・ムンド」とは、とある国の言葉で「世界」という意味だという。その名には、開発創始者の「もう一つの世界を創り上げる」という願いが込められているらしい。
――その「もう一つの世界」は、果たして自分とエイジを受け入れてくれるのか。
アツシの胸は、期待と不安と、エイジへの想いとで、今までにないくらいに高鳴っていた。
***
「よし! じゃあ念願の『ダブルス!』を始めよう!」
『おー!』
「エル・ムンド」のマニュアルは、機体到着までの間に三人とも熟読済みだった。後はもう、探り探り実機をいじっていくだけである。
アツシ達は、早速「ダブルス!」のプレイをスタートすることにした。
なお、未成年がフルダイブ機能を使う際には、必ず大人が立ち会わなければならないことになっていた。安全管理上の絶対のルールだ。その為、既に小峠が部室へとやって来ていた。
これからは、フルダイブ機能を使う度に小峠を呼ばなければいけない。「先生には本当に頭が上がらない」と、アツシは心の中で深く感謝した。
早速とばかりに、アツシとエイジの二人が「エル・ムンド」の座席に乗り込む。
エイジには介助が必要かと思われたが、「エル・ムンド」のシートは車イスから乗り移りやすいよう、様々な対策が取られている。やや苦労はあったものの、エイジも自力でシートに着席することができていた。
お互いに頷きあうと、まず、きっちりとシートベルトを締めた。そのまま姿勢を正していると、座席上部に設置されている「ヘッドギア」が、「ピッピッピ」という警告音を上げながらアツシ達の頭に向かって下がってきた。
ヘッドギアは手動で上下にスライドすることもできるが、手が動かせない搭乗者の為に、基本的には自動で装着される仕組みになっているそうだ。
やがて、ヘッドギアがアツシとエイジの頭部にしっかりとフィットすると、「エル・ムンド」の内蔵スピーカーから「ヘッドギアの装着が完了しました。管理者はパネルを操作して、プログラムを実行してください」というアナウンスが流れてきた。
――準備完了の合図だった。
「よ~し、じゃあスタートするよ~」
ヘッドギアに内蔵されたスピーカーから、レイカの声が聞こえてきた。レイカはコントロールパネルの操作全般を担当することになっていた。
パネル側にもヘッドギア側にも、マイクとスピーカーが設置されている。外と中との意思疎通は、基本的に音声で行われるのだ。聴覚障がい者向けに、文字でコミュニケーションする機能も用意されていたが、今はオフになっていた。
やがて――。
『フルダイブ機能、スタンバイ。ユーザー情報……確認。初回利用の為、生体情報を登録します。スキャン開始……』
機械音声がヘッドギアのスピーカーから響いてきた。
フルダイブ機能を初めて使う時には、こうやって生体情報――脳波や静脈の情報をスキャンして、ユーザー登録を行うシステムになっている。それら生体情報は人によって全く異なる為、「なりすまし」利用も完璧に防げるという仕組みだ。
『スキャン完了。ユーザー情報を登録しました。――アプリケーション「ダブルス!」を起動中です。フルダイブ及びチュートリアルを開始します、ヘッドギアを絶対に外さないでください……5,4,3,2,1……ダイブ!』
――その瞬間、アツシとエイジの意識が一瞬だけ闇に落ち……急激に視界が開けた。
「おお……」
目の前に広がっている光景に、アツシの「口」から思わず感動の声が上がる。
気付けば二人は、広い競技場の真ん中に立っていた。何となく見覚えがあるので、実在の競技場がモデルかもしれない。
自分の体を見下ろすと、本物の体そっくりのものが、そこにあった。体型はもちろんのこと、制服の生地の感触まできっちりと再現されている。
足には地面を踏みしめる感触が、頬にはゆるやかに流れる風の感触が、それぞれきちんと伝わっている。まるで現実そのものだった。
しかし、現実と明らかに違う部分があった。視界の左上の方に、常に「体力1500/1500」といった表示が浮かんでいるのだ。ゲーム用のステータス表示だった。
「これは……すごいな。うん、本当に歩いてるみたいだ」
横から聞こえた声にアツシが振り向くと、そこには現実とそっくりなエイジの姿があった。本物のエイジと決定的に違うのは、二本の足で歩いていることだ。
エイジは、おっかなびっくりといった感じで、フルダイブによる「もう一つの世界」の感触を確かめていた。
「しっかし、『アバター』はオレ達自身なんだな。よけいにゲームの中って感じがしないぜ」
「ゲーム用アバターの作成はもう少し後だね。まずは、フルダイブ環境にちゃんと適応できてるかの確認があるはずだよ……っと、ほら。早速チュートリアルが始まるみたいだよ」
