セフレはバツイチ上司

狭山雪菜

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水族館デート

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晴天の日曜日。

昨日の夜たっぷりと交わり繋がった私の身体はヘトヘトだったが、外で会うのも出かけるのも初めてなので楽しみでしょうがなかった。
「杉村は、こんな所来ないから」
紺のジャケットとベージュのパンツの係長に見惚れていると、同僚の事を思い出し青褪める私に、安心する様に係長が言ってくれた。
それはビジネスホテルを出る前に言われたが、一応顔が見えないように帽子を被った。
シンプルな水色のチェックのワンピースを着て、彼と指を絡め歩く。

「今日は係長って言われたら、仕事を思い出すから名前で呼ぶ事!」
水族館の最寄りの駅に行くために乗った電車の中で向かい合わせて立っていたら、私の顎を掴み上を向かせそう命令された。
「かっ係…いや、峰崎…さん?」
顔を近づけた係長は、私の耳に息を吹きかけて、
「違うでしょ…名前呼んで」
低い声で囁く彼の声に、蕩けそうになりながら、
「んっ…優太郎さん」
と告げると、よく出来ました、と言って一瞬だけ触れるキスをしてすぐに離れた。


水族館の中は日曜日という事もあって混雑していたが、ゆったりと2人のペースで見て回った。
小さな魚に2人で水槽の中を一生懸命探し、チンアナゴを見てびっくりし、透明になるクラゲを見ては見惚れ、ペンギンのショーでは可愛いを連呼していた。
天井まである大きな水槽では、サンマの群が規律を維持して動き、エイが優雅に泳ぎ、小型のサメがのんびりと泳いでいた。
「大きくて圧巻です…ね」
振り返ると、うしろにいるはずの優太郎さんが居なくて、一人で話して恥ずかしいっと赤面していると、
「…優奈」
と下から彼の声が聞こえ、視線を下げると彼が跪き私の前にいた。
「ゆっ…優太郎さんっ?」
どうしたのですかっ?と言う前に、彼がジャケットのポケットから小さな箱を出して、私に差し出す。
「…優奈、俺と結婚を前提に付き合って欲しい…愛してるんだ」
真剣な眼差しで見つめられ、全身が熱くなる。
「…優太郎…さん」
「始まりは…アレだけど…優奈と毎日会いたいし触れたい」
周りの人達がいたはずなのに、急に2人しか居ない錯覚に陥る。
「…優奈?」
黙ったまま彼を見ている事に不安になり始めた優太郎さんは私の返事を待つ。



「…はい、はい…私も…好き…です」
感情を抑えられなくて、涙で声が掠れて上手く伝わらない。
立ち上がる優太郎さんは私を力強く抱きしめた。
しばらく抱き合っていたら、パチパチと拍手する音が聞こえ、ここは水族館だったと思い出し恥ずかしくて、優太郎に抱きつく力を強めた。

「…俺が隠すから…大丈夫だよ」
甘く囁く彼の声が耳に届き、「うん」と嬉し泣きをした。
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