エイジが指さす方を見ると、そこには「妖精」としか言いようがないキャラクターが現れていた。手のひらサイズで背中にはアゲハ蝶の羽があり、ふよふよと浮いている。
『「もう一つの世界」へようこそ! ゲームを始める前に、二人がちゃんとフルダイブの環境に適応できてるかどうか、確認をさせてもらうよ~! ささ、まずは私の所まで歩いてきて~』
指示通りに二人は妖精の所まで歩いてみた。少しぎこちなさを感じるが、本物の自分の体と同じくらいスムーズに動いてくれる。
せかせかと歩くアツシに対し、エイジは一歩一歩着実といった感じに足を運んでいた。久しぶりの二足歩行を噛みしめているのだろう。
『オッケ~! 二人とも筋がいいね! じゃあ、これからいくつかの動きをやってもらうから、全部見事にクリアしてね――』
***
妖精が指示してくるのは、どことなく学校で行った「体力測定」に似ていた。
「目の前で落とされた棒をキャッチする」だとか、「ボールを投げて的に当てる」だとか、「反復横跳びをする」だとか。ようは体がちゃんと動くかどうかの確認だった。
アツシもエイジも、それら動作を問題なく行えた。
ごくごく低確率だが、初回ダイブ時に体を上手く動かせないプレイヤーもいるらしいが、二人は問題ないようだった。
『二人ともお見事~! じゃあ、次はいよいよ「ダブルス!」の世界へ連れて行くよ! イチ、ニノ、サン!』
妖精の掛け声で、また二人の視界が真っ暗になる。そして次の瞬間――。
0
あなたにおすすめの小説
14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート
谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。
“スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。
そして14歳で、まさかの《定年》。
6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。
だけど、定年まで残された時間はわずか8年……!
――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。
だが、そんな幸弘の前に現れたのは、
「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。
これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。
描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。
独占欲強めの最強な不良さん、溺愛は盲目なほど。
猫菜こん
児童書・童話
小さな頃から、巻き込まれで絡まれ体質の私。
中学生になって、もう巻き込まれないようにひっそり暮らそう!
そう意気込んでいたのに……。
「可愛すぎる。もっと抱きしめさせてくれ。」
私、最強の不良さんに見初められちゃったみたいです。
巻き込まれ体質の不憫な中学生
ふわふわしているけど、しっかりした芯の持ち主
咲城和凜(さきしろかりん)
×
圧倒的な力とセンスを持つ、負け知らずの最強不良
和凜以外に容赦がない
天狼絆那(てんろうきずな)
些細な事だったのに、どうしてか私にくっつくイケメンさん。
彼曰く、私に一目惚れしたらしく……?
「おい、俺の和凜に何しやがる。」
「お前が無事なら、もうそれでいい……っ。」
「この世に存在している言葉だけじゃ表せないくらい、愛している。」
王道で溺愛、甘すぎる恋物語。
最強不良さんの溺愛は、独占的で盲目的。
クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました
藤永ゆいか
児童書・童話
中学2年生になったある日、澄野星奈に許嫁がいることが判明する。
相手は、頭が良くて運動神経抜群のイケメン御曹司で、訳あって現在絶交中の幼なじみ・一之瀬陽向。
さらに、週末限定で星奈は陽向とふたり暮らしをすることになって!?
「俺と許嫁だってこと、絶対誰にも言うなよ」
星奈には、いつも冷たくてそっけない陽向だったが……。
「星奈ちゃんって、ほんと可愛いよね」
「僕、せーちゃんの彼氏に立候補しても良い?」
ある時から星奈は、バスケ部エースの水上虹輝や
帰国子女の秋川想良に甘く迫られるようになり、徐々に陽向にも変化が……?
「星奈は可愛いんだから、もっと自覚しろよ」
「お前のこと、誰にも渡したくない」
クールな幼なじみとの、逆ハーラブストーリー。
笑いの授業
ひろみ透夏
児童書・童話
大好きだった先先が別人のように変わってしまった。
文化祭前夜に突如始まった『笑いの授業』――。
それは身の毛もよだつほどに怖ろしく凄惨な課外授業だった。
伏線となる【神楽坂の章】から急展開する【高城の章】。
追い詰められた《神楽坂先生》が起こした教師としてありえない行動と、その真意とは……。
あだ名が242個ある男(実はこれ実話なんですよ25)
tomoharu
児童書・童話
え?こんな話絶対ありえない!作り話でしょと思うような話からあるある話まで幅広い範囲で物語を考えました!ぜひ読んでみてください!数年後には大ヒット間違いなし!!
作品情報【伝説の物語(都道府県問題)】【伝説の話題(あだ名とコミュニケーションアプリ)】【マーライオン】【愛学両道】【やりすぎヒーロー伝説&ドリームストーリー】【トモレオ突破椿】など
・【やりすぎヒーロー伝説&ドリームストーリー】とは、その話はさすがに言いすぎでしょと言われているほぼ実話ストーリーです。
小さい頃から今まで主人公である【紘】はどのような体験をしたのかがわかります。ぜひよんでくださいね!
・【トモレオ突破椿】は、公務員試験合格なおかつ様々な問題を解決させる話です。
頭の悪かった人でも公務員になれることを証明させる話でもあるので、ぜひ読んでみてください!
特別記念として実話を元に作った【呪われし◯◯シリーズ】も公開します!
トランプ男と呼ばれている切札勝が、トランプゲームに例えて次々と問題を解決していく【トランプ男】シリーズも大人気!
人気者になるために、ウソばかりついて周りの人を誘導し、すべて自分のものにしようとするウソヒコをガチヒコが止める【嘘つきは、嘘治の始まり】というホラーサスペンスミステリー小説
ノースキャンプの見張り台
こいちろう
児童書・童話
時代劇で見かけるような、古めかしい木づくりの橋。それを渡ると、向こう岸にノースキャンプがある。アーミーグリーンの北門と、その傍の監視塔。まるで映画村のセットだ。
進駐軍のキャンプ跡。周りを鉄さびた有刺鉄線に囲まれた、まるで要塞みたいな町だった。進駐軍が去ってからは住宅地になって、たくさんの子どもが暮らしていた。
赤茶色にさび付いた監視塔。その下に広がる広っぱは、子どもたちの最高の遊び場だ。見張っているのか、見守っているのか、鉄塔の、あのてっぺんから、いつも誰かに見られているんじゃないか?ユーイチはいつもそんな風に感じていた。
黒地蔵
紫音みけ🐾書籍発売中
児童書・童話
友人と肝試しにやってきた中学一年生の少女・ましろは、誤って転倒した際に頭を打ち、人知れず幽体離脱してしまう。元に戻る方法もわからず孤独に怯える彼女のもとへ、たったひとり救いの手を差し伸べたのは、自らを『黒地蔵』と名乗る不思議な少年だった。黒地蔵というのは地元で有名な『呪いの地蔵』なのだが、果たしてこの少年を信じても良いのだろうか……。目には見えない真実をめぐる現代ファンタジー。
※表紙イラスト=ミカスケ様
生まれたばかりですが、早速赤ちゃんセラピー?始めます!
mabu
児童書・童話
超ラッキーな環境での転生と思っていたのにママさんの体調が危ないんじゃぁないの?
ママさんが大好きそうなパパさんを闇落ちさせない様に赤ちゃんセラピーで頑張ります。
力を使って魔力を増やして大きくなったらチートになる!
ちょっと赤ちゃん系に挑戦してみたくてチャレンジしてみました。
読みにくいかもしれませんが宜しくお願いします。
誤字や意味がわからない時は皆様の感性で受け捉えてもらえると助かります。
流れでどうなるかは未定なので一応R15にしております。
現在投稿中の作品と共に地道にマイペースで進めていきますので宜しくお願いします🙇
此方でも感想やご指摘等への返答は致しませんので宜しくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる